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第9話「助けてください、妹を」
演出・・・松原浩
哲也に別れを告げられて以来、唯は体調がますます悪くなり、
衰弱していく一方である。それにも関わらず、唯は毎日のように遠くから哲也を
見つめるために出かけていく。まなとはそんな唯の体調が戻ってくれるならと、
雨の日も唯に付き合って一緒に出かける。
あのとき僕は静かに、
そう静かに興奮を静めていた
この小さなお城に侵入する、
いかなる外敵からも彼女を守り抜け
だから君のことを忘れないよ
たとえばそれが、
君の待ち望んでいる、あの、
王子様であっても・・・
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真理子宅にて
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哲也「ん、そういえば忘れてた」
哲也テーブルの上に箱を置く
真理子「何?」
哲也「恋人同士が仲むつまじく夕飯を食べている。
いきなり男がちょっと照れくさそうに小さな箱を取り出した。
分かるでしょ 少なくとも検便の容器じゃない あっ失礼食事中。
開けてみてよ」
真理子「もらえないわ」
哲也「そう言うと思った。祖父の遺産か仕送りで買ったのは嫌がるなって。
ところが こいつは僕のなけなしの貯金をはたいて買ったものなのだ。
小さい頃からのお年玉とか、使わなかった小遣いの積み重ねとか。
もちろん厳密に言うと僕が汗水たらしたとは言い難いでシュけど。」
真理子「ありがとう」
哲也「大した値段じゃないけど、オモチャじゃないよ」
真理子「気持ちだけ・・・」
哲也「え?」
真理子「ゴメン」
哲也「どういうんだろうなぁ そういうのって。じらすのにも限度があると思うんですけど。」
真理子「そういうふうに取ったんだったら謝るわ」
哲也「じゃあ どう取ればいいの?」
真理子「そのまま」
哲也「そのまま」
真理子「あなたと結婚する気はないの」
哲也「just a moment, please.」
真理子「Yes.」
哲也「君は僕が好き。ここまではいいよね」
真理子「もちろん好きよ」
哲也「そして君は独身主義者ではない。蒸し返して悪いけど、愛がなくても見合いの男と
結婚しようとしたぐらいだ。」
真理子「そうね」
哲也「これは1足す1の足し算です。幼稚園児でも分かる。ね?好きな僕と結婚する。ビンゴ」
真理子、首を振る
哲也「OK。高等数学に移行しよう。ここに僕がまだ若くて学生だという時間軸が発生する。
そこに古文や日本史も入れてみよう。あなたが年上で教師だという くだらないモラル感も。」
真理子「あなたと結婚はしない」
哲也「理由は? まさか唯のこと?」
真理子「全然関係ない」
哲也「だよね。まだ そんなこと言ってたら あなたを嫌いになる」
真理子「理由はすごくシンプルなの」
哲也「ぜひ聞きたいね。僕が発狂する前に」
真理子「あなたを愛してるから」
哲也「・・・」
真理子、小さく頷く
哲也、ちょっぴり微笑む。と同時に箱を真理子に投げ付ける素振りをし
哲也「あー!!こんなことならアメやガムをたくさん買うんだった」
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真理子宅にて終わり
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あのとき僕は気がつくと、
彼女と出会った最初の場所にたどりついていた
何も感じず、何も考えてやしなかったのに、
どうして僕はここにいるのか
ひとつだけ確かなことは、通りすがりの誰かに質問されたら
こう答えただろう
だから君のことを忘れないよ
そこの君、もしかして死にたいのかい?
ええ、そのとおり、僕は消えてなくなりたい
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