チーム★アメリカ/ワールドポリス
Team America: World Police 2004年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: パム・ブラディ
トレイ・パーカー
マット・ストーン
製作総指揮: スコット・アヴァーサノ
アン・ガレフィーノ
スコット・ルーディン
監督: トレイ・パーカー
脚本: トレイ・パーカー
マット・ストーン
パム・ブラディ
撮影: ビル・ポープ
音楽: ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
 
声の出演: トレイ・パーカー
マット・ストーン
クリステン・ミラー
マササ
ダラン・ノリス
97分(国内版DVD)
98分(海外版Uncensoredバージョン)
ストーリー
 世界の平和を守るため、凶悪なテロリストたちと戦うチーム・アメリカ! 今日も世界の貴重な文化遺産を破壊しながら大活躍!
 舞台役者のゲイリーは、その演技力を買われてスパイとしてチームにスカウトされた。しかし彼の加入は、チーム内に様々なトラブルを引き起こす。彼のことを信用しないメンバー、また彼のことを好きになってしまうメンバー。長年の友情を引き裂く三角関係まで生じてしまい、チームは崩壊寸前に・・・。
 そんなチームの現状と、自分の行動が大勢の命を奪うことになったことに自責の念を感じたゲイリーはチームを離れるが、軋轢を抱えたまま出動することになったチームが、テロリストを裏で操るキム・ジョンイルの罠に落ち、北朝鮮に拉致されてしまう!
 一念奮起して北朝鮮へと向かったゲイリー。しかし彼を迎え撃ったのは、北朝鮮が友好的な国だと信じている平和活動家のハリウッドスターたち! その中には、ゲイリー憧れの俳優であるアレック・ボールドウィンの姿もあった!
 頑張れゲイリー! 戦えゲイリー! 世界を救うのはお前しかいないぞ!! 
レビュー
 TVアニメーションの「サウスパーク」シリーズで人気を博したトレイ・パーカーとマット・ストーンのコンビが手掛けた、過激なギャグ満載のマリオネット(操り人形)・アクション・ムービー。
 緻密なミニチュアワークでも頑張っており、CGを駆使して描かれた2004年版の『サンダーバード』に業を煮やした人たちの溜飲を下げたとも言われている作品です。

*本作は、日本では成人指定に準ずるR-18指定を受けた映画です。映画自体が下品なので、このレビューの中にも下品な言葉がたくさん登場します。私の品位を疑わない下さいね(^^; 引用してるだけですので・・・。尚、お子様連れのお客様はご遠慮下さい。

 「世界の警察」を自認しているアメリカをチャカした映画だと聞いていたので、世間ではバカ、バカ、バカ、バカ言われていたけど、バカなふりして社会を風刺する映画かも知れないと、個人的には結構期待していました。まあ、ストレス解消にはなりそうでしたし。「アメリカ ファック イェ〜♪」
 で、見始めたのですが、・・・あれれ、なんか違う? 結構ムチャクチャやってるのに、どうも笑えない。いや、「映画における時間経過の表現」をチャカした「モンタージュ」の歌とか、チーム・アメリカ隊員を襲撃する黒ヒョウが、人形のサイズに合わせて単なる黒ネコだったりするトコとか、単体ではオカシイところもあるんですよ。でも、みんなお笑い番組の中でやればいい程度のギャグばかり。映画に必要なのは、もっとこう、積み上げて積み上げてから爆発させるような、綿密に計算されたギャグなんじゃないの? こういう即興的なギャグだけで1時間半持たせるのはキツい。
 「チン○」とか「マン○」とか連呼したり、ゲロをビシャーって吹き出す様子を延々と映したり、とにかく下品なら笑えるとでも思っているのでしょうか? ホント、発想が子供。
 日本版DVDではカットされてしまいましたが、本国で発売されているUncensored(無検閲)バージョンには、スカトロ・シーンも収録されているそうです。「チン○」に「ゲロ」、それに「ウンチ」って、ガキんちょアイテム勢揃いですね。
 同じ様に「チン○」、「ゲロ」、「ウンチ」の三拍子が揃った映画として、ピーター・ジャクソン監督のスプラッター・マペット映画『ミート・ザ・フィーブルス』がありますが、あっちの方がまだ面白いですよ。少なくとも彼には、1時間半の映画をまとめ上げるだけの手腕がある。

