正多面体クラブ

正多面体はなぜ5種類しかないのか?

正多面体は5種類しかありません。
なぜ5種類しかないのか?それを「実験」で確かめましょう(^^)/~

正4面体 正6面体 正8面体 正12面体 正20面体
tetrahedron hexahedron octahedron dodecahedron icosahedron

※正多面体が5種類しかないことの「証明」は、普通は数学的に「整数不等式」を使って行いますが、まだ数学を学んでいない小学生や、もう数学は忘れてしまった大人のために…「実験」で確かめるのが一番納得できる方法だと思いますので、興味のある方は試してみてくださいな。

用意するもの

やってみよう〜

正多角形セットの用紙から、正三角形:6枚,正方形:4枚,正五角形:4枚,正六角形:3枚を切り出します。

正三角形を3枚並べてセロテープで貼ります。それを三角錐の形にすると、多面体の頂点ができます。
これで作れるのが正4面体→

そこで「調査用紙」の「正三角形/3枚」の欄にを書きます。
正三角形が2枚では立体が作れないことは分かりますよね。「正三角形/2枚」の欄に×を書きます。

このように正多角形何枚で多面体の頂点が作れるかどうかを調べていきます。
次は…

正三角形/4枚では…
頂点が作れます。
これで作れるのが正8面体→

正三角形/5枚でも…
頂点が作れます。
これで作れるのが正20面体→

正三角形/6枚では… 平らになってしまうので、頂点は作れません。
6枚でダメだから、7枚以上でもダメですね。

正方形/3枚では…
頂点が作れます。
これで作れるのが正6面体(立方体)→

正方形/4枚では… 平らになってしまうので、頂点は作れません。
4枚でダメだから、5枚以上でもダメですね。

正五角形/3枚では…
頂点が作れます。
これで作れるのが正12面体→

正五角形/4枚では… 4枚並べられないので、頂点は作れません。
4枚でダメだから、5枚以上でもダメですね。

正六角形/3枚では… 平らになってしまうので、頂点は作れません。
つまり正六角形では正多面体は作れません。
正七角形以上でも正多面体は作れませんね。

…さて、調査用紙の結果を見てみましょう。

の数は5つ。だから、正多面体は5種類しかないんです(^_^)v

「整数不等式」を使っての証明

数学を忘れかけている(私も含めた)大人のために、参考までに「整数不等式」を使っての証明を示します。
ちょっと復習しておこうかな…という方、どうぞ↓

正多面体の各面を正 p 角形、正多面体の頂点に集まる面の数を q とする。
一般にp角形の内角の和は、(p - 2)×180°である。
p角形の一つの頂点と各辺を結んで、p角形内に (p - 2)個の三角形ができるから)
三角形の内角の和は180°なので、
p角形の内角の和は、(p - 2)×180°となり、
p角形の各頂点の内角は (p - 2)×180°/p となる。

正多面体の一つの頂点には q個の正p角形が集まるので、
このq個分の角の和は ((p - 2)×180°/p)× q
これは360°より小さいはずである。
(360°では平面になって、立体にならないから)
よって、以下の不等式が成り立つ
 ((p - 2)×180°/p)× q < 360°
この不等式を整理すると
 (p - 2)(q - 2) < 4 となる。

この不等式を満たす整数 pq の組み合わせは、以下の5種類のみである。
(3, 3) … 正4面体
(3, 4) … 正8面体
(3, 5) … 正20面体
(4, 3) … 正6面体
(5, 3) … 正12面体

…いかがでしょう?
正多角形を切った貼ったする「実験による証明」より、 整数不等式を使った「数学的証明」の方が「エレガント」だと思います?
小学生や(数学に縁遠い)一般の人が「納得できる」のは「実験による証明」だと思うのですが…
「数学的証明」の方は素直に納得できませんよね。それは、この証明の中に「そんなこと分かってるでしょ〜。そこは自分で考えなさいよ〜」と、説明をはっしょっている箇所が3つもあるからです。その3つは…

…これら3点を以下説明します。

三角形の内角の和は180°なので、

これは「幾何学を勉強したなら、そんなこと常識よ〜」ってことで、説明省略(^^;

この不等式を整理すると (p - 2)(q - 2) < 4 となる。

これは「そこは自分で考えなさいよ〜」って部分。私も考えてみた…

((p - 2)×180°/p)× q < 360° 両辺を180°で割る
((p - 2)/p)× q < 2 両辺に p を掛ける
(p - 2)q < 2p (×は省略)左辺を展開
pq - 2q < 2p 右辺を左辺に移項(両辺から 2p を引く)
pq - 2q - 2p < 0 左辺を因数分解できるように、両辺に4を加える
pq - 2q - 2p + 4 < 4 左辺を因数分解
(p - 2)(q - 2) < 4

…書き出してみると、数学に縁遠い人には簡単じゃないよね(^^;

この不等式を満たす整数 p とq の組み合わせは、以下の5種類のみである。

pの値が 1,2,3,4,5,6,…のとき、
qの値がいくつだったら不等式が成り立つかを一つずつ調べていく…

あれ、あれ〜! これって「実験による証明」でやったことと同じじゃありませんか〜!
「実験による証明」では、正多角形を描いて、切って、貼って…という手間がかかりましたが、
「数学的証明」では、(p - 2)(q - 2) < 4 という整数不等式を導き出す/理解するのに手間がかかり…(^^;
どっちが簡単?っていうと、数学の基礎を勉強していなくてもできる「実験による証明」の方が簡単?
いえ、いえ、そんなことはありませんよ!
「実験による証明」の方では、数学的に難しい部分を既にこちらで用意済みだったのです。
「実験による証明」を自分で一からやるには、まず正三角形、正方形、正五角形、正六角形を描く必要があります。
正五角形をどうやって描きます? それにはやっぱり数学/幾何学を勉強していないといけないのです。

正多面体が5種類あることは石器時代の人も知っていた

「正多面体」で検索すると「プラトンの立体」って言葉が出てきますが、プラトンさんが正多面体を見つけたわけでも、5種類しかないことを証明したわけでもありません。(詳細は自分で調べてね。)
そんなことより、「正多面体」で検索していて見つけたこのページ↓
Neolithic Carved Stone Polyhedra(新石器時代の多面体の石玉)
お〜すごい!新石器時代に5種類の正多面体に相当する石の玉を作っていたんですよ〜!!
5種類しかないことを証明はしてないでしょうが、5種類あることは知っていたんですよ〜

あ、上で紹介したページは英語のページで、「正多面体」で検索して出てくるわけないですね。
「正多面体」で検索して見つけたページはこちら→「新石器時代の多面体
このページの中に『スコットランドでの「手作業による発見」が, ギリシャでの「数学的研究」をはるかに先行しているが…』という記述がある。ん、ん、「手作業による発見」いい言葉ですね〜(^_^)

このページでやっている「実験による証明」は、2008/01/26に府中グリーンプラザで、
ふしぎ発見科学教室「正多面体ペーパークラフト〜正多面体はなぜ5種類しかないのか?実験」をやったときの内容ですが、そのときの狙いは「手作業による発見」みたいなこと。
自分で手を動かして、自分で何かを発見する。という体験は長く記憶に残りますからね(^_^)v

正多面体が5つ存在し、5つしか存在しないことを証明したのは、古代ギリシャの数学者テアイテトスだそうです。
正多面体が5種類だけであることを証明したのはテアイテトス