| アウトロー | |
| The Outlaw Josey Wales | 1976年 アメリカ |
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| 南北戦争の時代、七丁の拳銃を持ち、“一人の軍隊”と呼ばれた伝説の男がいた・・・。彼の名は、ジョージー・ウェールズ。農民だったジョージーは、愛する家族を北軍のテリルという男に殺され、南軍に身を投じた。上官にして戦友のフレッチャーらと共に戦い続けるジョージー。しかし、圧倒的な兵力を有する北軍の優勢は揺るがなかった。敗色濃厚な中、フレッチャーは、部下たちの無罪放免を条件に、北軍からの降伏要求を呑むことを決断する。 頑なに投降を拒否するジョージーを後に残して、北軍のキャンプへ向かうフレッチャーと仲間たち。しかし、武器を捨てて投降した兵士たちを待っていたのは、ライフルと機関銃による一斉掃射だった! 全ては、今や北軍の大尉になっていたテリルの陰謀だったのだ!! いち早く事態を察知したジョージーが駆けつけるも、多勢に無勢。一人の若者を救出するだけで手一杯だった。しかも、せっかく助けた彼もまた負傷のために死んでゆく・・・ たった一人になってしまったジョージーの孤独な逃避行が始まった・・・のだが!? |
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| アカデミー賞を二度も受賞し、今や名実共に大物監督の仲間入りを果たしたクリント・イーストウッドの監督第5作。当然(?)、主演も兼ねてます。脚本に参加しているのは、『ライトスタッフ』、『存在の耐えられない軽さ』で監督としての評価も高いフィリップ・カウフマン。アクション満載の傑作ウエスタンです。 本作でイーストウッドが演じている「ジョージー・ウェールズ」という男は、“一人の軍隊”と言われる由縁に、七丁もの拳銃を装備しているのですが、これは単なるハッタリではありません。この映画の舞台は、ウエスタンによくある「西部開拓史時代」じゃなくて、もっと昔の「南北戦争」の時代。この時代の銃は、弾丸を装填するのにいちいち火薬を詰め直さなければならない「雷管式」と言われるシロモノだったので、一人で大勢を相手にするヒーローには、何丁も持たせる必要があったのです。彼は次々と銃を持ち替えて戦います。マカロニ・ウエスタン的リアリズム演出の洗礼を受けた、イーストウッドらしいコダワリですね。 映画は、そんなジョージーが長閑な農耕生活を送っているところから始まります。傍らには、愛する妻と息子の姿が。しかし、そこへ「赤足隊」と呼ばれる山賊まがいの集団がやって来ます。彼らはジョージーの家に火を放ち、彼の家族を襲います。必死に抵抗するジョージー。しかし、そんな彼にサーベルの一撃が振り落とされます。気が付くと、そこには、跡形もなく焼け落ちた家と、愛する家族の亡骸が・・・ 家族を埋葬したジョージーは、灰の中から一丁の拳銃を掘り起こします。このシチュエーションは象徴的ですね。リアリズムを追求しながらも物語に寓話性を盛り込むことを好むイーストウッドらしい演出です。特に西部劇だとこうなるみたいですね。『荒野のストレンジャー』然り、『ペイルライダー』然り。どちらの映画も、ほとんど幽霊譚のような雰囲気を持っていました(←特に前者)。本作の場合も、サーベルを打ち下ろされたジョージーが、一旦死んで、甦って来たようにも見えることから、同系統の作品と捉えることができます。やっぱり西部劇というのは、アメリカ人にとってもある種のファンタジーなんでしょうね。 復讐の鬼として甦ったジョージー。彼が身につける「何丁もの拳銃」も、背負いきれないほどの恨みや怒りの象徴に見えます。因縁の相手との決着の時に、銃を一丁抜きつける度に、殺された妻や息子の姿がフラッシュバックするシーンは胸に迫ります。 殺された家族を埋葬し、反乱軍に参加するところまでが、オープニングクレジット前の導入部なのですが、ホント、救いがないほど暗い・・・(^^; それで南北戦争中の苛烈な戦いは、クレジットの後ろでさらりと流して、本筋が始まると、いきなり敗戦ムード。北軍の裏切りに遭って仲間が皆殺し。やっと助けた若い兵士も、負傷のために衰弱していって、結局は死亡。ジョージーがこの若者に、幼いまま死んでしまった自分の息子を重ね合わせている節があるだけに、尚更残酷です。 たった一人になってしまったジョージー。孤独な逃避行、そして壮絶な復讐・・・。そんな感じのハードボイルドな展開を予想されるでしょうし、また、期待もするでしょ? 陰惨な作風が多い70年代の映画ですし。・・・でも、物語はだんだんとおかしな方向に行っちゃうんですよね。 ひょんな成り行きから、本人曰く“文明化された”老インディアンが同行することに。寡黙なジョージーに対して、おしゃべりな老インディアン。凸凹コンビの珍道中といった様相を呈してきます。その内、ジョージーに助けられたインディアンの娘、どこからともなくやって来た野良犬まで加わり、なんだか妙に賑やかに・・・。果ては、ジョージーに向かって説教をタレる頑固ばあさんとその孫娘まで一緒になって、すっかり大所帯になってしまいます。全然、「孤独な逃避行」じゃないじゃない(笑)。 拍子抜け? いやいや、なんだかほのぼのとしていて楽しいじゃありませんか。一行は、頑固ばあさんの戦死した息子が住んでいた農場へと行き着きます。最初は仕事が手に付かなかったジョージーも、だんだん昔を思い出したのか、みんなと一緒に働くようになります。