Return of the Evil Dead
El Ataque de los muertos sin ojos / Return of the Blind Dead / Attack of the Blind Dead / Mark of the Devil 5: Return of the Blind Dead 1973年 スペイン
スタッフ/キャスト
製作: Ramon Plana
監督: アマンド・デ・オッソリオ
脚本: アマンド・デ・オッソリオ
撮影: Miguel Fernandez Mila
音楽: Anton Garcia Abril
出演: Tony Kendall
Fernando Sancho
Esperanza Roy(Esther Roy)
Frank Brana
ローン・フレミング
Pedro Almodovar
Luis Barboo
Jose Canalejas
オリジナル版 91分
アメリカ公開版 87分
ストーリー
 花火師のジャックは、仕事の依頼を受け、ポルトガルのとある寒村にやって来た。村は今、祭りの準備の真っ最中。村の実力者ダンカンと契約を交わしたジャックだったが、彼の目はダンカンの婚約者ヴィヴィアンに釘付けになる。なんと二人は昔の恋人同士だったのだ。恋の炎を再燃させ、村はずれの遺跡で逢引きするジャックとヴィヴィアン。しかし、そんな二人の様子を影から窺う一つの影が!?
 茂みから出てきたのは知恵遅れの男モードーだった。村人たちから虐げられているモードーは、この遺跡を憩いの場所にしていたのだ。彼は二人にこの遺跡にまつわる不気味な話をする。
 遥か昔、中世の時代、ここはテンプル騎士団の居城だった。黒魔術に通じ、処女をさらってはいけにえに捧げていたテンプル騎士団は、蜂起した村人たちによって捕らえられ、火あぶりにされたが、死の直前に、いつの日か必ず甦って村人に復讐すると誓ったという・・・
 モードーの話を全く取り合わないジャック。しかし、その夜、恐ろしい伝説は現実のものとなった。重たい墓石をもたげて墓穴から這い出してきたのは、邪悪な死霊と化したテンプル騎士団。彼らは馬に跨ると、村に向かって走り出した!
 今、祭りで賑わう村の広場は惨劇の舞台へと変わろうとしていた!! 果たしてジャックたちは闇の騎士たちの魔の手から逃れることができるのであろうか!?
レビュー
 Return of the Evil Dead!! と言っても、『死霊のはらわた(The Evil Dead)』の続編ではありませんよ。スパニッシュホラー界の異才アマンド・デ・オッソリオ監督が放つ、『エルゾンビ』こと『Tombs of the Blind Dead』に続く“ブラインドデッド・シリーズ”第二弾です。
 日本では劇場未公開、ビデオ未発売。つまり、邦題が付けられていないので、海外で普及している英語のビデオ・タイトルで表記させてもらいました。本編中でもこのように表示されます。

 この映画、続編とは言っても、前作『Tombs of the Blind Dead』とのストーリー上のつながりはありません。前作ではカラスに突かれたことになっていたテンプル騎士団の目ん玉が、今回はたいまつで焼かれたことになっていたりするなど、設定に差異が見られる他、前作に出演していた役者が違う役回りで登場するという楽屋オチ的要素もあるので、時制的な続編というよりも、寧ろ、キャラクターだけ借りた外伝的作品として解釈した方がしっくり来ます。前作の設定に囚われずに自由にストーリーを展開したかったのでしょう。でも、馬を駆って剣を振るうブラインドデッドたちの勇姿はそのままなので、どうぞご安心下さい(^^)。

 今回のブラインドデッドたちは、テンプル騎士団討伐記念の五百年祭を祝う村に現れて大殺戮を繰り広げます。主に人里離れた場所を舞台にしていた前作から比べると格段のスケールアップですね。でも、それに応じて映画のクオリティーもアップしているかと言うと、そうでもないのというが正直なところ。確かにエキストラは多くなっているのですが、ヘボヘボな特殊効果が失笑を誘います。火あぶりにされるテンプル騎士団も、爆弾で吹っ飛ばされるブラインドデッドもマネキン丸出し。そんなことなら、さっさと流して誤魔化してしまえばいいのに、延々と時間をかけて映すものだから、ショボさが尚更際立ってます。
 まあ、ハナから特殊効果を売りにしてる映画ではないので、そんなことは些事に過ぎないのですが、予算もそれなりに多くなったはずなのに前作より安く見えてしまうというのはイタい。映画の一番の見せ場であるはずのブラインドデッド復活シーンも、全部前作からの使い回しですし・・・

 現代的な都市と古代の遺跡の風景を対置させ、現代の中に古代の伝説が流れ込む様を描いていた前作と比べると、田舎っぽい景色の中だけで物語が展開される本作は、世界観に広がりがなく、薄っぺらになっている感は否めません。前作に登場したロメロ風のゾンビを出さなかったことからも分かるように、オッソリオ監督が志向していたものは、「モダンホラー」からは離れた、純粋に古典的な怪奇ロマンの方だったのでしょうが、それを実現するには、予算も、そして恐らく才能も足りなかったのでしょう。

