The Ghost Galleon
El Buque maldito / Ghost Ships of the Blind Dead / The Blind Dead 3 / Horror of the Zombies 1974年 スペイン
スタッフ/キャスト
製作: J.L. Bermudez de Castro
監督: アマンド・デ・オッソリオ
脚本: アマンド・デ・オッソリオ
撮影: Raul Artigot
音楽: Anton Garcia Abril
出演: Maria Perschy
Jack Taylor
Barbara Rey
Carlos Lemos
Manuel de Blas
Blanca Estrada
Margarita Merino



90分
ストーリー
 モデルのノエミは、行方不明になっているモデル仲間キャシーの消息を尋ねて、モデル・エージェントのリリアンに詰め寄っていた。リリアンは、全ての真相を話すと言って、彼女を波止場の倉庫へと案内する。そこで待っていたのはハロルドという名の企業家の男。彼はノエミに、キャシーともう一人のモデル、ロレーナを乗せたボートが外洋で遭難したと告げた。驚くノエミ! しかし、この遭難はハロルドが偽装したものだったのだ。ハロルドの右腕セルジョは、キャシーたちと無線で連絡を取り合っていた。ハロルドは新型ボートの性能をピーアールするために、劇的な生還劇を演出しようとしていたのだ。(←なんだか回りクドいの)
 キャシーからの定時連絡。必死に呼びかけるノエミ。しかし、交信はまたたく間に途絶えてしまう。キャシーは通信の最後に、深い霧の中に正体不明のガレー船(帆船)を見たと言い残していた・・・
 スキャンダルを恐れたハロルドは、警察に訴えると息巻くノエミを拉致すると、ヨットで外洋へと連れ出してしまう。同行するのは、リリアンとセルジョ、そして外洋のことに詳しい海洋学者のグルーバー教授だ。教授は霧の中に現れるという幽霊船の伝承に興味を抱いていた。その幽霊船と遭遇した者は、誰一人として帰っていないという・・・(←じゃあ誰が伝承してるんだ?)
 遭難ポイントへと向かったハロルド一行の周りに深い霧が立ち込めてくる。そして現れるガレー船。一行はボートで乗りつけると、ガレー船に乗り込んだが、そこに人の気配はなかった。しかしノエミは、船内でキャシーたちの遺留品を見付ける! 必死に船内を捜索するノエミ。しかし、そうこうしている内に、なぜかボートに繋いでいたロープが解けてしまい、一行はガレー船に取り残されてしまうことに・・・
 その夜、ハロルドたちを恐ろしい怪異が襲った! 船倉に横たえられた棺から姿を現したのは、盲目の死霊たち! このガレー船は、黒魔術に通じ、悪逆の限りを尽くした、呪われたテンプル騎士団の持ち物だったのだ!
 逃げ場のない船上で追い詰められるハロルドたち! 果たして彼らはテンプル騎士団の襲撃を退け、この窮地から脱することができるのであろうか!?
レビュー
 スパニッシュホラー界の異才、アマンド・デ・オッソリオ監督が放つ、『エルゾンビ/落武者のえじき(Tombs of the Blind Dead)』、『Return of the Evil Dead』に続く“ブラインドデッド・シリーズ”第三弾!
 海外ではカルト的な人気を有しているにも拘らず、日本では劇場公開はおろかソフト化もされていないので、当HPでは、広く流通している英語タイトル、『The Ghost Galleon(幽霊帆船)』と表記させてもらいます。


 馬を駆って襲い来る姿が印象的だったブラインドデッドですが、今回は新趣向。大洋に彷徨う幽霊船を舞台にしているので、馬には一切乗りません。そのせいでイメージが違うと不満を言う人もいますが、まあ他の映画と区別化を図る意味では、こういうのも一本ぐらいあったっていいと思います。ブラインドデッド復活のシーンが、シリーズ中で唯一、「使い回し」ではない新撮であることを見ても分かるように、なかなかの野心作でもあったのでしょう。でも、その割には特撮が安っぽ過ぎて、失笑を誘うのですが・・・
 いくらなんでも、あのガレー船のミニチュアは酷過ぎます。小学生の工作レベル・・・。いや、小学生だってもう少しマシな物を作るでしょう。そんなミニチュアの炎上シーンが、映画のクライマックスなんですからね。脱力感を抑えられません。出来が悪いなりにも、どうしてもう少し大きい物を作ろうとしなかったのか! ショボショボとした火のつき方で、スケール感の小ささが際立ってしまいます。それなのに作り手の方では、それを誤魔化すつもりもないみたいで、割り箸みたいなマストがポキっと折れて、小さな船がチャポンと沈んでいく様子をじっくりと時間をかけて映してます。なんてシュールな映像なんだ・・・

 話を幽霊船に持って行くまでの展開が、なんだか非常に回りクドいところもマイナス要素。ただ単に、写真撮影のために海に出掛けていたモデル一行が幽霊船に遭遇する話ってことでいいじゃない。新型ボートの宣伝のための偽装遭難だとか、妙にもったいぶっている割には、説得力は全然ない。そもそも、彼女たちがモデルである必要が・・・
 オープニングの後、ファッション写真の撮影風景が映し出された時は、シリーズ第一作『Tombs of the Blind Dead』の時の姿勢に立ち返って、古典的な幻想譚と現代的な風俗を融合させたような魅力的な世界観を見せてくれるのかと期待しましたが、風俗的な描写はこれだけでオシマイ。モデルという設定が今一つ活かされていないんですよね。『モデル連続殺人事件!』とか『Bloody Pit of Horror(惨殺の古城)』のような、イタリアのジャッロ映画を意識していたのかも知れませんが・・・


