| 香港国際警察/NEW POLICE STORY | |
| 新警察故事 / New Police Story | 2004年 香港/中国 |
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| 香港警察のチャン警部(ジャッキー・チェン)は、数々の難事件を解決してきた伝説的な警察官だ。恋人との結婚も控え、彼の人生は順風満帆に思われた。しかし、ある事件を担当したことで、彼は人生最大の危機に直面する! 5人のギャングによる銀行強盗事件。ギャングたちは金を奪うだけでは飽き足らず、わざわざ警察の到着を待って襲撃をかけるという暴挙に出る! 重火器で武装したギャングたちを前に、警官隊は為すすべもなかった・・・ 犯人逮捕の期待をかけられたチャン警部は、記者会見の席で「3時間以内に解決する」と豪語すると、腹心の部下8名を引き連れて犯人のアジトへと向かう。しかし、敵は警察の到着に備えて罠を張っていたのだ! 迷路のような建物の中でバラバラに分断され、一人ずつ血祭りに上げられていく警官たち。一人残ったチャンが目にしたものは、傷を負い、ロープで吊り上げられ、虫の息になった8人の部下の姿だった!! チャンの前に現れた犯人グループは、彼に対して部下たちの命を懸けたゲームを挑んでくる。渋々受けて立ったチャンだったが、銃の組み立て競争、格闘技対決、全ての勝負に敗れてしまい、部下たちの命を救うことはできなかった・・・ 一年後、チャンは酒に溺れる日々を送っていた。戦う心を失くしてしまったチャンは、チンピラ風情にもボコられて、お金を取られる始末。死なせてしまった部下の中に恋人の弟もいたことから、彼女のことも避けるようになっていた・・・ そんな折、彼のもとに新しい相棒として、若い巡査のシウホン(ニコラス・ツェー)が派遣されてくる。チャンのことを「僕のヒーロー」と慕うシウホンは、恋人との仲を取り持ったり、事件の捜査を手伝ったりして、なんとかチャンを立ち直らせようとするのだが・・・ |
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| ジャッキーの最高傑作が誕生!! まあ、そこまで言ってしまったら異論があるでしょうが、控え目に言っても、ここ十年、いや二十年で最高のジャッキー映画!! アクションスターとしてはとうに盛りを過ぎた齢五十のジャッキーに、今更何を期待できるんだとお思いでしょう? 私もそう思ってました。でも、「アクションに新しさがあるわけじゃない」というのはジャッキー自身も認めるところ。ジャッキー、今回は脚本で勝負しています。この『NEW POLICE STORY』は、ストーリーで魅せてくれる映画なんです。 感動! 感動! 感動の嵐!! まさかジャッキーの映画で泣くとは思わなかった! 何回見ても涙を抑えられません!
タイトルから分かる通り、本作はジャッキーの代表作『ポリス・ストーリー』シリーズの新章です。敢えて続編とは銘打たれておらず、キャラクターの名前だけ借りた番外編として宣伝されていますが、あの「チャン刑事」が歳を取って警部に出世したようにも思えるところがミソ。正義に燃える熱血漢だったあのチャンがボロボロに打ちのめされて落ちぶれてしまったかと思うと感慨もひとしおです。肉体的に追い詰められることは今までにもたくさんありましたが、これほどまでに精神的に追い詰められたジャッキーというのは初めてでしょう。 映画は冒頭から、うらぶれた路地でゲロを吐くジャッキーの姿で幕を開けます。ヒーローがいきなりゲロですよ! なんて映画なんだ(笑)。 ここからお話は一年前に戻って、事の次第が語られるわけなんですが、若い警官たちを厳しく指導し、拳銃の抜き方を教授したりしているジャッキーは、貫禄もあってイイ感じです。自らが築いてきたイメージを払拭できず、四十歳を過ぎても青年役をやったりしていたジャッキーにとって、やっと出会えた実年齢に合った役柄ですね。 いい歳こいて“ドジでおっちょこちょい”っていうのは、さすがにちょっとイタかったですから、こういうイメチェンはアリだと思います。たぶん実際のジャッキーも、撮影現場ではこんな感じなんでしょう。酔っ払い演技がどうしても「酔拳」に見えてしまうという難点はありますが(笑)、気持ちが入った演技はなかなか見応えあります。 恋人の体に仕掛けられた爆弾をジャッキーが解除しようとするシーンが泣かせますね。アイデア自体はジャッキーらしいハリウッド映画リスペクトで、あからさまにジェフ・ブリッジス主演の『ブローン・アウェイ』のパクリなんですが、「これまでも、そして死んでからも君を愛する」というセリフがイイんです。まさかジャッキーがこんなセリフを口にする日が来ようとは!(笑)
