ホラー映画“リメイク王”決定戦!

 ネタ切れなのか、それとも脚本料高騰の影響なのか、ここ最近やたらと増えてきたリメイク企画。ホラー映画もその例外ではありません。って言うかホラー映画こそが、このブームの牽引役だったのかも知れない。名作、傑作、人気作、はたまた誰も気に留めていないような駄作までがこぞってリメイク。固定客があるせいか、それなりにヒットしたりもしているので、ブームはまだまだ続きそう。これからも、『エルム街の悪夢』を始め、『死霊のはらわた』、『ローズマリーの赤ちゃん』のリメイクまでもが控えてます。当コーナーでは、そんなホラー映画リメイクの中から、特に有名なものだけをピックアップして、製作年代順に簡単に紹介した上で、勝手にランキングしていきたいと思います。

テキサス・チェーンソー
The Texas Chainsaw Massacre 2003年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: マイケル・ベイ
マイク・フレイス
製作総指揮: ジェフリー・アラード
テッド・フィールド
アンドリュー・フォーム
ブラッド・フラー
監督: マーカス・ニスペル
脚本: スコット・コーサー
オリジナル脚本: キム・ヘンケル
トビー・フーパー
撮影: ダニエル・パール
音楽: スティーヴ・ジャブロンスキー
 
出演: ジェシカ・ビール
エリック・バルフォー
ジョナサン・タッカー
エリカ・リーセン
97分
レビュー
 オリジナル:『悪魔のいけにえ』(『The Texas Chainsaw Massacre』)1974年公開

 いるんですよねー、こういうアホが・・・。『悪魔のいけにえ』は、数多くの雑誌やサイトのランキングで、ホラー映画史上のダントツのナンバーワンに選ばれている作品。ヒネクレ者の私としては、「もっと面白い映画があるぞ!」と言いたいところなので、「名作」、「傑作」、「隠れた名作」、はたまた「駄作」と言われる映画まで色々見てきたのですが、結局は、「やっぱりこれが一番なのかなー」と思ってしまう。「後出しジャンケン」みたいなものだから、これより暴力的だったり、これより過激な描写を盛り込んだ映画もたくさん作られてるんだけど、この映画の足下にも及ばない。映画が内包する根源的なパワーが違うのだ。見た目はみすぼらしいポンコツでも、F1のエンジンを積んで爆走する怪物マシーン! これに比べたら、他の映画は軽自動車だよ。まあ、なんにしても「ホラー映画の金字塔」という評価に間違いはないでしょう。そんな映画をリメイクしようなんて、一体誰が言い出したのやら・・・

 織田裕二が『椿三十郎』のリメイクに出演したことについては、織田裕二は、芸能界でそれなりのポジションにあって、作品を選べる立場にあるわけだから、その無理解、無配慮ぶりを問答無用に批判できるんだけど、この映画のマーカス・ニスペル監督みたいに、外国から渡ってきて10年、劇場用映画に縁がなく、地道にミュージック・クリップを撮ってたところへ転がり込んできた一世一代のチャンスとあれば、飛びついてもしょうがないと思う。『エイリアン3』のデヴィッド・フィンチャー監督みたいに、踏み台にしてステップアップする場合もあるんだから、『悪魔のいけにえ』のリメイクうんぬんということは置いといて、一新人監督の処女作として楽しもうと思ったのですが・・・・・・

 世紀の傑作と言われるオリジナルと比較してということではなく、そこらにゴロゴロしてるB級ホラーと比較しても落ちる。志の低いホラー映画に散見されるアレ、物陰に隠れた主人公の所へ悪者がだんだんと近付いてきて、バッと扉とかを開けて、「主人公が見付かっちゃったー!」と思わせておきながら、実は主人公は別の所に隠れていました、とかやるアレ。ああいう程度の低い演出を全編通して連発しまくり・・・って言うか、恐怖シーンの演出が、ほとんどことごとくアレなのだ。
 あんまり意識してない人もいるみたいだけど、アレって“本気の恐怖演出”じゃないじゃない。だって、編集テクニックによって悪者が主人公に迫っているように錯覚させてただけで、実際には迫っていなかったってことでしょ。ハラハラしてるのは観客だけで、主人公自身は結構余裕こいてたのかも? こういうのを見せられると冷めますよね。観客と主人公の視点を分離して、作品への没入を妨げちゃう。小手先のテクニックじゃなくて、もっと真に迫った恐怖を味わわせてよ! 注意して見てみれば分かるけど、名作、傑作と呼ばれるホラー映画には、あの手の演出はほとんど出てこないよ。仮に出てきたとしても、核心とは関係ない場面で「お茶濁し」程度に使ってるだけで、間違ってもクライマックスでは出してこない。それをこの映画では、最後の最後まで一本槍で押通すんだもんなー。あまりのしつこさに、最後の方では、シラケルのを通り越して呆然としちゃったよ。そりゃあ脚本家も悪いんだろうけど、監督の引き出しの少なさがよく分かる。一本しか見てないけど、この先も決して「化ける」ことのない凡才だと断言できます。

