| ディセント | |
| The Descent | 2005年 イギリス |
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| 冒険好きの女性サラは、仲間たちと出掛けた川下りの帰りに交通事故に遭い、愛する夫と娘を失ってしまう・・・ 一年後、未だショックから立ち直れないでいるサラを元気づけるために、冒険仲間のリーダー格ジュノは、洞窟探検を計画する。メンバーは、昔なじみの仲間だけでなく、新入りも加えた女性6人。制覇を目指すのは、アパラチア山脈にあるボアナ洞窟だ。 若さにあかせて危険に飛び込むスリル・ジャンキーの新入りは観光客向けだと言ってバカにしていたが、実際に見た洞窟は、なかなかどうしてスケールが大きく険しかった。壮大な景観を楽しみ、冒険気分を満喫するメンバーたち。しかし、思いもよらぬハプニングが! 突然の落盤事故によって、入り口へと続く道が塞がれてしまったのだ! しかし慌てることはない。出口は他にもあるはずだ。ガイドブックを頼りに進めばいい。するとリーダーのジュノの口から驚くべき言葉が発せられる。 「ガイドブックは車に置いてきた・・・、持っていても意味がないから・・・」 ジュノが案内した場所は、実は、ボアナ洞窟ではなく、ガイドブックにも載っていない未踏の洞窟だったのだ! 一年前の事故以来希薄になってしまった仲間同士の絆を取り戻すために、敢えて危険な洞窟を選んだと言うジュノ。メンバーは反発するが、こうなっては、もう後戻りはできない。出口を求めて奥へと進む6人。しかし、地下3000メートルの絶対の闇の中、次第に正気を保てなくなる者も出始め、事態は混迷を極めていく。果たして、彼女たちは、この地獄から無事抜け出すことができるのであろうか!? |
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| 楽しいはずの洞窟探検が一変、地獄のサバイバルへ! 地下3000メートルの闇の中に閉じ込められた女性たちが体験する恐怖を描いたホラー映画。 映画雑誌「Empire」で2005年度の最優秀ホラー映画に選出された他、ホラー映画専門サイト「GOREZONE」の2005年度ベスト10の第3位にランクインするなど、好評を博した話題作です。 主な登場人物は6人、舞台はほとんど真っ暗な洞窟・・・、そう、みなさん御察しの通り、この映画はアイデア勝負の低予算映画です。こういう風に限定された状況を舞台にした映画って、「ソリッド・シチュエーション・スリラー」とか言われて最近巷で持てはやされてますが、結構つまらないものが多い。そんなわけで、またその手の映画かと、予告編を見た限りでは、あまり興味を引かれていなかったのですが、監督がニール・マーシャルだと知って、一挙に期待が膨らみました。ミュージック・クリップみたいなチャラチャラした演出が「スタイリッシュ」と言われて持てはやされる昨今の風潮の中、この人は新人なのになかなか硬派な演出をしていると、個人的に注目してたんですよ。本年度の“ベスト・オブ・ホラー”の大本命に格上げです。上記した要素以外にも、何か隠し玉がありそうでしたし・・・ムフフ( ̄ー ̄) プロローグから本題の洞窟探検が始まるところまでの流れは上々。本来真っ暗闇であるはずの洞窟の内部をどのように表現しているかという点にも興味がありましたが(←本当に真っ暗にしてしまったら映画にならない(^^;)、登場人物が持ち込んだ懐中電灯や発火筒といったアイテムを生かして、物語上さほど違和感が無いよう撮影してあり、感心させられました。特に、赤外線撮影機能付きのビデオカメラ(←これも登場人物の持ち物)を上手く使ってましたね。 予想通り、マーシャル監督の仕事ぶりは、新人とは思えないほど手堅かったです。変にキドってないところがいいですね。しっかり腰を据えて撮った映像を、ざっくりざっくりつないでいった感じで、骨太な印象がします。でも、正直言うと、ちょっとあっさりしてると言うか、アクが無さ過ぎる感はあるんですけどね。前作『ドッグ・ソルジャー』の場合は、そういう淡々とした語り口が、窮地に陥っても慌てることのない軍人さんたちのキャラと重なってたし、あまりドロドロとした感じにはならない「男のドラマ」を描く上ではピッタリしてる印象があったけど、今回は愛憎入り乱れる「女のドラマ」なので、少し物足らなく感じられました。 基本的に、こういう「心理ホラー」的方向に持って行くには、神経症的で粘着質な演出が足らないですね。