先ほど「大所帯」と書かせてもらいましたが、正にその通り。この映画は、家族を殺されて復讐の鬼になった男が、再び家族を得て、少しずつ人間性を取り戻していく姿を描いた物語だったのです。 彼の変化は、戦闘的な先住民、コマンチ族と一触即発の事態に陥った時に顕著に表れます。彼はコマンチの戦士に向かって、「オレたちみたいな人間にとっては、“死”を選ぶ方が簡単だ。しかし、“生”を分かち合うことだってできるはずだ」と訴えるのです。復讐の鬼になり、戦いの中で死ぬなら本望だという気持ちになっていた男が、こんなセリフを口にするんですよ。感動的じゃありませんか。(ちょっとクサいセリフだけどね(^^;) こういう部分も含めて、全て「ファンタジー」だと言ってしまえばそうなのですが、残酷な現実を描き込んでいるからこそ、ファンタジーが生きてくるんだと思います。理不尽な暴力の数々・・・。それは時には「個人」のものであり、時には「国家」のものであったりします。あらくれ男どもは女性を陵辱し、国家は社会的弱者を蹂躙します。 この対置は意図的なものです。主人公の道中に、土地を追われた先住民を同行させることによって、国家の政策もまた、野蛮な暴力に過ぎないということを浮き彫りにしているのです。ベトナム戦争の悪夢がまだ影を落としていた、70年代映画らしい主張ですね。投降して来た南軍の兵士に宣誓をさせて、「合衆国に従うことを誓います」と言わせておいてから銃殺する場面なんて、ホント、露骨過ぎるくらい強烈な反体制主義(笑)。こんな映画、今じゃ作れませんね。 反戦の意志も明確です。主人公は、再び温かい家族を手に入れるのですが、それでも取り返しのつかない喪失感に憑かれてしまっているのです。映画のラスト、負傷し、血を流しているジョージーは、「オレたちはみんな、あの戦争で少し死んだんだ」と口にします。そう、彼はやはり、あの瞬間・・・愛する妻子を失ったその時に、死んでしまっていたのです。彼の心の中の一番大切な部分は失われ、もう二度と戻ることはありません・・・ 前半と後半ではガラリと雰囲気が変わる『アウトロー』は、「陰」と「陽」を持ち合わせているとも言える特異な映画です。こんな映画をさらりと撮り上げてしまうイーストウッドは、本当に非凡な監督です。肩の力の抜け具合が素晴らしい。監督5作目にしてこの境地!(←いや、彼の場合、処女作からしてこんな感じでしたけどね(^^;) 同じくウエスタンでは、『許されざる者』と『ペイルライダー』だけがとりわけ高く評価されている感がありますが、この映画もそれらに勝るとも劣らない傑作です。間違いなく、イーストウッドのフォルモグラフィーを語る上で最も重要な一本! 残酷で陰惨・・・、でも、とても優しい映画です。 余談ですが、この映画の国内版DVDを見る時には、一つ注意が必要です。前述した、ラストのイーストウッドの決めゼリフが、本当に酷い翻訳をされているんです。 原語「I guess we all died a little in that damn war.」が、「みんな戦争の犠牲者さ」ですよ!! なんという味気なさ! なんという薄っぺらさ! 直訳すれば「オレたちはみんな、あのクソったれの戦争で少し死んだんだろう」という感じだと思いますが、英語の台詞の中に度々登場する「damn」のニュアンスは日本語に訳すとあんまり伝わらないので、昔のビデオやLDのように、「オレたちは皆、戦争で少し死んだんだ」とするのも正解だと思います。 私、高校生の時にこの映画を初めて見たんですが、鑑賞中、正直言って、「それなりに面白いけど、お気楽な娯楽作品だな」という程度の感想しか抱いていませんでした。しかし、最後のあのセリフを聞いて、ジーンと胸を打たれてしまったのです。そして、「改めて思い返してみると、実は結構いい映画だった」と考え直させられたのです。 あれは映画のキモとなるセリフですよね。何かを“失った”とか“無くした”ではなく、“死んでしまった”というその「重さ」。それがDVDでは台無しでしょ。恐らく「『少し死んだ』なんて文法的におかしい。こうやった方が意味がすんなり通る」とばかりに得意になって意訳したのだと思いますが、なんという浅さ。映画の印象まで浅くされちゃってます。 それほど難しい言葉が出てくる映画でもないので、このDVDを見る時には、是非、字幕なし、もしくは英語字幕で見てもらいたいです。今でもBSなどでは旧版の字幕を使用した古いマスターで放送される場合があるので、DVDを持っている人でも録画する意義がありますよ。ちょっと無理な気はしますが、再発売、または新メディアでの発売の折には、是非、字幕を直してもらいたいものです。
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| DVDはワーナーより発売されました。上記したような問題点はありますが、価格も手頃なので、購入しておいても損はないと思います。2001年発売された「特別版」には、 映像特典として、 ・クリント・イーストウッドによるイントロダクション (約1分) ・ドキュメンタリー (約8分) ・メイキング (約30分) ・オリジナル劇場予告編 が収録されています。特典的には文句なしですね(^^) |
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| (2006/6/1) |
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