 私が驚かされるのは(監督の無能ぶりにも充分驚かされるけど)、こんな映画をそれなりに面白いと評価する人が割と大勢いること。まあ、「それなりに面白い」と言うだけで、「大傑作」と言う人は見ないけど、仮にもこの映画を「面白い」と言うなんて、ホラー映画に求めてるものが低過ぎるでしょ。チェーンソーを持った大男が出てきて、キレイどころの女優が逃げ回ってれば、それでいいのか? まあ、確かにナイスバディーのジェシカ・ビールはカッコ良かったけど・・・(この映画をステップにして彼女は出世)
 不安になって調べてみたら、IMDbのサイトでは、3万6千人以上の投票の結果、評価は結構低い6.1(2009年12月1日現在)。安心しました。これが普通の反応です。この分だと、「相当つまらない駄作」であることを証明する5点代に落ちる日も、そう遠くはないですね。今夜は心安らかに眠れそうです。
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 DVDは2004年10月に発売され、2006年7月に低価格化。まあ、でも、レンタルで充分でしょう。

(2009/12/15)


ドーン・オブ・ザ・デッド
Dawn of The Dead 2004年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: マーク・エイブラハム
エリック・ニューマン
リチャード・P・ルビンスタイン
製作総指揮: アーミアン・バーンスタイン
トーマス・A・ブリス
デニス・E・ジョーンズ
監督: ザック・スナイダー
脚本: ジェームズ・ガン
撮影: マシュー・F・レオネッティ
音楽: タイラー・ベイツ

出演: サラ・ポーリー
ヴィング・レイムス
ジェイク・ウェバー
メキー・ファイファー
98分
*ディレクターズカット版 109分
レビュー
 オリジナル:『ゾンビ』(『Dawn of the Dead』)1978年公開

 ここにもまたアホがいた! ゾンビのイメージを決定付けたと言われる元祖ゾンビ映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)の監督ジョージ・A・ロメロが満を持して放ったゾンビ映画の決定版『ゾンビ』! 多くの熱狂的なファンを持つ、このカルト的な作品をリメイクしようというなんて!! 監督はCFを撮ってた新人だっていうし、こりゃあ全然期待できないなと、ハナから決めてかかっておりました・・・が、封切られたら、アメリカでは結構なヒットを記録。「もしかすると面白いのかも!?」と性懲りもなく期待を膨らませて見てみたのですが・・・

 意外や意外、これがなかなか面白い。ゾンビが「走る」と聞いた時には、オリジナルに対する冒涜だと思ったけど、スピード感を重視した演出と噛み合ってて、結構様になってる。ゾンビ発生による混乱を矢継ぎ早に描いたオープニングは、数あるゾンビ映画の中でも屈指のものでしょう。「走るゾンビ」の描かれ方が、まんまダニー・ボイル監督の『28日後...』(2002年)だったりとか、気になるところも多々あるのですが、勢いがあるから誤魔化されちゃう(笑)。ゾンビ映画に社会問題のメタファーを求める人には不向きかも知れないけど、オリジナルとはまた別の「サバイバル・アクション映画」として見れば充分楽しめます。

