ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー
The Survivor 1981年 オーストラリア
スタッフ/キャスト
製作: アントニー・I・ギネイン
製作総指揮: ウィリアム・フェイマン
監督: デヴィッド・ヘミングス
原作: ジェームズ・ハーバート
脚本: デヴィッド・アンブローズ
撮影: ジョン・シール
音楽: ブライアン・メイ
 
出演: ロバート・パウエル
ジョセフ・コットン
ジェニー・アガター
アンジェラ・パンチ=マグレガー
ピーター・サムナー
ローナ・レスリー
ラルフ・コッテリ
99分
ストーリー
 多数の乗客を乗せたジャンボジェット機が離陸直後に原因不明の墜落事故を起こした。バラバラに砕け散り、炎上した機体。生存者はいないものと思われたが、ただ一人、機長だけが奇跡的に無事だった。彼は事故の原因を突き止めようと独自に調査を進める。
 一方、事故現場を取材したカメラマンは、以来、不気味な少女の幻影に悩まされる日々を送っていた・・・
レビュー
 日本では劇場未公開に終わりながらも、ビデオやテレビ放映を見た人の間で評判を呼び、カルト的な支持を受けていたスリラー映画。テレビ放映時のタイトルは『墜落大空港』。長らく幻に近い存在でしたが、2005年6月、紀伊国屋書店よりめでたくDVD発売と相成りました。
 監督は、アントニオーニの『欲望』で主役を演じていたデヴィッド・ヘミングス。この人、他にもデヴィッド・ボウイ主演の『ジャスト・ア・ジゴロ』なんかも監督しているんですよね。変わりどころでは、TVムービーの『特攻野郎Aチーム/地中海殴り込み大作戦』なんかも手掛けています。主役の機長役は、ケン・ラッセルの『マーラー』が印象的だったロバート・パウエル。『第三の男』のジョセフ・コットンも、牧師の役でちょこっと顔を見せています。

*以下オチについての言及がありますので、ネタバレが嫌な人はご注意下さい。まあ20年以上前の映画ですし、最近では某有名映画の元ネタとして注目され、色々なところで語られているので、今更隠す必要も無いとは思いますが・・・

 『ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー』と言えば、ナイト・シャマラン監督のメガヒット作『シックス・センス』の元ネタとして話題に上ったことが記憶に新しいですね・・・って、これでもうネタバレ(^^; 一人助かったものと思われていた機長は実は幽霊で、事故で死んだ人たちを代表して、責任者を追及しにやって来たのだった!・・・というお話。
 ね、似てるでしょ? 「主人公が幽霊だった」というオチが同じですし、迷える幽霊たちの心残りを晴らしてあげるというところも似ています。『シックス・センス』に関しては、62年の『恐怖の足跡』の影響も指摘されていますが、本作の導入部が、シャマランの次回作『アンブレイカブル』と酷似している点を見れば、シャマランが何よりもまして本作をリスペクトしていることが分かります。
 確かになかなか印象的な映画ではありますよね。見る者を圧倒する、冒頭の「ジャンボ墜落シーン」。CGでは未だ表現できないこの迫力! 一変、この後は静かな展開になるのですが(←恐らくそのせいで地味だと判断され、公開を見送られた)、時々挿入される、夕闇に佇む「歪んだ機体」の映像が、観客の心に強烈な印象を残します。風に軋んだ金属の唸りが、被害者たちの悲痛な叫びのように聴こえます・・・

 う〜ん、カルト化しているのも納得ですね。どことなくファンタジックだし、結構情感もある。・・・が、しかし、正直言うと、私、あんまりノレなかったんですよねー。
 構造的な欠陥があると思う。この手の「実は主人公は○○でした」という“どんでん返し”をやろうとすると、主人公の内面にまで踏み込んだ描写はやり辛くなるんですよね。主人公の正体がバレてしまう恐れがあるから。でも、それだと感情描写がおざなりになって、スリラー、ホラー映画に不可欠な、“恐怖”という感情も見えなくなってしまう。恐怖映画として成立させるのは、なかなか難しいですね。ましてや、この映画の主人公は幽霊なんだし・・・。自分が幽霊なのに幽霊を怖がったりしたら、なんだか変な感じでしょ(笑)。『恐怖の足跡』の場合のように、主人公が、訳も分からずこの世を彷徨っていて、“自分が死んでいること”を認識していないのならいいですが、この映画の主人公は、非業の死を遂げた哀れな魂たちの無念を晴らすためにこの世に戻って来たという設定なので、どうにもオカシクなってしまいます。
 だから、この映画の場合は、事故現場を取材していたカメラマンが少女の亡霊に付きまとわれて怖い思いをするという展開を用意して、なんとか恐怖映画として成立させようとしているのですが、そちらのエピソードが全然本筋に絡んで来ないので、なんだかチグハグした印象に・・・。構成に難ありですね。一方には感情を見せない主人公、もう一方には本筋と絡まないその場しのぎの恐怖描写・・・、これじゃあ見ている方としても気持ちを入れ辛いです。
 ホラー映画としての体裁、そして“どんでん返し”にこだわらず、もっとファンタジーとして割り切って作った方が、ネタの旨味を生かせたと思います。愛する妻とずっと一緒にいたいけど、無念の内に死んだ数百の魂を弔うために“死地”へと赴かなければならない主人公、夫の帰還を喜びながらも、その正体に気付き始めて不安を抱く妻。異色のラヴストーリーとしても楽しめそうでしょ? でも、そうした苦悩や葛藤は、ネタをばらしてこそ伝わるものです。導入部はスリラー、ホラー映画として始めて、途中からファンタジーの方向にシフトさせるという手もあったでしょう。

 この映画、巷ではやたらと高評価している人が多いので(←allcinemaのユーザー投票では10点満点中9.5!)、私が見誤っているのかなあと不安になって、IMDbを見てみたところ、あちらではちょうど真ん中の5.0。まあ、そんなところだと思います。
 いや、決してつまらないというわけではないんですよ。下手な秀作なんかより、遥かに見応えがある。左記に挙げた「墜落シーン」はやっぱり凄いし、恐怖演出のセンスも卓越している(←ジャパニーズホラーに与えた影響も大!)。でも、全体としてはまとまりを欠いていて、「傑作」とまでは言えない。「傑作に成り損ねた・・・」という形容詞が相応しいと思います。まあ、そんなところが逆に、愛らしいと言えないこともないですよね。野心的なアイディアに満ちた映画です。興味のある人は、是非見て下さいね。
映画の印象
/
降水確率20%
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 DVDは2005年6月に紀伊国屋書店より発売されました。本編のクオリティーは平均的で、映像特典もオリジナル劇場予告編のみですが、このような貴重な映画を発売してくれるだけでも嬉しいですよね。「Entertainment Collection SILVER」というB級映画専門のレーベルから出ている商品の1枚ですが、このシリーズには魅力的な作品がいっぱい! 『恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ』、『悪魔のシスター』、『パトリック』、『炎にいけにえ』、有名どころでは『ヒドゥン』なんかも。どんどん続けてもらいたいですね(^^)

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これが本作の元ネタ
恐怖の足跡


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