一方では、それは良い点でもあるのだけれど、話が停滞しないでどんどんと転がっていくものだから、見てる方も一緒に洞窟に閉じ込められてしまったかのような、閉塞した感覚に乏しいのです。観客にストレスを感じさせるぐらいじゃないとダメですね。もっとイジワルに、ネチネチと引っ張れる場面でも、結構あっさりと話が進んでしまう。新人にしては手堅いと褒めたけど、ちょっと職人気質過ぎるのかなーとも思います。 でも、でもね、この映画になんらかの隠し玉があることは、予告編などを見てても周知の事実なんですよねー。だから、“そっち方向”への期待から、ワクワクしながら見れちゃいます。決して退屈なんかしないですよ。 それではお待たせ致しました。これより本題です! ・・・と行きたいのですが、この手の映画って、「一体どういう展開になるんだろう?」って色々と予想しながら見るところにも楽しみがあるので、未見の人は以下お断りということで。 *注意 以下ネタバレあり! 一年前の事故以来精神が不安定になっていたサラは、地下3000メートルの世界の中で、見るはずもない人影を見たと言い出す。当然みんなは信じませんが、サラは譲りません。(←ここで観客にもサラの正気を疑わせるぐらいの押しの強さを見せてくれればいいのですが、そうでもないのが残念なところ。相変わらずサクっと進みます。)そして遂に登場するのが、太古より地底で生き続けていた凶暴な「地底人」なのら! ふへへへへへ、バカですね。でも、サイコーですね♪ 「地底人」っていうのが新味が無いと言う人もいるけど、そういう人には温故知新という言葉の意味を教えてあげたい。この監督さん、前回のネタは「狼男」だったし、ハマー・フィルムやユニバーサルのクラシック・ホラーなんかが好きなんでしょうね。イイものは、いつの時代でもイイんです! ここから映画は、一挙にモンスター・バトル・ムービーへ突入。理性をふっ切った女性たちが、人喰い地底人相手に流血の死闘を繰り広げます。殴る、蹴る、突き刺す! 地底人の股間にヒザ蹴りの連打を喰わせちゃったりして・・・(笑)。「女は強し」、「女は怖し」、そういう映画です。 こういう風に、ひとしきり現実感を積み上げておいてから、それをぶっ壊してしまうような映画って、個人的に好きなので、ちょっとひいき目に見たい気持ちもあるのですが、正直言って、ちょっと乗り切れない部分も・・・。脚本・監督のマーシャルがサム・ライミを好きなのは分かるのですが(←この映画にも『死霊のはらわた』そっくりのシーンがある)、ヒーロー映画よろしく(←この場合はヒロインですが)見得を切ったりしてるシーンが、なんだか居心地悪く感じられてしまうのです。 はっちゃけ方が足りないのかな? サム・ライミ監督の『死霊のはらわたU』は、ホラー映画として始まりながら終盤でヒーロー映画にシフトしてしまうという意味で、構造的によく似ている映画なのですが、いざヒーローが活躍を始めると、臆面も無くヒーロー映画してて、見ていて清々しかった。一方、この『ディセント』では、スーパーヒロインの活躍が、現実感を希薄にする程度にはヒロイックに描かれているにもかかわらず、前半で見せていたリアルさへの志向をふっ切るほどではないので、見ていて反応に困ってしまう。つまり、映画の方向性が定まっていないということです。 スーパーヒロイン映画としての魅力も捨て難いですが、これだと「怪物の登場」が、前半部分で描かれていた“洞窟に閉じ込められてしまったことの恐怖”、“出口など無いかも知れない奈落の底を彷徨うことの絶望”を増幅するような形では機能してこないので、設定を最大限に生かすなら、活劇的要素は切り詰めて(←怪物を出すなという意味ではない)、抑えたトーンのホラー映画として押し切った方が良かったように思います。 まあ、でも、そんな大人の意見を言いつつも、これが私の好きな要素をたくさん詰め込んだ映画であることも事実なわけで、結構気に入っちゃてはいるのですが。あらすじがほとんど『ドッグ・ソルジャー』と同じ(←「山奥で演習してたら狼男が!」が「洞窟探検してたら地底人が!」に変わっただけ)じゃないかとか、野暮なことは言わない(笑)。マーシャル監督、次回作は、人類を滅亡の危機から救おうとする人々を描いた近未来SFになるそうですが、やっぱり怪物が出るんじゃないかなー(←未来モノだし、ミュータントかなんかが)。って言うか、寧ろ出してほしい(笑)。この路線で頑張ってもらいたいですね。 *再度注意 以下オチにまで言及! ところで、この映画のラストのオチですが、あれは結構解釈の余地がありますよね。穴に落っこちて気を失ったサラが目を覚ますと、外から差し込む日の光が見えてて、なんとか脱出に成功。