予習シリーズ・5年下〔算数〕についての雑感![]()
四谷大塚の算数教材については数年おきに改定版や新版が出題されていますが、全体的な傾向としてテキストの難易度は改訂されるたびに易しくなっています。受験生の増加に伴い、会員の学力レベルが下がってきている(他の大手塾も同様)からでしょうが、メイン教材の『予習シリーズ』については難易度は変わっていません。一方で、分量は多くなっています。
たとえば、旧版の『予習シリーズ5年下』の総ページ数は141ページ、現在の5年生が使っている新版の『予習シリーズ5年下』の総ページ数は171ページで、何と21%増です。第1回のテーマをみると、
【旧版】1.速さの表し方 例題1〜3〔2ページ〕 2.売買損益 例題4〜6〔2ページ〕
【新版】1.速さの表し方 例題1〜6〔3.5ページ〕 2.計算のきまり 例題7〜10〔2.5ページ〕
となっています。内容が一部異なりますので、単純な比較はできませんが、ページ数、例題数とも大幅増です。以前は2時間の授業で、例題と基本問題まで終えることができましたが、現在では例題のうちのレベルの高い問題(★印など)はとばして教えています。
では、各回の内容について雑感をここに書きこんでいきます。批判的な内容が多くなるかもしれませんが、あらかじめお断りしておきます。大手塾の作成教材のうちでは、使いやすさや内容の点で四谷大塚の教材が最も優れています。
また、各例題の出題頻度を上位校〔四谷偏差値60前後〕、中堅校〔同50前後〕に分けて、高い◎、普通○、低い△で表しますので、学習の参考にしてください。
| 第17回 正比例と反比例、時計に関する問題 |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校△
《例題3》 上位校△ 中堅校○
《例題4》 上位校△ 中堅校△
(3)は難問(倍数変化算の問題)です。線分図を書いて解くこともできます。
《例題5》 上位校○ 中堅校△
私は、この問題の類題を実際の入試問題の中に見たことがありません。例題として生徒にやらせる必要があるのでしょうか。
《例題6》 上位校○ 中堅校○
《例題7》 上位校△ 中堅校△
この問題も実際の入試でほとんど出題されないものです。5年生のこの時期にやらせる必要はないでしょう(私は生徒には教えません)。
《例題8》 上位校○ 中堅校△
私は時間の線分図を書き、比例式を立てて解く方法で教えます。塾によってはグラフと相似な三角形を利用して教えるところもあります。
| 第16回 合同と相似(3)、比と比の性質(4) |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校○
《例題3》 上位校○ 中堅校◎
《例題4》 上位校○ 中堅校△
このタイプの問題では、(図1)と(図2)のように分けて書いてある図形を重ねて書くと手がかりが見つかります。
《例題5》 上位校○ 中堅校△
《例題6》 上位校△ 中堅校△
《例題7》 上位校△ 中堅校○
《例題8》 上位校△ 中堅校○
《例題9》 上位校◎ 中堅校△
「倍数変化算」の問題で、線分図を使った解法で指導する塾もあります。
| 第14回 合同と相似(2)、年令に関する問題 |
《例題1》 上位校△ 中堅校○
《例題2》 上位校◎ 中堅校○
(2)の連比の問題は特に重要で、解法をしっかりマスターしたい問題です。
《例題3》 上位校○ 中堅校○
《例題4》 上位校○ 中堅校△
《例題5》 上位校○ 中堅校△
《例題6》 上位校◎ 中堅校△
《例題7》 上位校△ 中堅校△
《例題8》 上位校△ 中堅校◎
年令算の典型問題です。線分図を書くときには左側を少し開けて書き始めます。
《例題9》 上位校○ 中堅校△
《例題10》 上位校○ 中堅校△
「マルイチ算」を計算で解いたとき、最後の方で『74才+A=15才+B』といったような式が作れます。この先の計算は、この式を線分図で表すことによって、はっきりとわかります(小学生には移項の考え方で教えることはできません)。
| 第13回 比と比の性質(3)、合同と相似(1) |
