| 五毒拳 | |
| 五毒 / The Five Venoms / Five Deadly Venoms / Pick Your Poison | 1978年 香港 |
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| “五毒門”。それは中国四千年の歴史の中で、最も悪名高い武術の流派であった。五毒拳の使い手たちは暴虐の限りを尽くし、民から金品を強奪していたのだ。今でもその莫大な財宝は、どこかに眠っているという・・・ 弟子たちの悪行を恥じた五毒拳の師匠は、世に放たれた五人の弟子を討たせ、呪われた五毒拳を封印するために、ヤンという青年を鍛えようとする。 さて、ここで五毒拳について説明しておこう。 「五毒」とは、ムカデ、ヘビ、サソリ、ヤモリ、ガマという、毒を持った五種類の動物のことを意味している。五毒拳はそれらの動物の特徴を模した拳法なのだ。
それぞれにどれか一つの拳法を会得している五人の弟子たちを倒すため、師匠は、ヤンに五つ全ての拳法を教え込もうとする。しかし、老齢の師匠は、充分な修行を終える前に、病に倒れてしまった。 余命いくばくもないことを悟った彼は、ヤンに遺言する。 「五人の兄弟子を倒し、五毒門の者たちが奪った財宝を民の元に返すのだ! しかし、お前の腕前では五人の内のどの兄弟子にも勝てない! 五人の中で最も心の正しい者と組んで、他の四人を討つのだ!」 五毒門の人間は世間に出ると名前を変える。その上、修行中は常に仮面を被っているため、弟子たちは互いの顔を知らない。探し出そうにも、悪名高い「五毒拳」の名を口にすれば、自分の身も危ない。 手掛かりはただ一つ。今はカタギになっている元五毒門の老人だ。彼は、隠された五毒門の財宝の在り処を知っているらしい。五人の兄弟子は、必ずやそれを狙ってくるはずだ。 今、五毒門の人間が一堂に集い、激しい戦いの幕が切って落とされようとしていた!! |
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| 個性的な拳法を極めた男たちの、陰謀と裏切りに満ちた骨肉の死闘を描いた異色のカンフー映画。監督は、ショウ・ブラザーズの下で『嵐を呼ぶドラゴン』、『ブラッド・ブラザース/刺馬』、『英雄十三傑』などの数々のヒット作を生み出した、カンフー映画の名匠チャン・チェ。 日本では劇場未公開に終わりましたが、特に欧米では高く評価され、現在でも熱狂的な支持を受けているカルト作です。各国の映画評論家たちが選出した「死ぬまでに観たい映画1001本」にも掲載されています。 <新機軸のカンフー映画> 本作の公開は1978年。この時代、もはや古いタイプの時代劇調カンフー映画は低迷期を迎えつつありました。既にブルース・リーを経過していたのですから、それも当然でしょう。時代劇映画のベテランたちも、こぞって現代劇を手掛けるようになってきていました。しかし、ブルース・リー映画の悪しき模倣に過ぎないそうした作品は、ヴァイオレンス描写だけに売りにしたような愚にも付かない代物がほとんどだったのです。「リアル」の名の下に、カンフー映画特有の流れるような連続技も、美しい殺陣も見られなくなってきていました。 そんな中で、カンフー映画の名匠チャン・チェ監督は、敢えて時流に逆らい、伝統的なカンフー映画の復権を図りました。しかし、ただそれをやっても時代遅れになってしまうだけです。チャン・チェ監督は、様々な新しいアイデアが持ち込むことによって、この『五毒拳』を新時代基準のカンフー映画に仕立てようとしたのです。 まずはその拳法。虎拳、猿拳、鶴拳など、動物を模した拳法は人気がありましたが、それ故に映画の中にもたくさん登場し、もうほとんど出尽くしていた感があったので、今までに無いような新しい発想が必要とされました。そこで考え出されたのが、毒を持った禍々しい生物。ムカデ、ヘビ、サソリ、ヤモリ、ガマという五種類の生き物です。 「ヘビ」こそ比較的よくありますが、「ムカデ」や「サソリ」、「ヤモリ」や「ガマ」というのは斬新です。それ故に、それぞれの拳法の創作には試行錯誤を要したそうです。 <個性的な拳法> 一番苦労したのはムカゲ拳の型だそうですが、手を素早く動かすことでムカゲのたくさんの足を表現するという方法に落ち着いています。ともすればただ手をゴチャゴチャ動かしているだけみたいな大雑把な表現に陥ってしまいそうなところですが、チャン・チェ監督、そして武術指導を務めたリャン・ティン(←「詠春拳」という歴史ある武術の大家だそう)のコダワリによって、見た目もカッコ良く、しっかり拳法らしい型に仕上がってます。 