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福島第一原発事故に関する緊急声明(第二段)
2011年4月26日 核戦争を防止し平和を求める茨城医療人の会
現在、東日本大震災を誘因とした福島第1原子力発電所の事故による、放射性物質の拡散と汚染の結果、被災地域住民の不安は頂点に達している。4月17日には、東京電力が「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」という今後6~9か月の工程表を示したが、その予定は楽観的すぎかつ具体性に欠けるとの指摘が、既に各所からあがっている。また、日本政府は4月11日に、事故を起こした原発から半径20km以上の地域にも避難指示区域を拡大すると発表し、22日には半径20km以内を警戒区域としたが、地元住民とのすり合わせのない決定は、住民の不安に拍車をかける結果となった。4月19日には、さらに広い範囲を対象地域として、文部科学省が学校での屋外活動の制限を打ち出すに至り、福島県内の原発近隣市町村にとどまらず、茨城県内でもますます不安はつのっている。
避難指示区域の再設定と、学校での屋外活動制限では、ICRPの勧告(2007年、2009年) 及び それに基づくICRPの今回の事故に対する文書(3月21日)が参考にされたが、緊急避難時の周辺住民の被曝線量の目安(20~100ミリシーベルト)と事故対策進行時の一般住民の被曝放射線量の目安(年間1~20ミリシーベルト)で、各々最低値と最高値を採用した結果、一貫性のない国際的にみても理解しがたい決定となった。小児において、外部被曝のみで年間20ミリシーベルトまでの放射線被曝を許容する基準は、日頃、被検者の医療関連被曝に細心の注意を払い、年間5ミリシーベルトを超す場所を放射線管理区域とし、法的規制のもと線量計をつけ、成人労働者の被曝も1.3ミリシーベルト/3か月までに管理している医療者からみると、とうてい妥当なものとは思えない。
また、困難な現場で事故の処理にあたっている原発労働者の健康管理についても、作業が長期化するにつれ、メンタルケアも含めた種々の深刻な問題が生じている。しかし、基本となる被爆管理についても、管理手帳の記載不備が判明するなどあまりに酷い状況である。
政府、東京電力及び関係諸機関が、原発事故や関連する正確な情報を迅速に提出して共有し、国内外の叡智を集めて収束に向けた対策を立案し実施しなければならない。また、問題点も含め現状を明確に示して国民にわかりやすく情報発信する責務を負うのも、当然である。しかしながら、残念なことに、現状は、それとは程遠い状態である。この点に関しては、マスコミの責任は重大である。従来の原発安全神話のみを書きたて、国民に危険性の報道を意識的に避けてきた罪を免れることはできない。
ついては、私達は、政府、東京電力及び関係諸機関に対し、とくに下記事項を緊急に要望する。
一、 福島県内のみならず、東北・関東のひろい範囲で、とくに小中学校での放射線量の変化を継続して計測すること。そして、東電の発表した工程表に基づき、各地での6~12か月の累積線量の推移を複数シュミレーションし、詳細なハザードマップを作成すること。その際、気象庁は、風速や風向きの変化の資料など参考になるデータを全て提供し協力すること。
二、 学校での課外活動制限を外部被曝のみで年間20ミリシーベルト超とした理由をわかりやすく示すこと。とくに、医療機関等で法的に管理区域とされ、労災認定でも基準の一つとなる年間5ミリシーベルトを超える数値が、小児の一般被曝で許容される理由を科学的・医学的に明示すること。また、放射線医学総合研究所や長崎大学など、放射線医学影響研究機関協議会のメンバーは、現在の規制値の妥当性を検討し、必要に応じて認容できる規制値を新しく示し、その理由をわかりやすく国民に広く説明すること。
三、 原発事故の現場で、過酷な条件で働く労働者の健康管理に万全を期すこと。メンタル面でも十分なケアを行うと同時に、大量被曝事故の発生にも考慮し、とくに危険な業務に携わる労働者については、造血幹細胞移植のための骨髄保存を行うこと。
現在の厳しい状況の中では、省庁間の壁は一切排し、情報の共有と発信を行わねばならない。また、放射線被曝や防護について専門的見識を持つ医師や科学者は、一度、経済的損失や社会不安の助長といった観点から離れ、まず、自らの専門性や科学性に基づいた判断や情報発信を行うべきである。かつて、水俣病やイタイイタイ病といった公害病で、権威ある医師や科学者が犯した誤りを再び繰り返すことは、けっして許されない。
福島第一原発の放射性物質放出について
マスコミの正確な危険性報道を求め、
政府の迅速な情報収集・発表を要求する緊急声明
常陽新聞(3月20日付)に掲載されました。
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2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、今も逼迫した避難生活を送られている被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
福島第一原発においては、現場関係者の懸命の努力にもかかわらず、空気中への放射性物質の拡散が起こりつつあります。
放射性物質の漏洩の規模は予測できませんが、状況により、人体に危険なことは言うまでもありません。
ところが、これまで、NHKをはじめすべての民放テレビ、ラジオ、新聞による放射能汚染の報道では、原電敷地外の汚染放射能レベルが、数十マイクロシーベルト以下であり、人体への危険性の低さを説明するために、その放射線量が「通常の胸部X線撮影による被曝量より低い」とたびたび解説しています。この説明は、一般市民に放射線量を理解させるのには便利ですが、その一方、重大な過誤を含んでいます。
人体へのX線の影響は照射時に限定されますが、放射性物質の場合は体内に取り込まれると、当該物質の周囲の細胞に長時間影響します。
例えば、ヨード131は、甲状腺に特異的に取り込まれるので、のちに甲状腺がんなどの疾患を起こすことは確認されています。一方、通常のX線検査で、そのような結果が生ずることはありません。
特に危険なのは、プルトニウムです。プルトニウムは、肺や骨に取り込まれ、一度摂取されると排出するのは極めて困難です。また半減期が長いので、摂取量によっては死に至る可能性があります。
今回、事故原因の核燃料にはプルトニウムが含まれています。2010年9月に運転開始している<3号機>は、毒性の強いプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電です。
したがって、放射能の影響は被曝線量のみで判断されるべきではなく、被曝の状況、放射線源、放射線の種類などにより、正確に理解されるべきです。このことは、日本人が原爆被爆の実相を解明した経験で確立した原理であります。
今回の放射性物質漏洩の危険性を、X線検査と比較することによって、その危険性を、マスコミ報道視聴者に過小評価させるのは、重大な誤りだと考えます。
日本の市民は賢明であり、正確な情報には冷静に対応すると、われわれは信じています。反対に、正確な危険性を理解しておれば、万が一重大な事態が発生してもパニックに陥ることなく、事前に賢明な対策を講ずるでありましょう。
これまでのマスコミ報道に深刻な反省を求め、放射性物質による大気汚染について、正確な知識を市民に提供することを求めます。
また、日本政府にはより正確な原発の危険性を把握し、国民に対して迅速に広報いただくよう強く要望します。
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2011年3月18日
核戦争を防止し平和を求める茨城医療人の会 会長 桜井保之
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