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●カルタゲナー症候群


 カルタゲナー症候群(Kartagener syndrome)は、1904年にSiewertによって、はじめて報告された。(カルタゲナー症候群はジーベルト症候群(Siewert syndrome)として時々知られる。)1933年のカルタゲナーの研究と1936年のカルタゲナーとホーラッハー(Horlacher)による患者家族の報告からこの名前が使われるようになった。

 カルタゲナー症候群は、慢性副鼻腔炎と気管支拡張症を作り出している異常な前頭洞、および、線毛の機能障害の内臓逆位(転位)の組み合わせによって特徴付けられた常染色体劣性の稀な遺伝性疾患である。また、再発性呼吸器感染、右胸心を臨床徴候に含める。線毛の欠陥は気道の中の粘膜繊毛運動を結果として休止している。これは胎児の生命にも影響され、カルタゲナー症候群を持つ男の精子は無動性である。男の生殖不能と女の半不妊性はカルタゲナー症候群において観察されている。そのほか、嗅覚損失、角膜異常、中耳炎の報告がある。

 一次性繊毛ジスキネジー(Primary ciliary dyskinesia=PCD)は、慢性副鼻腔炎と気管支拡張症によって特徴付けられた疾患群で、内臓逆位とその患者のケースはPCDの約50%に存在していて、カルタゲナー症候群を構成しているといわれる。

 カルタゲナー症候群の文献に網膜色素変性症の記載例は多い。筆者が調べた文献には記載されていなかったが線毛不動症候群(Immotile cilia syndrome=ICS)の文献のほうでは、繊毛の異常は網膜色素変性症のX 連鎖性と常染色体の形の両方で報告されている。X 連鎖性の網膜色素変性症を引き起こすRPGR遺伝子の変異は原発性線毛機能不全症候群(ICS)と見分けがつかない再発性呼吸器感染症と関連したいくつかの事例がある。また、アッシャー症候群タイプIの海外の文献には1973年にLakeとSharmaが網膜色素変性症と先天聾とのカルタゲナー症候群の関連性を報告した。1993年にはBonneauらが2人の兄弟の気管支拡張、慢性副鼻腔炎、および縮小した鼻音の粘液線毛とアッシャー症候群タイプIの関連性を報告し、USH1が主要な線毛疾患であるかもしれないことを提案したという報告がある。しかし、カルタゲナー症候群における網膜色素変性症の症例はありそうで断定できるものだけの証拠がなかった。なによりもカルタゲナー症候群は、内臓逆位、気管支拡張症、および、慢性副鼻腔炎の三つを主特徴とした疾患である。まだまだ未知の学ぶべき部分が多い疾患である。

※“Primary ciliary dyskinesia=PCD”を一次性繊毛ジスキネジーと訳しましたが、第一の、主要な繊毛の運動障害という意味があり、疾患名である。また、線毛不動症候群(Immotile cilia syndrome=ICS)と同義語である。ICSは原発性線毛機能不全症候群とも訳される。
※変異した遺伝子がマッピングする遺伝子座 9p21-p13, 7p21, 5p15-p14
※Manes Kartagener(1897-1975)スイス人内科医
※有病率は約1/16,000

■参考文献
 #244400 KARTAGENER SYNDROME
 #242650 PRIMARY CILIARY DYSKINESIA; PCD
 #276900 USHER SYNDROME, TYPE I
 ほか

(作成日:2008/5/18)



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