 ただ、アクション映画的な見せ場が一段落してドラマ重視の場面になると、途端に雲行きが怪しくなる。オリジナルの『ゾンビ』だって役者陣の演技は酷かったけど、映画自体に人間のリアルな姿を描こうとする姿勢があったから、結果的に多くの人の共感を呼んだんでしょ。それがこの映画の場合は、演技自体はそれなりに格好がついてるのに、脚本が表層的だから、登場人物の言動にリアリティーが伴ってこない。唐突であったり、ワザとらしかったりで、なんだかドラマと言うより、ドラマのパロディーみたいだ。
 キャラクター造形も安易なんだよね。信用できそうな人はやっぱり信用できるし、信用できなさそうな人はやっぱり信用できない。ヒーロー然とした男臭いキャラは活躍するけど、ホモのオッサンや尻軽のネーチャンは足を引っ張るだけ・・・。大層ご立派な人間洞察だね!
 「金持ち」で「イヤミ」で「臆病」という、これでもかとばかりに紋切り型の「憎まれ役」を用意しといて、そいつを最後の方で決めゼリフ言いながらやっつけたところにもシラケた。小さな女の子や妊婦にも容赦しないハードな世界観を提示しているクセして、肝心のところでマンガっぽくなるから、全体に軽薄な印象を与えるんだよね。後腐れがないよう、きちんとゾンビになった後に殺してるところにも、ドラマを重たくしたくないという作り手の逃げの姿勢が垣間見えた。

 脚本はもちろんだけど、監督の演出力にも問題あり。CF出身の監督らしく、スピード感を重視する場面を処理する瞬発力は持ち合わせてるみたいなんだけど、じっくりと見せるところはダメダメ。ラスト近くの主役クラスの人が死ぬ場面で、「青い空」に「響く銃声」・・・って、一体いつの時代の演出だよ! 日本のサスペンスドラマか!
 ちなみにこの監督、本作の成功で出世して、『300』、『ウォッチメン』と話題作を続けて手がけていくことになるんだけど、得意であったはずのスピード感のある演出を封印してスローモーな映像を多用するようになってるから、欠点ばかりが目立って、ホント見るに耐えない。この映画を見た時には多少期待もしたんだけどなー。

 そんなこんなな『ドーン・オブ・ザ・デッド』だけど、最後には「これぞゾンビ映画!」と唸りたくなるようなオチがつくし、見せ場も多いので、ボーっと見てると結構楽しめちゃいます。舞台がショッピングモールであることを除けばオリジナルとはほとんど別の映画なので、これで『Dawn of the Dead』を名乗るのはどうかと思いますが、一B級ホラーとしては充分に合格点をあげられます。期待しないでレンタルしたら、ちょっと得した気分になるかも?


 長くてダラダラしたレビュー(前に書いたヤツ)を読みたい人はコチラへどうぞ。
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 DVDは2004年11月に発売されました(発売:東宝東和 販売:ポニーキャニオン)。予告編やメイキングも収録されていて、本編のクオリティーも良好。2006年7月に廃価盤(あんまり思い切って安くしてないけど)も発売されたので、興味のある方はどぞ。
 ちなみに市販のDVDは、全て本編109分の「ディレクターズ・カット版」です。本編98分の「劇場公開版」は、レンタル版DVDに収録されています。10分近く短い分キレが良くなってるんじゃないかと期待して借りてみたのですが、印象はあんまり変わらなかった・・・

(2009/12/15)


ヒルズ・ハブ・アイズ
The Hills Have Eyes 2006年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: ウェス・クレイヴン
ピーター・ロック
マリアンヌ・マッダレーナ
監督: アレクサンドル・アジャ
脚本: アレクサンドル・アジャ
グレゴリー・ルヴァスール
オリジナル脚本: ウェス・クレイヴン
撮影: マキシム・アレクサンドル
音楽: トムアンドアンディ

出演: アーロン・スタンフォード
キャスリーン・クインラン
ヴィネッサ・ショウ
エミリー・デ・レイヴィン
107分
レビュー
 オリジナル:『サランドラ』(『The Hills Have Eyes』)1977年公開