《例題1》 上位校△ 中堅校○
《例題2》 上位校○ 中堅校○
《例題3》 上位校△ 中堅校○
《例題4》 上位校○ 中堅校○
《例題5》 上位校○ 中堅校○
《例題6》 上位校○ 中堅校○
例題3〜例題6の問題(倍数算)や小6上巻で学習する倍数変化算とよばれる問題は大別して線分図を使って解く方法と数式だけで解く方法があります。例題3〜例題6に示した解法はその両方を合わせたようなもので、特別な問題にしか対応できない解法です。これらの問題を私は最初に線分図を使って生徒に教え、(生徒によっては)問題のイメージがつかめた後は、計算だけで答を導き出す方法で教えます。
たとえば、例題6では(D−2200円):(C−2200円)=15:8 という比例式を立て、これを解くことによって答を出すことができます(途中で処理のまちがえやすい計算が出てきますので、その処理方法をしっかりと子どもに教えることが必要です)。
《例題7》 上位校○ 中堅校△
《例題8》 上位校○ 中堅校○
中学入試において、三角形の合同条件や相似条件を問う問題は出題されません。
《例題9》 上位校△ 中堅校◎
《例題10》 上位校△ 中堅校◎
| 第12回 比と比の性質(2)、図形上の点の移動(2) |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校○
《例題3》 上位校△ 中堅校○
《例題4》 上位校△ 中堅校○
《例題5》 上位校△ 中堅校○
《例題6》 上位校△ 中堅校○
《例題7》 上位校○ 中堅校○
《例題8》 上位校○ 中堅校○
《例題9》 上位校△ 中堅校△
(2)は難問です。とばしてもかまいません。
| 第11回 比と比の性質(1)、図形上の点の移動(1) |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校△
《例題3》 上位校△ 中堅校○
《例題4》 上位校○ 中堅校◎
《例題5》 上位校○ 中堅校△
妹がはじめに持っていた金額を5とおくと、分数を使わずにすみます。レベルの高い問題ですが、線分図を使って説明した方が理解しやすいかもしれません。
《例題6》 上位校△ 中堅校○
《例題7》 上位校○ 中堅校○
《例題8》 上位校◎ 中堅校△
(3)はせっかく比を習ったところですから、AP=@、QC=Bとして解いてみましょう。ここで、PD+CQ=(16cm−@)+B=20p、B−@=20p−16cm、A=4cm、@=2cm よって、2÷1=2(秒後)
《例題9》 上位校○ 中堅校△
(2)の問題は余力が十分にある子だけにやらせればよいでしょう。
| 第9回 図形の規則性、通過算 |
《例題1》 上位校○ 中堅校◎
問題によって解き方を使い分けるよりも、このタイプの問題は表を書いて規則性を見つけて解く方法の方が理解しやすいでしょう。
《例題2》 上位校○ 中堅校◎
同上
《例題3》 上位校△ 中堅校△
《例題4》 上位校△ 中堅校△
《例題5》 上位校△ 中堅校△
この問題は5年生にとっては難解です。とばしてもよいでしょう。
《例題6》 上位校△ 中堅校○
《例題7》 上位校△ 中堅校○
《例題8》 上位校○ 中堅校○
《例題9》 上位校○ 中堅校○
例題には「2つの電車のすれ違い」の問題が載っていません。基本的なパターンの問題はこの時期にしっかりとおさえておきたいです。なお、通過算の問題は「電車Aの運転手と電車Bの車掌の追いかけ」、「電車Aの車掌と電車Bの車掌の出会い」というように電車に乗っている人の追いかけや出会いと考えると理解しやすいかもしれません。試してみましょう。
| 第8回 図形の回転移動(2)、つるかめ算の応用 |
《例題1》 上位校○ 中堅校◎
「円が動いたあとの図形の面積=円の半径×2×中心が移動した距離」という公式は例題2の《参考》に書いてあるようにすべての場合に適用できるものではありませんから、私は生徒には教えません。
《例題2》 上位校◎ 中堅校△
《例題3》 上位校○ 中堅校△
《例題4》 上位校○ 中堅校△