 そうこう言いいつも、この映画は、理不尽極まりない運命の中に登場人物たちを放り込む、オッソリオ節が遺憾なく発揮された映画でもあります。中でもモデルのノエミが辿る運命は悲惨です。行方不明になった友達を心配して調査していたら、悪漢たちに捕まって監禁されちゃう! 隙を突いて逃げ出そうとしたら、捕まってレイプされる!! こういう不幸な目に遭った人って、普通は最後は救われるものでしょ。しかしオッソリオは、そんな彼女に、寧ろ誰よりも悲惨な最期を用意するのです。
 ガレー船の船倉に入ってキャシーを探すノエミ。するとブラインドデッドたちが現れて、彼女に向かって襲い掛かってきます。傷を負い、体を引きずりながらも、なんとか階段をよじ登り、甲板まで辿り着くノエミ。しかし、ここまで頑張っていながら、結局は捕まって、船倉に引き戻されてしまいます。必死に抵抗するノエミ。しかし、次の瞬間、ブラインドデッドたちは容赦なく彼女の首を斬り落とすと、その血肉を喰らい始めるのです。
 なんなんなんだ!? どうしてこんなに救いがないんだ!? ここに神はいないのか!? それにこの描写の執拗さ! オッソリオ監督の悪趣味が炸裂した、シリーズ中でも随一の残酷シーンですね。
 シリーズのお約束ではありますが、ノエミとキャシーという二人の女性の間にレズビアンな関係があったことを匂わせるシーンもあるので、キリスト教的道徳に照らして見れば、彼女たちは「死んで当然」だったのかも知れませんが・・・

 酷い話だと言ってそっぽを向かないで下さい。きちんと悪者も成敗されるのですから・・・
 前作『Return of the Evil Dead』の時に、ガラにもなくハッピーエンドにしてしまったことを反省してか、今回は誰一人として救われない結末になっています。(←いや、だからそれが酷いつーの!)
 これと言ってなんにも悪いことをしてない海洋学者のオッサンも、泳げないばかりに船に取り残されて焼け死ぬ。(←海洋学者のクセに泳げないって・・・)
 丸太に掴まって海に逃れた残りの三人は、「丸太が沈んじゃうだろ! お前は放せ!」とばかりに、「蜘蛛の糸」よろしいような醜い争いを始めて、一人を殺してしまう。(←「醜い人間模様」というのもこのシリーズの売りになっていたんでしょうけど、これはちょっとワザとらしいかな?)
 そんでもって、二人だけが岸に辿り着くのですが、ブラインドデッドたちもまた岸に流れ着いてきて、二人が絶望的な悲鳴を上げてるところでオシマイと。
 ははははは、ここまで徹底してると、寧ろ気持ちがいいぐらいでしょ? 人は皆、罪深く、救い難い。人の業を問答無用に一刀両断するブラインドデッドたちは、「最後の審判」の時に現れるという「黙示録の騎士」の如き存在なんですね。
 ノッソリ、ノッソリと列をなして海から上がってくる姿がまたカッコイー♪


 ブラインドデッドたちが馬に乗らず、話運びもトロトロしているため、シリーズ最低作との呼び声も高い『The Ghost Galleon』ですが、シリーズ中最も悲惨な物語が繰り広げられる一編であり、登場人物たちを不幸のどん底に叩き込むことをモットーとする、オッソリオ監督の代表作とも言える作品だと思います。立派なんだか安っぽいんだか分からないようなその映像と合わせて、見所は意外と多いですよ。スパニッシュホラー独特の陰鬱にして猥雑な世界をご堪能下さい。
映画の印象
/
降水確率35%
「曇り勝ちの天気になり、
ところによっては雨も降るでしょう」
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 2005年10月現在、日本ではソフト化の予定はありません。アメリカでも質の悪い英語版しか出回っていませんでしたが、2005年9月、Blue Undergroundから決定版とも言える商品が発売されました。
The Blind Dead Collection(5-Disc Limited Edition)!!!
・『ブラインドデッド』シリーズ、全4作をニューマスターで収録!
・1作目と2作目は、アメリカ公開版とオリジナル・スペイン版、両バージョンを収録!!
・オッソリオ監督のインタビューやブラインドデッド誕生の経緯に迫るドキュメンタリーを収録した特典ディスク付!

・置き場所に困る棺おけBOX入り!!
 定価$99.95ですが、それなりに値引きしているお店も多いので、気になった方は購入を検討してみて下さい。リュージョン1ディスクのため、日本国内向けプレイヤーでは再生できないので注意!

 ちなみに、今回紹介した『The Ghost Galleon』のディスクの仕様は以下の通り。
・音声: スペイン語/英語選択可
・字幕: 英語字幕ON/OFF可

*特典
・オリジナル劇場予告編

・アメリカ版劇場予告編
・アメリカ版テレビスポット
・アメリカ版ラジオスポット
・ポスター、スチルギャラリー

(2005/10/26)

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