 この映画を紹介するにあたっては、まずオリジナルである『サランドラ』について触れておかなければいけないでしょう。意味不明な邦題のことは置いとくとして(ヒット作の『サスペリア』(1977年)や怪物の「サラマンドラ」をモジった?)、ホラー映画に詳しくない人からしたら、「『サランドラ』って何?」って感じでしょう。ここで取り上げている他の映画、『13日の金曜日』、『ハロウィン』、『悪魔のいけにえ』、『ゾンビ』などと比べたら、明らかにネームバリューが落ちます。それどころか、日本では、どうしようもない「超駄作」という烙印を押している人も少なくない映画なんです。「なんでリメイクされたの?」って感じ。・・・でも、実はこの映画、海外ではそれなりに評価されてるカルト的な作品なんですよね。どうしてこんな温度差が生まれてしまったかと言うと、それはひとえに、この映画の配給を受け持った東宝東和の宣伝のせい。そう、ホラー映画ファンの方ならご存知の、あの「ジョギリ・ショック」です。
 日本を席巻した「スプラッター・ブーム」の最中、特に残酷描写に力を入れてるわけでもなく、だからと言って「一般映画」として売るには内容が陰惨過ぎるこの映画を、扱いに困った東宝東和は何年もお蔵入りにしていたのですが、84年、奇策を弄して公開に踏み切ります。本編には出てこない「ジョギリ」という武器(ノコギリのようなギザギザの付いたナギナタのようなもの)を捏造して、ポスターに堂々載せた上、「全米38州で上映禁止! いま恐怖の頂点を極めて、 戦慄のジョギリ・ショックがやってくる!」という誇大広告をぶったのです。結果、当然、「ジョギリが出てこない!」という非難が噴出! 期待を裏切られたホラー映画ファンたちから批判を集めることになってしまったんです。これで儲けた東宝東和サイドはニンマリだろうけど、映画にとっては、とんだ災難。まあ、スゴい傑作ってわけでもないけど、70年代的な殺伐とした空気を湛えた、それなりに印象的な映画ではあるのに・・・

 そんなこんなな『サランドラ』。リメイクにあたっては、フランスの新鋭アレクサンドル・アジャ監督が抜擢されました。『ハイテンション』(2003年)で注目された人ですね・・・って、この映画も日本では宣伝のトバッチリを受けた映画なんですよね。「これ以上はお見せできません!」って予告編にモザイク入れたりして、「スプラッター最終兵器」、「あなたは何分正視できるか?」なんていう謳い文句で公開されたんですが、実際には、残酷描写は最近のホラー映画としてはごくごくありふれたレベルで、結構真面目に「スリラー」やってる映画だったんです。いかにもフランス映画らしい「愛の物語」(?)でもあったし・・・
 オチが早々に予想できてしまうことを除けば(←これは致命的な欠点かも知れないけど・・・)、演技、映像、音楽など、完成度が高くてなかなか見応えのある映画だったのですが、これも宣伝との乖離によって、受けなくてもいい批判を受けることになってしまいましたね。「嘘でもなんでも、とりあえずお客さんを呼べさえしたらOK」みたいな安直な姿勢はなんとかならないものなのかなー。そもそも、見る方も宣伝に流され過ぎ。映画を見る時は、先入観を捨ててマッサラな気持ちになろうよ。

 と、まあ、前置きが長くなってしまいましたが、何か因縁めいたものさえ感じさせるアジャ監督の起用。いい化学反応を起こしていることを期待して見たのですが・・・

 ビックリするほど“普通”の映画だった・・・。確かに当世風に残酷描写は派手になってるんだけど、どっちかって言うと「アクション映画」の方に舵を切ってて、「爽快感」を優先してオリジナルが持っていた「陰惨さ」を薄めた結果、ありふれた娯楽映画としてまとまってしまった。まあ、『ハイテンション』の時に見込んだ通り、演出力はしっかりしてるから、B級ホラーとしては充分に水準を満たしているんだけど、こういうのがアジャ監督の目指している方向性なんだとしたら、正直ガッカリだなあ。オリジナルではナンのまとめもせずに終わっていた唐突なラストも、いかにもB級ホラーという感じのステレオタイプの終わらせ方になってたし・・・。なんでも無難にまとめればいいってもんじゃないでしょ。残酷描写は控えめでも、殺伐とした空気を湛えていたオリジナルの方が、ずっとショッキングだった。特に、無味乾燥に描かれたレイプ・シーンには、観客を“引かせる”だけの力があったよ。