敵方の主役であるダニエル・ウーのキャラクター設定が甘いという声も聞かれますが、別にそんなこともないと思います。警官殺しに走る理由が警視正である父親への反発だというのが説得力に欠けると言われているのですが、幼少時代の虐待を示す映像が挿入されていたことで、それも補完されています。 彼は、幼少時代に摺り込まれたトラウマによって、父親には刃向かえなくなってしまっているのです。だから、警官を標的にした事件を起こして父親を困らせるという、間接的な方法でしか怒りをぶつけられなかったのでしょう。 犯人グループが、「警官一人につき何ポイント」というように、警官殺しをゲームとして楽しんで、その上また、自分たちが起こした事件をオンラインゲームにして配信しているというのも、なかなか上手い設定だと思います。ヴァーチャル世界を現実化し、現実世界をヴァーチャル化しようとする行為からは、現実に対する失望が読み取れます。彼らは自らの価値を、仮想の世界の中にしか見出せなくなってしまっているのです。 現実を認識することを拒否している人間が、命の大切さを理解できるはずもありませんよね。 この映画のいいところは、そんな犯人たちに対して、ジャッキーが報復しないということです。ジャッキーがメタクタにやられるのを見て、誰もがその壮絶な復讐を期待したことでしょう。それがアクション映画の文法、それがカタルシスというものです。でもジャッキーは、こんな酷い目に合わされながらも、犯人たちを助けてしまうのです! 許してしまうのです! おもちゃ売り場でのジャッキーとアンディ・ウォンの対決シーン。格闘自体も見応えあるのですが、本当の見せ場はその後に待っていました。 仲間の放った流れ弾に当たって負傷するアンディ。彼は落ちていた銃を拾うと、ジャッキーの背中に狙いを定めます。ジャッキーはそれに気付かない! ジャッキー、ピンチ!! こういうシチュエーションってよくありますよね。この後の展開として、だいたい次のようなパターンが予想できます。
そう、ジャッキーは、彼に命の大切さを教えたのです。これこそ真の勝利ですよね。ハリウッド映画には絶対マネできない境地です。もう見ていて男泣き! ジャッキー、あんたはなんていい人なんだ!(ToT) この感動の名場面の後で、ジャッキーは落ちていた人形の首を拾ってくっ付けてみせるのですが、こんなカットはいらないですよね。意味のないジョーク・・・。でも、そう手厳しく責めないで下さい。こういうところがまた、ジャッキーらしいじゃありませんか。まるで手塚治虫先生みたい。 「ブラックジャック」が、ガラにもなく、いい人みたいなことをしゃべったりすると、必ずと言っていいほど、あの「スパイダー」が登場して、「オムカエデゴンス」ってチャカしてみせるでしょ。それと同じで、これはジャッキー流の照れ隠しなんですよ。
こういうシリアスな作品で、悲劇の只中にいる主人公があんまりギャグを飛ばしたりしたら、すっかりシラけてしまいますよね。でも、ご安心を。コメディーリリーフの役回りは、基本的にニコラス・ツェー演じる「シウホン」が担っているのです。深刻な顔をしたジャッキーに代わって、彼が場面を和ませます。でも、それだけじゃなくて、彼は、ジャッキーの代わりに戦い、ジャッキーを助けるという、重要な役回りも負っているのです。シウホンの存在なしに本作のことは語れませんね。 戦う心を取り戻し、犯人の追跡を始めたジャッキーの後を追いかけて、シウホンがジャッキーのマネをするように壁をよじ登ったり、ビルの壁面を滑り降りたりするシーンが印象的です。これをリスペクトと言わずしてなんと言おう! 私も子供の頃は、高いところからぶら下がったり、塀を跳び越えたりして、毎日のようにジャッキーごっこに興じたものです。そう、シウホンは、私たち、ジャッキーに憧れて育った人間の姿を体現しているのです。 彼がジャッキーのことを「僕のヒーロー!」と呼ぶところが嬉しいですね。原語では、英語台詞で「you are my man!」となっていて、「男の中の男」とか「理想の男」という感じなのですが、これを「ヒーロー」と意訳したのは正解だと思います。なにせジャッキーは、私たちの世代の人間にとって、紛れもないヒーローなのですから。 ラストに挿入される回想シーンが泣かせます。ジャッキーが傷心の少年の肩を抱いて、「つらいことがあっても希望を捨てちゃダメだ」と励ますところです。 つまるところ、この映画のメッセージって、こんな有り触れたものなんですよね。でも、ジャッキーが一生懸命ガンバル姿を見てからだと、この言葉の重みは全然違ってきます。ジャッキーはボクらのヒーローです! ジャッキーに肩を抱かれた少年、あれはボクなんだ!!(←妄想モード全開)
ストーリーがいい、設定が上手いと誉めてきましたが、本作はあくまでも「ジャッキー」あっての映画です。オープニングからしてそうでしょ。見知らぬオッサンがゲロ吐いてたって、ただキタナイだけですって。それがジャッキーだからこそ、衝撃的で、感慨深いシーンになるのです。ジャッキーが脚本を引っ張り、脚本がジャッキーを引っ張っています。 このジャッキーのために書かれたとしか思えないような脚本が、当初はレオン・カーフェイ、ジャッキー・チュン(←チェンじゃなくてチュン)共演作として企画されていて、ジャッキーはプロデュースのみの予定だったと聞いてビックリしてしまいました。ジャッキー曰く、「二人ともストーリーに合うようなスーパーコップという感じがしなったから、自分でやることにした」とのことですが、読んでいる間に気付いたんでしょうね。「これはオレのための脚本だ!」と。 この『NEW POLICE STORY』は、ジャッキーのフィルモグラフィーを語る上で欠かせない一本となるでしょう。これは映画の神様がジャッキーに与えてくれた最高の贈り物です。そして何よりも、ジャッキー映画を愛する全ての人のもとに届けられた贈り物です。 私は今、ジャッキーの映画を見て育ち、ジャッキーと同じ時代に生きていることの歓びを噛み締めています。ボクらはどこまでもジャッキーについていくぞ!
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