ふたりの告白
承前
メル友だった
たまくんと
たまちゃん。ふたりは、ひょんなことから、実際に会うことになりました。
実は、初日にマクドナルドで会った時点では、まだお互いの本名を知りません。
たまくんと
たまちゃんのまま、その日は別れました。つまり、お互いにメル友の域を出ていなかったのだと思います。
かくして、
たまちゃんが
たまくんに貸したキリンジのCDを返却する日がやってきます。この日はただCDを返すだけでなく、
たまちゃんが観てみたいと言っていた映画を観る約束でした。
(注)これ以前のエピソードが気になる方は
コチラからどうぞ♪
このコはひと味違うかも?
初めてふたりで観た映画は、
サイダーハウスルール。初対面のふたりがマクドナルドでしゃべり倒した日、
たまちゃんが観たいと言っていた映画です。
当日、上映時間の少し前に待ち合わせたふたり。CDを返したあと、「いつまでも
たまくん・
たまちゃんと呼び合うのも恥ずかしいから」と、お互いに本名を明かします。
実はこの頃、お互いを何と呼び合っていたのかが、まったく記憶にありません。おそらく名字に「さん」付けで呼び合っていたのだと思うのですが…。
ともかく、ふたりは映画館で「サイダーハウスルール」を鑑賞。シャーリーズ・セロンの美しさ、愛らしさに、
たまくんはメロメロになってましたね。それ以外は、別にコレと言って見どころがあるでもなく、1,800円も出して観るほどでもないかな、といったところでしょうか。
その後、お腹が空いたので、近くのケンタッキーへ(ファースト・フードばっかですね、このふたり)。話題は、さっき観た映画のことに。
初デート(?)では会話に困らないように、無難に映画がオススメ。口下手でも何なりと会話になります。
さて、「サイダーハウスルール」。
たまくんはそこそこ楽しんだのですが、
たまちゃんがやや御機嫌ナナメ。なんでも「期待していたほど面白くなかった」そうな(笑)。自分でさんざん観たいと言っていた映画を、よくまあそれだけボロクソに言えるもんだ、と内心苦笑する
たまくん。思えば、すでにこのときから、彼女の辛口評論家としての素顔が垣間見えていたんですね。
それはさておき、たかだかふたりで千円ちょっとしか払わずに、長居する
たまくんと
たまちゃん。とっくに食べ物も飲み物も尽きたにもかかわらず、お構いなしにしゃべりつづけます。
そのうち、
たまちゃんが突然「今度、家の近所に河原があるから、そこの芝生の斜面で遊ぼう!」と言い出しました。「ダンボールつぶして、ソリにして滑ったら楽しいで〜!」と嬉々として熱弁するのです。
女のコって「ソリ遊び」をリクエストするもんですかね?(^^;
こりゃ、相当妙なコと知り合いになったもんだ…と、
たまくんは驚き半分、嬉しさ半分でした。
別れ際。「またそのうちメールするわ」とかなんとか言いながら、この日はお開きとなりました。
部屋へ、そして河原へ
自宅でボーッとしてたら、突然たまちゃんからメール。
“助けてー!”
「な…!? た、助けてってアンタ!」
何ごとかと、慌てて返信するたまくん。ところが、続いて届いたメールにひと安心。
“洗濯物が、隣の建物との隙間に落ちて、途中で引っ掛かった…”
何だ、そんなことか。まったく人騒がせな!