でも、車を運転して逃げて行って、これで一安心かと思ったら、助手席に洞窟に置き去りにした友達の幽霊が乗ってって、「ギャ〜〜〜!」っとなって、ハッと気が付いたら、そこはまだ洞窟の中、彼女は死んだはずの娘とケーキを囲んでいるのだが、カメラが回り込むと、そこには娘もケーキも無くて、彼女は誰もいない虚空に向かって微笑みかけていた・・・という結末。事がとんとん拍子に運んで、なんだかあっさりと脱出してしまったものだから、味気無いなーと思って見ていたら、イジワルなオチがついてニンマリ。 はじめは、「サラは洞窟から脱出してなどいなかった」という夢オチかと思いました。その上もう一つ考えてしまったことは、「実は怪物も存在しなかったのではないか?」ということ。こう考えるのには訳がありまして、サラが穴に落ちて気を失う時、周囲にたくさんあった犠牲者の骨(←恐らく怪物に食べられた)が、最後にサラが洞窟の中で目覚めた時は、(同じ場所のはずなのに)影も形も無くなってしまっていたからです。「犠牲者の骨が無い」ということは、それを“犠牲にした者の存在”も無かったということでは? 最後のカットの時、声は聴こえども、怪物の姿が画面に一切映らないのも思わせ振りです。でも、サラが血塗れになっているのは事実なわけで、とすると、これは誰の返り血なの・・・!? えへへへへ、これはこれでゾクッとするオチのつけ方でしょ。サラが狂っているらしいことは、結構仄めかされていましたしね。“怪物”は、彼女の心の闇に巣食っていたのです! ・・・と、ここまで言っといてナンですが、やっぱりサラは洞窟から逃げ出せたのだと思います。地底人も存在したと考えるのが妥当でしょう。目が見えないから聴力以外の感覚も発達してるはずなのに、目の前にいる人間に気付かなかったりとか(←触っていても気付かない。鈍過ぎ!)、設定に説得力が無く、妄想だと考えた方が釈然とするので、ついついそう考えてしまいたくなるのですが・・・(^^; 一つ、決定的なカットがあります。注意して見ていなければ見落としてしまいそうな短いカット、車の中で幽霊を見た後、洞窟内で目覚める場面へと続く前に挿し挟まれる「サラの目のアップ」のカットです。幽霊を見るシーンが青い照明を施され、最後の洞窟内のシーンが赤い照明を施されているのに対し、このカットは、日の光を思わせる自然な光の下で撮影されています。自然であるが故に、違和感を覚えさせる唐突な映像・・・ この演出は、このカットが、前にある幽霊のシーンにも、後に続く洞窟内のシーンにも属していないことを表明しています。そう、この「サラの目のアップ」のカットこそが「現実の映像」で、その前後のシーンは、彼女が見ている幻想だと解釈することが出来るのです(←だから、あったはずの骨も無くなっていた)。 日の光の下にいる、つまりサラは洞窟から脱出することは出来たのだが、その目の中には、上記したような光景が広がっている。あれは彼女の心象風景・・・。愛する者を失った心の傷の上に、洞窟内で体験した信じられないような恐怖、そして友達を殺したことの罪悪感が積み重なって、彼女の正気は完全に崩壊してしまった・・・。だから、地底人がいたにしろ、いなかったにしろ、洞窟から脱出できたにしろ、できなかったにしろ、結論はほとんど同じなのです。彼女は、深い闇から未だ抜け出せていない・・・、恐らく今後もずっと闇の中に囚われ続ける・・・。後味が悪くてサイコーですね♪ ホラー映画はこうでなくっちゃ!
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| DVDはavexから発売されました。特典ディスク付きの豪華2枚組!・・・でも、これの海外盤って、確か1枚組だったような・・・。付加価値を付けて高く売るために、わざわざ2枚に分けてるんですね。姑息なやり方だけど、まあ、こういうのはよくあります。個人的にカチンと来たのは、海外盤には収録されていたオリジナル劇場予告編が削られていたこと。権利料を浮かせるため? ふざけるな! 代わりにavexが作った日本版予告編なんか収録したって、誰が喜ぶか! わざわざ2枚組にしといて、特典削ってたら世話ないぜ! まあ、でも、本編のクオリティーは良好なので、興味のある人は購入して損はないでしょう。 |
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(2006/12/8)
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| マーシャル監督のデビュー作 ドッグ・ソルジャー (こっちの方が完成度は上だと思う。) |