日々の生活の思索の中から生み出される問題意識をふまえ、部落差別を核心に据えて、「人間と差別」をテーマに編集。
こぺる刊行会刊/A5判・16頁
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最新号 230号(2012年5月号)
  • 〈『こぺる』終刊に寄せて〉誌名「こぺる」誕生秘話/山本尚友
  • 〈『こぺる』終刊に寄せて〉自由にものが言える孤高の小冊子/小澤覚
  • 〈尼崎だより 〉定点支援・継続支援・永続友好を目指す/中村大蔵
  • 〈四日市から 〉介護の常識をくずす―「かいご学会」に参加して/坂倉加代子
  • 〈幻の銀河〉―写真と文/小林 茂
  • 濃水飛山記/藤田敬一
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はじめての方に
 京都部落史研究所の所報『こぺる』の廃刊を惜しむ人びとが声をかけあって継続発行を発起したのが1992年初夏。そして基金をもちより復刊したのが1993年4月。それから10年がたちました。復刊当初を思い出すよすがとして、連名による基金の呼びかけ文を抄録します。
 すでにご承知の方もおられるかと存じますが、京都部落史研究所の所報『こぺる』は1992年5月号をもって廃刊となりました。
 世に部落問題関係の新聞・雑誌はたくさん出ていますけれど、『こぺる』は毎号わずか16頁ながら部落差別の歴史・現状・課題を中心に多彩な問題提起 をくりひろげるユニークな雑誌でした。掲載された文章がまとめられて一冊の本となり、好評を博したものもあります。たとえば『中世の民衆と芸能』『近世の民衆と芸能』などはその一例です。
 また、差別問題をめぐる情況をふまえ、これまでの発想、理論、思想の枠組みそのものを大胆にとらえかえし、より広く、より深く「人間と差別」について開かれた論議が展開される必要を感じている人びとにとって、『こぺる』への期待はけっして小さいものではなかったといえます。
 しかし京都部落史研究所には、残された時間と精力を『京都の部落史』全10巻の感性に注がなければならないという事情もあり、あえて『こぺる』の廃刊に踏み切ったと聞いています。なにごとも廃止・廃刊が決まると急に惜しくなるのが人情でしょうし、惜しまれて廃止・廃刊するのも一つの行き方ではありますが、『こぺる』がこれまでに果たしてきた役割と成果を考えますと、その廃刊は残念でなりませんでした。
 ところがまもなく、廃刊を惜しむ人びとのあいだで、「ならばこの際、『こぺる』に親しんできたものが、力を合わせ続けて発行しよう」との声が自然にあがり、たがいに呼びかけあったところ、百名をこえる方の賛同がえられました。京都部落史研究所も誌名の使用などを快く承諾してくださっています。つまり、京都部落史研究所の『こぺる』は、読者の、読者による『こぺる』として再生、蘇生することになったわけです。(略)
 もちろん、前途が容易でないことは覚悟しています。既成の発想、理論、思想の枠組みを検証し、新たなものを創造するといっても、ことはそうスムースに進むとは思われないし、しばらくは発行部数も限定されるでしょう。組織や集団に頼らず、個々人の力を集めてやるのですから、困難を乗り越えるには、おたがいが困難を分かち合うしかない。そこでまずは、刊行呼びかけに加わった者一人ひとりが基金を持ち寄って出発時の財源にすることにしました。10月2日現在、呼びかけには加わらないけれども趣旨に賛同するといって基金を拠出してくださった方の分を含めて、その額は168口84万円になっています。しかし、これだけではなんとも心もとなく、広くみなさんにお訴えしてご支援をお願いしたいと考えた次第です。(略)
1992年11月
 「お願い」文に名を連ねてくださった105人のお名前を眺めると、すでに亡くなった方、病床にある方、いつしか離れていった方、それぞれのお顔が浮かんできます。しかし、ま、それは人の世の常。現在、発行部数は千部たらず。ミニコミ誌の域を脱していません。でもね、「大きいこと、多いことはいいことだ」とは必ずしもいえないと思うのです。大切なのは「志」ではないでしょうか。小さな月刊誌だけれども、「志」だけは持続しているつもりです。


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