というわけで、ひとっ走り(いや、実際は電車ですけど)たまちゃんの家に行くことになりました。もちろん、たまくんがたまちゃんの家へ行くのは初めてです。
約1時間後にたまちゃんの家の最寄駅に到着、迎えに来てくれていた彼女の案内で、彼女の家へ。
部屋はワンルームマンションの3階で、物の少ないシンプルな8畳程度の空間でした。実はたまくん、一人暮らしの女性の部屋に入ったのは初めてです。なので、かなりドキドキしていました。つーか、くんくんと気づかれないように部屋の匂いを嗅いだりしてましたね。
はーい、そこ。ヒかないヒかなーい。女の子の部屋に行った男はみんな、こういうことをするんですってば(断言)。
「ごめんねー、こっちやねん」
そういって、窓際に立って下を指差すたまちゃん。促されて見てみると、窓の外はすぐに隣の建物が建っていて、壁と壁との間は1メートル前後の空間しかありませんでした。その3メートルくらい下方の隣の建物の階段のところに、白いブラウスが引っ掛かっています。確かに、男なら壁を伝って行けなくもない場所ですが、女性だとちょっと厳しい……というよりちょっと危ない。
「うーん、ちょっと行って取ってくるわ」
何しろ、向かいの建物の階段の手すりに足を掛けたり、こっちの建物の窓枠に指を掛けたりして壁と壁の隙間に張り付いている男が一人。その様たるや、問答無用の田代まs不審人物です(笑)。しかも目指すは女物のブラウスですから。
「人に見つかったら『怪しい人じゃありません』って、証人になってな〜」
たまくん、おのれの情けない姿に、たまちゃんを見上げて思わず哀願しましたね。
かくして、無事たまちゃんの元に返った、白いブラウス。
たまくんの汗がひくまで、クーラーの効いた部屋で少しばかりプレステをしたりして過ごしました。「サルゲッチュ!」とか「みんなのゴルフ」とかをしたかな。はっきりとは覚えていませんけど。
その後、近所の河原でのソリ滑りを敢行すべく、潰したダンボール片手にてくてく歩いていきます。フリスビーと野球のゴムボールも携えて準備万全です。
ちなみにこのとき、たまくんが26歳、たまちゃんが23歳です。
そんないい歳した男女2人が、やれソリ滑りだ、やれフリスビーだ、やれキャッチボールだ…と、「いったい君たちはどこの小学生ですか?」っていうくらい体を動かして遊びました。
もっと歳相応の遊びをしても良さそうなものですが…2人とも精神年齢が低いんでしょうかね?(笑)
食気と色気にノックアウト
学生時代、京都の大学に通ってたたまくん(片道2時間くらいかかったよ…)。なのに、京都で遊ぶと言う経験をしたことがほとんどありませんでした。せいぜい京都御所でサッカーボールを蹴ったり、雀荘や連れの下宿先で麻雀を打つ程度。
そういう話をたまちゃんにしたところ「ほな今度、京都行こーよ」ということに。
当日は、ふたりが初めて出会ったあの駅で待ち合わせ。この駅、ふたりが合流するのに都合の良い駅なのです。
京都行きの特急は、横並びの座席。通路を挟んだ長イス型の普通車輌と違って、よりパーソナルなスペースになります。窓際にたまちゃん、通路側にたまくんが座り、適当に会話をしながら京都までの時間を潰しました。…と、ここでたまくんの視線は彼女の胸元へ。
最初は何気なく目に入ったのですが、彼女のブラウスの合わせ目が少しはだけていて、その隙間から…。
み、み、み、見えてるーっ!? (@ o @;
窓の向こうには夏の日差し。強烈な陽光が、たまちゃんの着衣の薄布を安々と通り抜け、左の乳房を鮮やかに照らしていました。そらもう、びっくりするくらい白くて柔らかそうで…。「ラッキー!」とばかり、終始イヤラシイ目で舐め回すように見るたまくん。たまちゃんはまったく気づいていなかったそうな。
はーい、そこ。これまた、ヒかないヒかなーい。クドイようですが男はみんな、こういうことをしてるんですってば(断言)。
そんなたまくんにとっての至福の(たまちゃんにとっては目で犯される(笑)という災難な)ひとときが過ぎ、電車は目的駅へ到着しました。
