動物の健康と病気

ウサギの食事

食事の種類

■主食

ウサギの主食には、牧草とペレットを与えます。牧草はいつでも食べられるようにケージ内に常備しておき、ペレットは毎日決まった量だけを与えるようにします。

■牧草

ウサギは本来、雑草や枯葉のようなカロリーが低く、繊維質で消化に時間がかかる食べ物を消化するのに適した体の構造になっています。そのため、食物繊維が少ない食事を続けていると、腸の運動が悪くなり、胃に毛玉が溜まったり(毛球症)、慢性的な下痢をしたりする原因となります。 また、咀嚼回数が少ない食餌では、歯がうまく磨り減らず、不正咬合(噛み合わせが悪くなり歯が伸びすぎること)の原因にもなります。そのため、食物繊維が豊富で、咀嚼回数が多くなる牧草は、ウサギに必ず与えるようにしましょう。

牧草には様々な種類がありますが、市販されていて入手しやすいものは、主にアルファルファとチモシーの2種類でしょう。アルファルファやクローバーなどのマメ科の牧草は、栄養価が高く、カルシウムも豊富ですが、食べ過ぎると肥満や結石の原因となります。そのため、成長期の子ウサギや子育て中の母ウサギに適しており、大人のウサギにはあまりお勧めできません。また、嗜好性が高いので、病気で食欲が減退したとき(ただし結石などのカルシウム過多の状態を除く)などに与えると良いでしょう。

チモシーやオーチャードグラスなどのイネ科の牧草は、低蛋白・低カルシウムで、栄養価が低く、食物繊維は豊富に含まれているので、たくさん食べても肥満や結石になる心配がありません。イネ科牧草の中でも特にチモシーは、嗜好性が良く栄養バランスも良いので、成長期を過ぎたウサギに与えるのに最適です。

牧草は直射日光が当らない涼しい場所で保管しましょう。また、牧草は変色しやすいので、光を遮る袋で保存すると良いでしょう。できるだけ買い置きせず、新鮮な牧草をあたえましょう。

■ペレット

牧草や野菜だけでウサギに必要な栄養を摂取できない場合、それを補うために与えるのがペレットです。ただ、市販されているものの中には、嗜好性を重視し、ウサギの健康への配慮が不十分なものもあるので、良質なものを選ぶのが重要です。

大人のウサギには、粗蛋白13%以上、脂肪3%以下、粗繊維20〜25%を目安にしたペレットが適していると言われています。近年は、犬や猫と同様に、成長過程に応じたペレット(グロース、メンテナンス、シニア)も入手できるようになったので、それらを与えるのも良いでしょう。 ペレットも与えすぎたり、不適切なものを与えたりすると、肥満や胃腸の病気、歯のトラブルの原因になります。目安として、ウサギの体重の約1.5〜2.5%のペレット(体重2kgなら30〜50gくらい)を朝と夕方の1日2回与えると良いでしょう。

■副食

ウサギには副食として野菜や果物、野草を与えます。主食として牧草とペレットを与えますが、本来植物を食べているウサギは野菜や果物などの植物を好み、嗜好性も高いです。場合によってはペレットでは補えない微量栄養素などを補うこともできます。個体によって好物も異なるので、飼っているウサギの好物をみつけておけば、食欲が落ちてペレットを食べなくなった時などに使うことも出来ます。ただ、毎日与える必要はなく、補助的におやつ感覚で与えるくらいで良いでしょう。

■野菜

野菜は新鮮なものを流水でよく洗い、水気をしっかりふき取って与えます。食べ残したものはすぐに片付けるようにします。単品に偏らず、いろいろな種類のものを少しずつ与える方が良いでしょう。 ニンジン、チンゲンサイ、キャベツ、大根の葉、カブの葉、生のサツマイモなどがおすすめです。
絶対に与えてはいけない野菜:アボガド、ネギ類(ネギ、タマネギ)、ニラ、ニンニク、ジャガイモの芽

■果物

果物も新鮮なものを流水でよく洗い、水気をしっかりふき取ってから与えます。リンゴ、イチゴ、バナナ、パパイヤ、パイナップルなどを好みます。特にリンゴは嗜好性も高く、繊維質も多いので与えると良いでしょう。