「ヘビ」は無難に、そして「サソリ」もそれっぽく仕上がってます。問題は、やはり「ヤモリ」と「ガマ」でしょうか(笑)。ヤモリなんて、壁をペタペタ歩く以外には、これと言った特徴が無いですもんね。壁にバシっと張り付いているとそれっぽいんですが、拳法自体は全然普通って言うか・・・(^^; ガマの方は特徴を捉えやすいと思うのですが、びょ〜んと跳ねたりはせず、割と普通に戦ってます。じゃあどこが「ガマ」なんだということですが、気孔の種類の中に「蝦蟇(ガマ)功」というのがある(あった?)らしくて、それを使って体を鋼のように強靭にするという設定になっています。ちなみに、『カンフーハッスル』に登場した火雲邪神(ブルース・リャン)も蝦蟇功を使ってましたね。あっちはびょい〜んと跳んでましたが。
これらの動物たちを選んだのは、ただただ目新しさを求めたという以上に、毒を持った禍々しい生物を主題にすることで、映画に“ハード”で“ダーク”な味わいを付与する意図があったからなのでしょう。『五毒』(原題)というタイトル、それ自体が禍々しい印象を醸し出しています。 木枷で足を締め付ける、手鉤でノドを掻きむしる、鼻の穴から針を入れて脳を刺すなど、格闘シーン以上に、残酷な拷問、暗殺の描写が強烈な印象を残します。特に、濡れ衣を着せられたカエル拳の使い手が、警察から拷問を受けるところは悲惨です。 彼は蝦蟇功によって全身を鋼のように強靭にしているのですが、急所である耳の穴の中を刺され、弱ったところを「万針衣」の中に突っ込まれてしまいます。この「万針衣」というのが、体をすっぽり覆う入れ物の内側に何百本ものトゲトゲが突き出た、西洋の「鉄の処女」を思わせる恐ろしい拷問器具で、さしものカエル男も全身から血を流して失神してしまいます。でも、拷問はこれだけでは終わらず、次は火で熱した鎧を着せられて大火傷。終いには、身動きができないくらい弱ったところを押さえ込まれ、濡れた紙で顔を覆われて窒息させられてしまうのです。 無敵の達人が計略にハマって嬲りものにされた上に命を落としてしまう非情な展開には、心を揺さぶられるものがありました。(←大袈裟?)
本作を特徴付けているもう一つの要素は、五毒拳士が互いに正体を隠していることから生じるサスペンスです。主人公がまだまだ弱っちく、誰か一人と組まなければならないのに、誰が味方なのか、誰が敵なのか分からないというのは面白いですね。 結構序盤から、いかにも善人みたいな五毒拳士が登場するのですが、「いかにも善人」なだけに却って疑念を誘います。でも・・・、実は最後までどんでん返しなんて無いんですよね。結局のところは「善対悪」という分かり易い構図に落ち着いてます。これじゃあちょっと肩透かしだなあ。五人が五人共悪人だけど、その内一人が説得に応じて、最後の最後で寝返って味方になるとかやった方が盛り上がるのに・・・ 悪の黒幕として暗躍する「サソリ」の正体だけはなかなか明かさずに最後まで引っ張っているのですが、これも直ぐに分かっちゃいます。「いかにもいい人」が黒幕に決まってるでしょうが。もう少し捻ってよ、もう少し。まあ、それ以前に、実はポスターを見た時点で、誰が「サソリ」なのかは分かっちゃうんですけどね(^^; でも、何はともあれ、カンフー映画にサスペンスを持ち込もうというアイデアは評価できます。五毒拳の秘術とその掟が説明されるオープニングのシチュエーションは百点満点ですよ。 こうした異色の展開や過激な描写が盛り込まれることによって、この『五毒拳』は、数あるカンフー映画の中でも一際印象的な作品となりました。それぞれの要素が未整理な感はあるのですが、そうした荒削りの部分も味となって、映画の魅力をより一層深めています。カルト映画のとしての風格は充分ですね。 ムカデだ、ヤモリだ、ガマ拳だという時点で、なんだかふざけたものを想像してしまうところですが、決してそんなことはありません。生粋のカンフー映画ファンをも唸らせた本格派! 映画マニアもカンフー映画ファンも、みんなで楽しく見て下さいね♪
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| キングレコードよりDVDが発売されました。ショウ・ブラザーズ製作作品をフューチャーした「ショウ・ブラザーズ・スタジオ 黄金のシネマ・シリーズ」の一枚で、ニューマスターを使用しており、画質は極めて良好です。本当にキレイで、まるで新作映画みたいですよ。幻の映画をこれだけのクオリティーで手に入れられるなんて夢のようですね(^^) 特典としてオリジナル劇場予告編も収録されています。 |
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