《例題5》 上位校△ 中堅校△
《例題6》 上位校○ 中堅校○
(2) 花子さんが妹に1回勝つと花子さんは妹より3+1=4(段)上にくるから、1回目から連続して12÷4=3(回)花子さんが妹に勝つと、花子さんは妹よりも12段上にくる。残りは花子さんと妹が同じ回数(15−3)÷2=6(回)ずつ勝てば、2人の段数の差はかわらない。したがって、花子さんは妹に3+6=9(回)勝った。・・・このように求めることもできます。
《例題7》 上位校△ 中堅校△
以前も書きましたが、私はできるだけ計算がかんたんになるような教え方をします。この問題では牛の数をD、豚の数を3(□でくくる)とおくと計算がずっとかんたんになります。
《例題8》 上位校○ 中堅校△
《例題9》 上位校△ 中堅校△
例題8と同じように表を書いてかぞえるように指導したほうが、理解しやすいと思います。なお、この問題では表の一部を省略(1、2、・・・、9といった書き方)すれば、それほど時間がかかりません。
| 第7回 旅人算とグラフ(2)、整数の分解と構成 |
《例題1》 上位校△ 中堅校○
《例題2》 上位校○ 中堅校△
《例題3》 上位校◎ 中堅校△
3(3)はテキストの説明だけでは理解できないと思います。2人が動き続けるうちに、はじめは向かい合ってすれちがっていますが、途中で太郎君が花子さんを後ろから追いかけるようになり、そのうち追いつくという場合があります。それに関する問題ですが、2人の速さの関係によっていつそのような状態になるかということは一定しません。線分図よりもグラフを書きながらイメージさせた方が分かりやすいと思います。
《例題4》 上位校○ 中堅校△
このタイプの問題は普通のグラフに書き直して解くように、私は指導します。与えられたグラフだけで正確に情景をイメージして解ける生徒は少ないのではないでしょうか。
《例題5》 上位校△ 中堅校△
《例題6》 上位校△ 中堅校○
《例題7》 上位校△ 中堅校△
例題6、例題7の解説はとても難しい(高校で学習)ものですが、解法を機械的に覚えさせるだけでしたら簡単です。中学入試でこの知識を必要とする問題はほとんど出題されませんので、時間をかけて詳しく教えることもないでしょう。
《例題8》 上位校△ 中堅校○
《例題9》 上位校◎ 中堅校△
| 第6回 旅人算とグラフ(1)、集合算 |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校△
《例題3》 上位校△ 中堅校○
《例題4》 上位校○ 中堅校◎
《例題5》 上位校◎ 中堅校○
このような問題は線分図よりもグラフを書いて解くように指導した方がよいと思います。塾では、上位クラスの生徒に対しても自分でグラフを書くという指導をしないケースが多いようですが、グラフを書くことの利点はイメージをつかみやすいということのほか、図形問題(相似な三角形の利用)として簡単に答を求めることができる場合が多いという点があげられます。
《例題6》 上位校◎ 中堅校△
《例題7》 上位校△ 中堅校△
《例題8》 上位校△ 中堅校△
《例題9》 上位校○ 中堅校△
このような問題の解法としてはベン図を使う以外に表を書き加えて解く方法もあります(詳細は省略)。問題に応じて、表、線分図、ベン図を使い分けられるようにしたいものです。
| 第4回 速さの表し方(1)、割合(2) |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校○
《例題3》 上位校△ 中堅校◎
《例題4》 上位校◎ 中堅校○
《例題5》 上位校◎ 中堅校○
例題4、例題5は「過不足算」の解法を紹介していますが、『予習シリーズ6年上』のP.61の例題3にこれとまったく同じ問題があり、そちらでは「速さと比(逆比)」を利用した解法を紹介しています。比の簡単な使い方をマスターすれば、この解法の方がずっと容易ですから、私は生徒には初めから比(逆比)を使った解法を教えます。
《例題6》 上位校○ 中堅校◎