ふたりはその足でさっそく鴨川へ。そうです。あの有名な、カップルが等間隔で座るアレです。
他愛も無いおしゃべりをしつつ、たまちゃんが用意したお弁当を開きます。はたしてそこには、可愛らしい彩りの手まり寿司。「『すし太郎』をまぶして丸めただけやで!」と言っていたけど、男にゃその工夫が嬉しいもんです。
ていうか、こういうのって、友だちじゃなくて「恋人どうし」と言うのではなかろうか? と、ちょっとドキドキしはじめたたまくんでした。
その後、京都市内を散歩して、夕暮れの頃に再び鴨川へ。薄暗くなっていく河原で、意外と綺麗に見える星空を見上げながら、「田舎まで行かなくても、結構いっぱい星が見えるねー」などと、飽きもせずにおしゃべり。後日談ですが、このとき、たまちゃんは「チュウしてくれたら良いのに…」と思ったそうな。鈍感なたまくんは、そんな雰囲気だとは露知らず…(笑)。
帰りの電車。途中までは一緒の電車なのですが、待ち合わせた例の駅からは別々の支線に乗り換えです。
この夜、たまくんはたまちゃんにバイバイを言うのが、とてもとても寂しかったです。家に帰って床に就いてからも、頭の中は電車で見たたまちゃんの丸いおっぱいでいっぱいで、下半身もある意味いっぱいで、妄想の中でおっぱいをあんなふうにこんなふうに(以下自主規制)。
男なんざ、こういう生き物なんですってば! (^^;
以心伝心? そして滝に涼む
これといって用事も何もない休日。
たまちゃんのことを好きになり始めていたたまくんは、「暇やなー、たまちゃんに会いたいなー」と思っていました。「メールしてみようかなぁ…でも積極的過ぎるとフラれるしなー」と躊躇するたまくん。よっぽど、先の失恋がイタかったみたいですね(笑)。
…が、しばらく考えたあと「まあいいや。自分がしたいと思うようにしなきゃな!」と決心し、結局たまちゃんにメールを送ることにしました。
「送信完了…っと♪」
すると、突然、メールの着信音が鳴り響きました。送信完了とほとんど同時だったので、意表を突かれてビックリしたたまくんでしたが、メールの送信者を見て、もっとビックリ。なんと、たまちゃんからのメールだったのです。まさに、ふたりのメールがまったく同時に交差した瞬間でした。
たま “いま実家に帰ってるんやけど、メロン貰ってん。1個いらん?”
たま “暇やねんけど、会われへん?”
…こういうのを、シンクロニシティっていうのかな?
たまくんは実家で生活していたのですが、たまちゃんは一人暮らし。ふたりの住所は、偶然、1時間以内のところにあったのですが、実はそれ以上の偶然がありまして。というのは、たまちゃんの実家とたまくんの実家は隣町だったのです。電車で3駅、歩いても30分程度しか離れていなかったのです。
夏の暑い日だったので「そんじゃ、滝でも見て涼もうか!」ということになり、ガタンゴトンと電車に揺られて箕面へ。
木陰の中を滝まで続く緩やかな上り坂は、夏の日差しが木々に遮られているのと、傍らには箕面川(?)が流れているのとで、意外なほどに涼しかったことを覚えています。
滝道をのんびりと歩きながら、たまくんはたまちゃんと手を繋ぎたいと思ったのだけれど、ふたりは付き合っているわけではないのだし…と思い直して、ガマンしました(笑)。
やがて滝に到着。
大量の水が滝壷に流れ落ちたときにできる飛沫が、細やかな霧状になって辺りに漂っています。また、水が落下するときに風を巻き起こすのか、水に冷やされた涼風も絶えず吹いています。人工の空調設備がもたらす「涼」とは一味違った、何とも言えない心地よさでした。
たまくんとたまちゃんは並んで滝壷近くの岸に座り、火照った頬や腕に滝の飛沫を浴びて、「あ〜、滝って良いよねぇ〜!」なんてことを話しながらたたずんでいました。
思えば、このときの記憶が鮮烈だったために、私たち夫婦は、そろって「滝フェチ」になってしまったのかもしれませんね(笑)。
一方で、たまくんは頭の片隅で、「そろそろ、ちゃんと気持ちを伝えた方が良いかもしれへんなぁ…」なんてことをチラチラと考えていました。この頃には、そういう考えが頻繁に沸き起こるようになっていたのです。