 と、まあ、文句ばかりタレてしまいましたが、オリジナルにはなかった面白いところも・・・。オリジナルでは洞穴住まいだった殺人鬼一家が、予算がUPしたせいもあってか、今度は町に住んでるのですが、それがネバダ砂漠に作られた原爆実験場の跡地なの。ドキュメンタリー番組なんかに出てくるアレ、原爆の威力を調べるために、アメリカの平均的な住宅、平均的な街並を忠実に再現して、人間の代わりにマネキンを置いた町・・・、アレを模したセットが出てくるんです。これは意味深長ですねー。オリジナルにもあった、豊かな大国アメリカの負の部分を描くというテーマが、より明確な形で浮かび上がる結果になっています。こういうシリアスな部分があるからこそ、あまり「アクション映画」化しない方が良かったと思うんだけどなー。見せ場も派手になってるし、完成度も上がってるんだけど、それが映画の面白さに直結していない、むしろ削ぐ結果になっている・・・、難しいものですね。多少出来が悪くてもインパクトをとるならオリジナルの方、「ジョギリ・ショック」をお望みならリメイクの方、といったところでしょうか? くれぐれも言っておきますが、どちらの映画にもジョギリは出てきませんよ!
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 2008年8月にアミューズソフトエンタテインメントよりDVDが発売されました。買っても何度も見ることはないと思うので、レンタルで済ませる手もあり。

(2009/12/15)


ハロウィン
Halloween 2007年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: マレク・アッカド
アンディ・グールド
ロブ・ゾンビ
製作総指揮: ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
監督: ロブ・ゾンビ
脚本: ロブ・ゾンビ
オリジナル脚本: ジョン・カーペンター
デブラ・ヒル
撮影: フィル・パーメット
音楽: タイラー・ベイツ
 
出演: マルコム・マクダウェル
シェリ・ムーン・ゾンビ
タイラー・メイン
スカウト・テイラー=コンプトン
109分
レビュー
 オリジナル:『ハロウィン』(『Halloween』)1978年公開

 ここにもまたアホがいた!・・・って、このコーナー、アホばっかりなんですが、どうして「名作」とか「傑作」とか言われてる映画をリメイクしようとするかなあ? 「面白いんだけど、ここがちょっと・・・」とか、条件付きで評価されてる映画をリメイクするなら分かるけど、文句なしの完成度を誇ってる映画をわざわざリメイクしようなんてヤツの気が知れない。「ほっといても話題になるから宣伝費が浮かせられる」、その一点のみで製作にゴーサインを出すのかな? なんにしても最低にクダラナイよ・・・・・・って思いながらも、いつも結局は見てしまうんだから、私も相当なアホだね(^^; ほんのわずかでも期待できそうなところがあると、ついついそこに賭けちゃうの。今回は、『マーダー・ライド・ショー』、『デビルズ・リジェクト』といった毛色の変わったホラー映画(?)で一部好事家の支持を集めているロブ・ゾンビ監督(*本業はヘビメタバンド)が起用されたということで、何か“普通のホラー映画”とは違ったものを見せてくれることを期待したのですが・・・

 普通のホラー映画だった・・・。それも、かなり出来が悪い方の・・・・・・

 『マーダー・ライド・ショー』や『デビルズ・リジェクト』の時は、内容からして変わっていたので、そこに誤魔化されて目立たなかったんだけど、今回はストーリーが平凡だったから、演出力の欠如が前面に出てしまった。完全にグダグダ。まともな恐怖演出一つできないものだから、恐怖感を煽る場面では、ただひたすらにカメラをガタガタ揺らしてるの。なんか呆れるのを通り越して悲しくなってきた・・・
 脚本もゾンビ自身が手がけているんだけど、これがまたダメダメ。オリジナルには描かれていなかった「殺人鬼の背景」を描くことに力を入れてて、それ自体は別に悪いとは思わないんだけど、登場するエピソードが・・・
 父親が暴力的で、母親が水商売やってて、姉が尻軽で・・・、荒んだ環境で育った少年はペットや小動物をイジメるようになるが、それがだんだんエスカレートして・・・って、ディスカバリー・チャンネルでやってる犯罪者のドキュメンタリーか! リアルな殺人鬼像を描きたい気持ちは分かるけど、ここまでステレオタイプだと逆にシラケる。紋切り型だけ提示しても、物語に深みは出てきません。文学的素養に乏しい脚本だ。オリジナルでは謎の殺人鬼だった「マイケル」の行動の動機まで提示してしまうんだけど、これで映画が面白くなると思っているのかな? なんでもかんでも理由づけ。ヘビメタやってるクセに頭が固いなー。
 新機軸のアイディアだとでも思ったのか、マイケルが母親にだけは深い愛情を抱いている設定になってるのですが、コレって『13日の金曜日』の「ジェイソン」とカブってるじゃん。本当は『13日の金曜日』の方が『ハロウィン』をパクって作られたのに、リメイク版では立場が逆転する結果に・・・。ゾンビは『13日の金曜日』をリメイクすれば良かったんだよ。彼には『ハロウィン』は敷居が高過ぎた。