この線分図は『悪い見本』です。たとえば、(2)では「もとにする量」が同じですから、2/5+1/3の計算ができますが、(3)では「もとにする量」が変わりますから、3/5+1/4の計算はできません(この間違いをする生徒がとても多い)。そのことをはっきりさせるために、(3)では3/5を○で囲い、1/4を□で囲うといった指導をします。
また、この線分図では基準となる大きさ(1)が書かれていません。線分図はまず、1にあたる長さから書き始めるように指導します。
(注) 他の塾のテキストの中にも同様の不備が見られますものがあります。また、塾の講師の指導についても同様です。生徒の答案をみると、塾の講師が生徒にどのように教えているかということがよくわかります。
《例題7》 上位校○ 中堅校△
《例題8》 上位校△ 中堅校△
《例題9》 上位校△ 中堅校△
《例題10》 上位校△ 中堅校△
| 第3回 差集め・過不足算、数列(2) |
《例題1》 上位校△ 中堅校○
例題1(2)とP.32の問1(5)は同じタイプの問題に見えますが、線分図を書いたとき、「あまり」と「不足」の位置がちょうど反対になります。すでにあるものに対してのあまりとこれから必要なものに対してのあまりでは意味がちがうからです。問題の内容を理解せずに機械的に線分図を書いてしまう生徒が多く、まちがえやすいタイプの問題です。
《例題2》 上位校○ 中堅校○
《例題3》 上位校○ 中堅校○
《例題4》 上位校△ 中堅校△
《例題5》 上位校△ 中堅校△
《例題6》 上位校△ 中堅校△
《例題7》 上位校△ 中堅校○
《例題8》 上位校○ 中堅校◎
「6で割ると1あまり、8で割ると3あまる…」という問題では、「6で割ると1あまる数」と「8で割ると3あまる数」を両方とも書き出して共通なものをみつけるよりも、たとえば、「8で割ると3あまる数」だけを書き出して、それらを順に6で割って1あまるかどうかを調べていった方がかんたんです。
《例題9》 上位校△ 中堅校△
| 第2回 売買損益の問題、図形の回転移動(1) |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校◎
《例題3》 上位校△ 中堅校◎
もとにする量が変わる問題ですから、2本の線分図と2種類の記号を使って、その説明をしっかりとおこなったほうがよいでしょう。
《例題4》 上位校△ 中堅校○
《例題5》 上位校△ 中堅校○
「割合×割合」の操作をする問題で、はじめて出題されるタイプの問題ですから、ていねいな説明が必要です。
《例題6》 上位校△ 中堅校○
《例題7》 上位校○ 中堅校△
《例題8》 上位校△ 中堅校○
図形の移動の問題では頂点の記号は図形の内部に書くようにしましょう。図の中に頂点の動いた跡の線を書き込んだときに、記号と重ならないようにするためです。
《例題9》 上位校△ 中堅校○
《例題10》 上位校△ 中堅校○
《例題11》 上位校○ 中堅校△
| 第1回 速さの表し方(1)、計算のきまりと順序 |
《例題1》 上位校△ 中堅校△
《例題2》 上位校△ 中堅校△
《例題3》 上位校△ 中堅校○
速さの単位換算(時速→分速)を使った問題を扱っていますが、このテキストではこれ以前に速さの単位換算に関する説明がまったくありません。この問題を解かせる前に速さの単位換算に関する十分な説明と演習が必要です。
《例題4》 上位校△ 中堅校○
《例題5》 上位校△ 中堅校○
《例題6》 上位校△ 中堅校△
《例題7》 上位校△ 中堅校○
P.10の〈計算の順序を変えるきまり〉
C A÷B×C=A×C÷Bに関して
このタイプの問題は計算の順序を変えるよりも、÷Bを×1/BにしてBとCで約分するように教えた方がよいでしょう。
D A−(B−C)=A−B+C
この式の変形に関する説明は『負の数』の性質を利用しなくても線分図を書いて教えることができます。ただし、これを利用しなければならない問題は中学入試ではほとんど見かけませんので、私は生徒には教えません。
《例題8》 上位校○ 中堅校◎
《例題9》 上位校△ 中堅校△
《例題10》 上位校○ 中堅校△