 「ムカつくヤツは殺しちゃえ!」ってノリも子供っぽい。ハリウッドスターが、モラリストを自認して平和運動に参加したり、利口ぶって政治的な言動をしたりするのには、誰もが少なからず違和感を覚えるところでしょうが、彼らだって彼らなりに真剣なんだと思います。たかが俳優のクセにとは思ってしまうけど、メディア露出も多く、社会に影響力を持っている人間がこういう活動をするのは大切なことでしょ。それをこの映画は、みんなテロリスト扱いして殺してしまうんですからね。
 ニュース番組などでも盛んに取り上げられていた「キム・ジョンイル」の描かれ方も、ちょっと安易に過ぎると思いました。アメリカ映画で外国の独裁者を描く時の定番だけど、とにかくバカのマヌケとして描いてる。中国の後ろ盾があるとは言え、天下のアメリカと面と向かってやり合ってるんだから、実際はそれなりの手腕の持ち主なんじゃありません? これじゃあ逆に脅威として感じられなくなる。まあ、テポドンが頭の上を飛んでいったこともある日本の国民とは違って、太平洋を挟んだ向こう側にいるアメリカ人は、正直なところ、本気で脅威とは思ってないんでしょうけど・・・

 良く出来たコメディーとは、新しい“ものの見方”、「新たな視点」というものを示してくれるものですよね。チャップリンにしても、ジャック・タチにしても、優れたコメディアンは、皆そうやって笑いを提供してきました。誰も気にしなかった、気付かなかったような事柄を取り上げて、それを新しい切り口で見せてくれるんです。そこには時に、価値観を転倒させるような過激さもあります。
 でも、この映画はどうでしょう。「ハリウッドスターの偉ぶった態度はムカつく」とか、「キム・ジョンイルはムカつく」とか、誰もが思っているようなことを今更のように繰り返すだけ。思っていても口にすることが出来ないようなことを代わりに言ってくれるのなら、まだ意義があると思うけど、「マイケル・ベイの『パール・ハーバー』はクソだ!」なんて、誰も口にするのをはばかってないでしょ。過激、過激と言われていますが、この映画は過激でさえありません。確かに“右”寄りではないと思うけど、“左”寄りとも言えないですよね。
 いや、自作を無断で借用したマイケル・ムーアに敵愾心を燃やして、『華氏911』始めとするマイケル・ムーア作品のアンチ・テーゼを展開しようとしている内に、だいぶ右寄りになってしまった感さえあります。

 反戦活動をしているマイケル・ムーアをテロリスト扱いして、政府機関への自爆テロ犯に仕立てます。それでもって、政府の政策を真面目に批判しようとしているハリウッドスターたちは完全にバカ扱い。その発言内容までチャカしてしまいます。彼らだって満更いい加減なことばかり言ってるわけじゃないでしょうに。批判意見を徹底的に潰していくものだから、まるで政権に肩入れしてるように見えてしまいます。
 いやね、前半では、正義を大義に掲げてムチャクチャやってるアメリカ、もといチーム・アメリカのことも結構チャカしているんですよ。他国の都市をムチャクチャに破壊しといて、「みなさんご安心を テロリストは退治しました」ってな感じに・・・。でも最後には、そんなチーム・アメリカが大活躍して、世界を救ってハッピーエンド。その時に展開されるのは、「確かにオレたちはやり過ぎる時もある。でも、基本的には正しいことをやってるんだ」っていう主張。
 なんだかこれが本音って気がしてきますね。結局のところは、アメリカ万歳! 単に誉め言葉だけ並べても、寧ろ批判を集めることになってしまうから、わざと最初に悪いところを見せておいて、批判を逸らそうとしているかのように見えます。最近では、イラク戦争を巡るブッシュ大統領の演説も、こういう方向に変わってきてるでしょ。まず、「大量破壊兵器はなかった」とか、自分たちの誤りを認めておいて、その後で、「開戦理由は間違っていたが、開戦したこと自体は正しかった」とまとめるんです。プロパガンダとしては、より巧妙な部類に入りますね。