 と、まあ文句ばかり並べてしまいましたが・・・って、いつものように少しは“いいところ”もあげてから終わりたいトコなんだけど、この映画の場合は、無い。褒めるところが見付からない・・・。まあ、あえてあげるとしたら、ラストのオチを変えてあったところかな? だって、このクソツマラナイ映画のオチがオリジナルと同じだったとしたら、不幸にもコレを先に見ちゃった人が可哀相だもん。あの素晴らしいオチは、オリジナルの『ハロウィン』で味わって下さい。
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 2009年3月現在にブルーレイとDVDが発売されました。血迷ってブルーレイを買ってしまった私に同情して下さい(TT)

(2009/12/15)


13日の金曜日
Friday the 13th 2009年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: マイケル・ベイ
アンドリュー・フォーム
ブラッド・フラー
ショーン・カニンガム
製作総指揮: ブライアン・ウィッテン
ウォルター・ハマダ
ガイ・ストーデル
監督: マーカス・ニスペル
原案: ダミアン・シャノン
マーク・スウィフト
マーク・ホイートン
脚本: ダミアン・シャノン
マーク・スウィフト
撮影: ダニエル・C・パール
音楽: スティーヴ・ジャブロンスキー
 
出演: ジャレッド・パダレッキ
ダニエル・パナベイカー
アマンダ・リゲッティ
トラヴィス・ヴァン・ウィンクル
97分
レビュー
 オリジナル:『13日の金曜日』(『Friday the 13th』)1980年公開

 ここにもまたアホが・・・と言いたいところだけど、この映画に関しては、私リメイクすることを認めてます。だって、オリジナル自体が大した映画じゃないから(笑)。名作『ハロウィン』(1978年)を下手クソにパクったオープニングに始まり、マリオ・バーヴァ監督の『血みどろの入江』(1970年)をパクったストーリーラインと殺害シーン・・・、オリジナルからしてオリジナリティーが無かったもんね。知名度の高さに比して、映画の完成度は著しく低い。時代の潮流に乗っかってヒットしただけ。面白くできるものなら面白くしてもらいたい。
 ・・・というわけで、今回のリメイク企画、満更否定的に見ていたわけじゃなかったのですが、製作マイケル・ベイ、監督マーカス・ニスペルという話を聞いて、一挙に暗雲が・・・。なんと、あの『テキサス・チェーンソー』のコンビ! マーカス・ニスペルという人が再び監督をやらせてもらえるということ自体が信じられない! マイケル・ベイとの間に何か個人的なつながりでもあるか?? 確かに、あの映画、それなりにヒットはしたけど、それは話題性のおかげ。監督の演出力の欠如は一目瞭然だった。事実、IMDbでの評価もウナギ下がり。予告編では「あの『テキサス・チェーンソー』のコンビが贈る・・・」みたいな宣伝をしてたけど、これって売り文句になるのか? オリジナルもリメイクも原題はおんなじ『The Texas Chainsaw Massacre』だからって、混同させようとしてるんじゃあるまいな?(確かに、有名映画をリメイクしとくと、こういう時に役に立つな。なんだか箔が付いた感じがする。)
 ・・・というわけで、懸念材料はいつにもまして多かったのですが、これだけネームバリューがある映画を見過ごすわけにも行かず、一念発起して(100円レンタルになるのを待って)見てみたのですが・・・

