| フランケンシュタインの恍惚 | |
| Le Ravissement de FRANK N. STEIN | 1982年 (スイス) |
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| スイス出身のアニメーション作家、ジョルジュ・シュヴィツゲベルがグァッシュとクレヨンで描き上げた短編アニメーション。 ジェームズ・ホエール監督の『フランケンシュタイン(1931年米)』と、その続編である『フランケンシュタインの花嫁(1935年米)』に着想を得た作品で、怪奇的なムードが印象的です。 ちなみに、邦題では「フランケンシュタイン」と訳してありますが、よく見ると、ちょっとスペースが空けてあったり、カンマが打ってあったりで、正しくは「フランク・N・シュタイン」となっております(笑)。権利問題を回避する意図があったのかも知れませんが、まあ、シャレですよね。 まず創めに混沌ありき。漠としていた像が結ばれていくと、そこは奇妙な装置が並んだ研究室。眠りから目覚めた“怪物”は、部屋から部屋へと移動しながら、不思議なダンジョンの奥深くへと進んでゆく・・・ どの部屋も皆同じ様な造りをしていて、主人公の視点と同一化したカメラの移動は、奇妙な反復の感覚をもたらします。これは私たちがよく見慣れた映像ですよね。そう、コンピューターゲームそっくりなんです。「ウィザードリィ」のようなダンジョン探索系のゲームから着想を得ているのでしょう。
例えば小窓が有ったり無かったり、丸や四角のオブジェクトが置いてあったりいなかったり、部屋の景観には微小な差異が認められるのですが、これら小さな差異が反復され、変奏されていく内に、結果的にメインテーマを大胆に変容させるのです。さながら映像によるミニマル・ミュージックですね。
時折、この変容は決定的なものとなります。動かないと思われていたものが動き出し、無機物と思われていたものが生を宿す。 怖い! 本当に怖いです。これは言うなれば超常現象であり、この映画が「フランケンシュタイン」の名を冠したホラー映画であるということを思い知らされます。 しかし、探索を続ける内に、私たちは、この迷宮が“怪物”の内面にある迷宮だということに気付くはずです。ガランとした部屋の中に置かれた丸や四角のオブジェクトは、マネキンのようなヒトカタの物体とすり替わり、少しずつ輪郭をはっきりさせていくと、人間の姿になって動き出します。最後には、大挙して現れた“フランケンシュタインの怪物”と“フランケンシュタインの花嫁”によって、部屋の中が一杯になってしまいます。
う〜ん、『フランケンシュタインの花嫁』をもう一度見返してみたくなりますね。あの映画のエッセンスを9分30秒間に見事に凝縮してあります。並のホラー映画より怖くて、そして感動的・・・ これは単なるオマージュではありませんよ。批評であり、再解釈であり、そして何よりも、独立した一個の作品です。是非両方見て下さいね。そうすれば何倍も楽しめるはずですよ。
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| DVDはジェネオン エンタテインメントから発売されました。1995年にダゲレオ出版から「ジョルジュ・S作品集」というタイトルでVHSも発売されていましたが、今回のDVDには新作5本を加えた計13本が収録されています。画像もキレイなDVDなので、迷わず購入可ですよ。 <収録作品> ・イカロスの飛翔 ・遠近法 ・オフサイド ・フランケンシュタインの恍惚 ・78回転 ・ナクーニン ・絵画の主題 ・破滅への歩み ・鹿の一年 ・ジグザグ ・フーガ ・少女と雲 ・影のない男 特典はポスターギャラリー。これは上記収録作のポスターではなくて、グラフィックアーティストとしても活動していたシュヴィツゲベルが手掛けた、映画祭やコンサートのポスターです。23枚ほど見られますよ。 ちなみに1981年の「ジュネーブの仮装ダンスパーティー」のポスターには『フランケンシュタインの花嫁』のワンシーンが描かれています。丁度この『フランケンシュタインの恍惚』を制作していた時期に当たるのかも知れませんが、シュヴィツゲベルがあの映画に対して特別な思い入れを抱いていたであろうことが窺えます。 ちなみに本DVDでは各作品の冒頭に本編開始までの「カウントダウン映像」が収録されていますが、以前発売されていた作品集にはこういった映像は一切ないので、DVD化に際して新録したものなのかも知れません。よって厳密に考えれば作品本体とは別物として考えた方がいいのかも知れませんが、それぞれの作品の雰囲気に合わせた映像になっているので、それなりに見物ではあります。 |
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(2005/08/03)
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