淀川での衝撃、嘆きから歓喜へ
そんなある日。ふたりは、初めて「お酒」のデート(?)をすることに。
どちらもお酒は強くないのですが、良いお店があるとのたまちゃん情報に乗るかたちで、大阪・梅田の飲み屋さんへ。狭苦しい店内ながら、目の前で焼き物を焼いてくれるなど、サービス精神旺盛な楽しいお店でした。火が近いので顔が熱いのが難点と言えば難点でしたね。
で、適度に酔っ払って、店を後にするふたり。まだ深夜というには早すぎる時間帯です。そのままバイバイするのもつまらないけど、今からカラオケだの何だのと行ってたら終電がなくなります。そこで、ふたりして線路沿いに淀川まで歩こうということに。
酔っ払って火照った身体を夜風にさらしながら、てくてくてくてく…。近くのコンビニでジュースと花火を買いこんで、準備万端。一路、河原を目指します。
はたして淀川沿いの河原は、意外なほど真っ暗。すぐ近くに「十三(じゅうそう)」という繁華街があるのですが、とてもそうは思えません。そんな真っ暗な河原で、花火をやりながら、とりとめのない話をしていました。
すると、たまちゃんが何気なくこう言ったのです。
「わたし、好きな人おるんやけど…(云々かんぬん)」
前後の脈絡は全然覚えていません。自然な会話の流れのなかで、そんなフレーズが本当にさらりと聞こえてきたのです。あまりにショックでたまくんはテンション下がりまくりのヘコみまくりです。
何や、それ〜! 好きな人おるんやったらアカンやん! ていうか、せやったら手毬寿司つくるなー! 家呼ぶなー! 乳見せるなー(いや、見せたわけじゃないけど)! めっちゃ思わせぶりやんかー! あうう…(涙)。
心中に渦巻くそんな哀しみを隠しながら、後は何を話したのやら、もともと記憶力の悪いたまくんですから、なおのこと思い出せません。とにかく、その後すぐにそれぞれの家路についたのです。
ところが。
往生際が悪いのか、根っからのタフなのか、はたまた単なる馬鹿なのか…。その辺のことは分かりませんが、たまくんは確実な致命傷が欲しかったのでしょう。自宅最寄の駅に着いた彼は、家まで歩きながら、たまちゃんの携帯に電話を入れたのです。
オレの聞き間違いで「好きな人おる」じゃなくて「好きな人おった」かもしれへん。とにかく何かの間違いかもしれへん! ていうか、今晩もいつものようにバイバイしたけど、彼女に好きな人がおるんやったら、もう普通に会うなんて無理やわっ! ハッキリさせてもらわにゃ!
そんなことを考えながら、電話に出たたまちゃんに切り出します。
「あんなー、さっき『好きな人おる』って言うてたやんかぁ」
「うん…」
うんって言ってるー! うわー、聞き間違えじゃなかったよー。オッケー、分かった。だったら諦めるしか仕方ない!
「それやったら、もうふたりで会わへん方が良いと思うねん」
「なんで?」
なんでって、そんな無邪気に訊くかぁ? この鈍感娘っ。
「うーん、実は、オレ、たまちゃんのこと好きになってきてるんよ、だから…」
「私も、たまくんのこと好きやで」
そらみろ、オレが一方的に好意を持ってるのに…って、……あれ?!
「『好きな人』って、たまくんのことやねん。ややこしいことになってしもうて、ごめん」
「………うそやん?」
「いや、ホンマ」
「………うそやん?(笑)」
「いや、ホンマ(笑)」
終わりよければすべて良し?
結局、たまちゃんは、あの河原で本当に他意なく「好きな人」発言をしてしまったらしく、とたんに目に見えてテンションの下がったたまくんを見て、「あ! しまった! 誤解されてる!」と思ったそうです。なので、もしその日のうちにたまくんから連絡がなかったら、自分から誤解を解くために電話するつもりだったとか。
それにしても、たまくんとしては心中の動揺を必死に隠していたつもりですが、モロバレだったとは…。男は嘘が下手、というのは本当ですね。
とまあ以上が、ふたりが出会ってから告白するまでの概要です。何とも締まりのない「告白」ですね(笑)。まあ、実際はドラマみたいにうまくいかないもんです。