 前作とは打って変わって呆気ないハッピーエンドを迎えるところも違和感バリバリ。予告編を見ただけでも分かるような内容なので敢えて隠しませんが、教会に篭城していた主人公たちが意を決して外へ出ると、いつの間にか夜が明けていて、それと同時にブラインドデッドたちも滅んでいた・・・、という安直なオチ。
 前作を見る限り、ブラインドデッドたちは朝になっても平気で活動してたじゃありませんか。いや、だから前作とはまた別の話だってことなんでしょうけど、どっちにしても呆気なさ過ぎます。この映画では、ブラインドデッドたちの弱点が「火」であることも明かされるのですが、“シリーズもの”の悪者が前よりも弱くなってどうするのよ。寧ろ、弱点を克服していってくれるぐらいでなきゃ!
 幾度となく危険な目に遭っても子供だけはちゃっかり助かるところも、オッソリオ監督らしくないです。たぶん、前作の時に怒られたので、今回は良心を示したのでしょうが・・・

 前作がヨーロッパでヒットを飛ばしたことから、今回は世界市場を意識したんだと思います。でも、一般性のある映画をキドりながらも、ついつい悪趣味を発揮してしまうのがオッソリオ監督。
 普通の映画ならまず助かるであろう善人たちがどんどん殺される! 娘を助けようとして行動を起こした両親も殺される! 母親の方なんて、娘が見ている目の前で斬殺されるんですよ。主人公が活路を切り開いて逃がした村人たちが、遠くの原っぱでみんな殺されているというのも凄い・・・
 善と悪の構図も曖昧で、みんなにいじめられていた白痴の男を唯一人かばっていた心優しい娘も、いざとなったら自分だけ助かろうとして逃げ出す始末。それでやっぱり殺されちゃうし・・・
 やっぱりこの人には一般性のある映画なんて無理だったんですよ。オッソリオ監督の底意地の悪さが、映画をムチャクチャにしています。いや、いい意味で・・・

 しかし、オッソリオ監督の悪趣味ぶりはこんなものではありませんでした。アメリカ公開版ではカットされることになってしまった4分間に、その恐るべき全貌が隠されていたのです!
 村人からいじめられていた白痴の男。アメリカ公開版では哀れな犠牲者に過ぎなかったこの男が、オリジナルであるスペイン版では、なんと、若い女の胸にナイフを突き立て、テンプル騎士団へのいけにえに捧げていた!! つまり、ブラインドデッドたちを甦らせたのは、この男の復讐心だったのです。村人たちが斬殺されていくのを眺めながら、彼は悦に浸っていたのでしょうか?
 このシーンがあるかないかで、映画の印象はガラリと変わります。アメリカ公開版では、自分だけ助かろうとして周りの人間を犠牲にする権力者の男の典型的な悪者ぶりだけが際立つ結果になり、強者は悪で、弱者は善という月並な説話法の枠を抜け出していませんでしたが、オリジナル版の方は完全に逸脱してます。強者も弱者も罪深い。オッソリオ節炸裂ですね♪
 今一つパッとしていなかったブラインドデッド大暴れの場面も、その背後に弱者の鬱積した感情を汲み取るか否かで、全く印象が違ってきます。画面の節々に悪意が漂い、見る者の気持ちを滅入らせます。やっぱり『ブラインドデッド』は異端の映画でした。

 スパニッシュホラーの金字塔と呼ばれる前作には遠く及びませんし、一ホラー映画として見ても欠点の多い『Return of the Evil Dead』ではありますが、オッソリオ監督の個性は余すところなく発揮されており、生半可に良く出来た秀作よりも、寧ろ、印象深い映画となっています。
 見られるなら是非オリジナル版で。アメリカ映画では決して描かれ得ない、ヨーロピアンホラー独特のダークな味わいをお楽しみ下さい。ついでにスパニッシュホラー独特のまったりとした味わいもね(笑)。
映画の印象
/
降水確率25%
「少し雲の多い天気になりますが、
ところによって晴れ間も出るでしょう」
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 2005年10月現在に至るまで国内ではソフト化されていませんし、その予定もありません。アメリカではホラー映画ファンに定評のあるAnchor Bayが、前作の『Tombs of the Blind Dead』とセットにしたDVD(両面焼き)を発売していましたが、それもしばらく前に廃盤に・・・。ホラー映画ファンは、みんな値の張る中古盤に手を出していたのですが、実はアンカーベイ盤に収録されていたのも、カットバージョンのアメリカ公開版のみだったんですよね。
 しかし、御喜び下さい! 2005年9月、Blue Undergroundから決定版とも言える商品が発売されました。
The Blind Dead Collection(5-Disc Limited Edition)!!!
・『ブラインドデッド』シリーズ、全4作をニューマスターで収録!
・1作目と2作目は、アメリカ公開版とオリジナル・スペイン版、両バージョンを収録!!
・オッソリオ監督のインタビューやブラインドデッド誕生の経緯に迫るドキュメンタリーを収録した特典ディスク付!

・置き場所に困る棺おけBOX入り!!
 定価$99.95ですが、それなりに値引きしているお店も多いので、気になった方は購入を検討してみて下さい。リュージョン1ディスクのため国内向けのDVDプレイヤーでは再生できないので、その点は注意が必要です。

 ちなみに、今回紹介した『Return of the Evil Dead』のディスクの仕様は以下の通り。
・アメリカ公開版『Return of the Evil Dead』とオリジナル・スペイン版『El Ataque de Los Muertos Sin Ojo』の両方を収録
 英語音声で収録されているアメリカ公開版には字幕はありませんが、オリジナルのスペイン版の方は英語字幕ON/OFF可の仕様です。
 特典は以下の通り。
オリジナル劇場予告編、及び英語圏版予告編
・ポスター、スチルギャラリー集

(2005/10/20)

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