 バカなふりして、結構綿密に計算していますよ。アメリカ、もといチーム・アメリカの悪行も、あんまり深刻にならないように、現実の事件とはズラして描かれているんです。
 チーム・アメリカがパリのエッフェル塔を破壊するけど、アメリカはエッフェル塔なんて壊してません。こんなことは子供にも分かります。舞台がエジプトなので、ちょっと地理的にはおかしいのですが、バーミヤーンの大仏を思わせる石像が登場して、それもチーム・アメリカが破壊するのですが、実際にあの仏像を破壊したのは、イスラム原理主義のタリバン勢力ですよね。こちらの件に関しては、寧ろ、事実と真逆です。アメリカの悪行を見せているようでありながら、その実、「いやいや、こんなことは実際にはないんだよ」って、笑って誤魔化せるようにしているんです。
 万事がこんな感じなので、チーム・アメリカ出動の時に流れる「アメリカ ファック イェ〜♪」という歌も、最初に聴いた時は、「おーおー、言ってるなあ」って感じでニンマリできたのですが、だんだんこの「ファック」っていうのが、「クソッ!」とか「くそったれ!」じゃなくて、「おおっ!」とか「スゲえ!」っていう感じの、単なる感嘆詞に思えてきてしまいましたよ。「アメリカ スゲエぜ! イェ〜イ!」って・・・

 この映画の主人公は、自分たちの行動を正当化するために、最後にこんな演説をぶちます。「オレたちは最低のチン○野郎だ! だが、平和活動家たちはマン○で、テロリストどもはケツの穴だ。テロリストどもを好き放題させといたら、みんなウンコまみれになってしまう! マン○にケツの穴をヤることはできない。ケツの穴をヤれるのはオレたちチン○だけなんだ!」って。それを聞いて、各国首脳は拍手喝采。でも、これってどうなんでしょ? 一見理屈は通っているようだけど、大事な議論が抜け落ちていますよね。
 この映画に倣って、敢えてキタナイ言葉を使わせてもらいますが、問題は、それが唯一無二のチン○なのかどうかってことでしょ。本当はいくつものチン○があるのに、まるでたった一つのチン○しかないかのように人々を扇動していることが、アメリカ、もといチーム・アメリカの罪なのではありません? ケツの穴はともかく、少なくともマン○には、チン○を選ぶ権利があるんですよ。民主主義とはそういうものです。
映画の印象
/
降水確率50%
「曇りがちの天気となるでしょう。
夜半には雨の恐れもあります。」
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 DVDはパラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパンより発売されました。初回特典として、「チーム★アメリカ隊員メンコ(5枚)」が封入されています。
 映像特典は以下の通り。
・メンバー紹介
・世界を築く
・パペット作り
・人形の操作
・アクションの撮影
・ミニチュアの爆破
・金正日の素顔
・ドレッシングルーム・テスト
・パペット・テスト
・削除、追加シーンとアウトテイク
・アニメーション・ストーリー・ボード
・オリジナル劇場予告編


 尚、20000セット限定の「チーム★アメリカ/ワールドポリス DVD-BOX」には、以上の特典物の他に、チーム・アメリカ隊員ゲイリーとリサのキューブリック(三頭身のプラスチック人形)が封入されています。う〜ん、別に欲しくないけど・・・

(2005/12/17)

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