■野草

みずみずしい野草はウサギの大好物ですから、手に入るのなら季節ごとに新鮮な野草をあげることは良いことです。ただし、農薬、排気ガス、犬猫のフンなどで汚れていないものを選び、よく洗ってから与えましょう。
与えても良い野草: タンポポ、レンゲ、シロツメグサ、ハコベ、ナズナ、オオバコ
有毒な野草: ワラビ、アサガオ、アセビ、スイセン、ニチニチソウ、シャクナゲ、キョウチクトウ、ホウズキ、ヒガンバナ、アメリカヤマゴボウ、クワズイモ
部屋に飾っておいたものをウサギが勝手に食べて中毒を起こしてしまうこともありますから、注意して下さい。

■おやつ

基本的にはウサギにおやつは必要ありません。おやつとしてウサギの好むものを多量に与えると、主食を食べるのを妨げ、栄養バランスを崩してしまいます。 コミュニケーションをとったり、食欲が落ちているときに食欲を引き出したりするのに、おやつを利用するのが良いでしょう。好物の果物や新鮮な野草などを主食を妨げない程度の量だけ与えるのなら問題無いでしょう。

市販のウサギ用のおやつなどを与えるときは、成分などをよく確かめ、糖分やカルシウムの高くないものを少量(クッキーなら1日に1/2個以下)与える程度にします。パン、菓子・スナック類、ケーキなどの人用の加工品や、チョコレート、アルコール類は絶対に与えないで下さい。

食事の与えかた

■成長過程に応じた食事の与え方

《成長期》
離乳後(生後6〜8週)から性成熟を迎える6〜8ヶ月齢までの成長期に、十分な量の良質な食事を与えることがウサギを健康に育てるために重要です。丈夫なからだをつくるためには、良質な植物性蛋白質が必要なので、この時期にはアルファルファを原料としたペレットや、アルファルファの牧草を主食として常に食べられるようにしておきます。

《維持期》
十分に成長し大人になったウサギ(1〜5歳くらい)には、肥満や結石にならないよう、チモシーを主原料としたペレットや、チモシーなどのイネ科植物の牧草を主食として与えます。

《高齢期》
5歳を過ぎるとウサギのからだは徐々に高齢へと向かい、食欲が落ちたり、からだの抵抗力がなくなっていきます。高齢のウサギには高繊維で低カルシウムなチモシーを主原料としたペレットや、チモシーなどのイネ科植物の牧草を主食として与えます。老齢期になると、食欲が落ちることもあるので、嗜好性の高いアルファルファを主原料としたペレットやアルファルファを時々おやつ感覚で与えても良いでしょう。 また、場合によっては、野菜や果物を細かく切ったり、ペレットを軟らかくふやかして与える必要性があります。

■食事を与える時間

ウサギには朝と夕方もしくは夜の1日2回、食事を与えます。ウサギは夜行性なので、夜間の方が消化器も活発に動きます。したがって、夜に与える量を少し多めにします。 ペレットはウサギの体重の約1.5〜2.5%(体重2kgなら30〜50gくらい)を1日2回与えると良いでしょう。牧草はいつでも食べられるようにケージ内に常備しておきます。 草食動物であるウサギの消化器は、いつでも活発に動いていなければならないので、食事の与え忘れに注意して下さい。ペレットの種類を変えるときは、これまで与えていたものに少しずつ新しく変えたいものを混ぜながら、時間をかけ徐々に変えるようにします。ウサギはとても神経質なので、これまで食べたことのないものを急に出されても、食べずに腸内細菌のバランスが崩れて、下痢を起こしたりすることがあるからです。

■飲み水

ウサギには飲み水が絶対に必要です。与えている食事や環境によっても異なりますが、一般的には1日に体重の約10%の飲水量(体重2kgなら200cc)が必要だといわれています。ウサギはたくさん水を飲む動物なので、水の与え忘れには注意しましょう。

ウサギは湿気に非常に弱いので、水は給水ボトルに入れてケージに取り付けると、からだや床が濡れないのでおすすめです。水は水道水で十分ですが、塩素が気になるようなら、十分に沸騰させたお湯を常温に冷ましてから与えると良いでしょう。ミネラルウォーターは結石ができる原因となるカルシウム含有量が多いので不向きです。また、うさぎの腸内は中性であるため、アルカリイオン水などのpH値が片寄っているものも不向きです。

文責:フクナガ動物病院