 まず、本題に入る前に一つ注意を。この映画、巷では『13日の金曜日』のリメイクと宣伝されてますが、実は厳密には違うんです。ポスターを見れば分かるけど、この映画には「ジェイソン」が出てきます。『13金』の第一作にジェイソが出てこないのは有名な話ですよね。まあ一般には『13金』=ジェイソンというイメージが定着してしまっているので、今更ジェイソン無しの『13金』を作るわけにも行かないというのは分かるんですが、それじゃあストーリーが大きく変えてあるのかと思ったら、全然違った。冒頭、アバンタイトルで、いきなりオリジナルの『13金』第一作の結末が再現されるんです。つまり、これは、『13金』第一作のリメイクではなく、二作目以降、ジェイソンが登場してからのお話のリメイクだったんですね。「リメイク」と言うより、第一作から直接つながる「続編」として捉えた方がいいのかも? 二作目以降のお話をリセットしてしまった『スーパーマン リターンズ』(2006年)と同じやり方ですね。『スーパーマン リターンズ』が大コケしてるのにこの手法をとるのもどうかとは思うんですが、心意気は買いますよね? マンネリにマンネリを重ね、もはや冗談のタネにしかならなくなってしまったシリーズと決別しようということなんでしょ?
 「今度のジェイソンは、モンスターじゃなくて人間」、「獲物を追う時は走るし(←昔のジェイソンは、歩いてるのになぜか獲物に追いついてた)、腕力だけじゃなく、頭も使って獲物を追い詰める」とか、リアル路線を志向してることを謳っていたので(こういう路線には『ハロウィン』(2007年)という失敗例があるけど・・・)、何かしら新しいものを見せてくれるだろうと思ったのですが・・・

 なんだこりゃ?? なんにも新しくない。やってることは昔と一緒。それも、一番マンネリして、一番飽きられてた頃の『13金』と一緒なの。確かにジェイソンは走るようになってたし、罠を仕掛けたりもしてたけど、こうした新要素が物語にほとんど生かされてない。結局は人間離れした怪力に頼る場面が多いし、そもそも展開のパターンが一緒だから、印象に変化がないのだ。なんのためにこういう設定を盛り込んだのか分からない。こりゃあアイディア倒れだな。
 ご都合主義的な展開が多いところにもシラケた。ジェイソンの主武器は牛刀で、コレでもってほとんどの相手を一撃で仕留めてるんだけど、主人公を襲う時だけは、わざわざ牛刀をしまって素手になってるの。背後から不意打ちする時、牛刀を使ってたら一瞬で終わってたでしょ! 一体どういう手加減だ? 主人公を追い詰めて組み伏せた時も、ガラスに2、3回頭を打ちつけただけで手を止めちゃう。死んだ風に見せようとはしてるけど、いかにも「まだ死んでません」って感じ。そんでもって、主人公はやっぱり生きてるし・・・

 「まあ、B級ホラーなんてものは大抵そんなもんだろ」という声も聞えてきそうですが、この映画の場合、監督の演出力が並以下、平凡以下なので、ホント目も当てられない。たぶん旧作を見て色々研究したんだろうけど、それっぽい映像をツギハギしてるだけなので、なんの効果も生まれてない。自分の撮ってる映像に無自覚なんだよね。
 黒人青年が友達のアジア系青年を探しに行くシーンも酷かった。やたらと引っ張って見せるんだけど、ジェイソンの存在が登場人物たちの知るところとなり、いよいよ物語がクライマックスに向かって動き出すという段になって、こんなに間を取ってたら逆効果でしょ。映画が完全にスローダウン・・・。そもそも観客は、前のシーンで、あのアジア系青年がどうなったか見せられてるんだよ。オチが分かった上で長〜いフリに付き合わされるのはシンドイ。こういう展開にするんだったら、前のシーンで結論を省いておかなきゃ。
 たぶん脚本家の意図を汲むことさえできていないのだな。まさかこんな支離滅裂な脚本が通るとは思えないから、監督の理解力の欠如がこのグダグダ感を生んだんだと思う。必要なカットを減らしたり、不必要なカットを増やしたり・・・。事実、「リアル志向」というのも無視して、リアリティー皆無の軽薄な描写に終始してるし。さすがに『テキサス・チェーンソー』の時よりは、少しは成長してるだろうと思ったんだけど・・・
 よくよく調べてみたら、マーカス・ニスペルって人、『テキサス・チェーンソー』の時に既に四十歳だったんだ! てっきり映画のイロハも知らない若造の作だと思ったけど、四十であの始末ということは、もう完全に希望が無いね・・・。『テキサス・チェーンソー』の時は、オリジナルがモノ凄い力を持った映画だったから、その残り香のせいで多少の迫力が感じられたけど、今回はオリジナルからしてアレだったから、本当になんにも無くなっちゃった。見るべきところがなんにも無い。

 それなりに名前の通っている会社が作った、それなりの話題作が、どうしてこんな風になるかなあ? 製作のマイケル・ベイは、ホラー映画というものになんの愛着も抱いていないでしょ。出来はどうあれ固定客が入るから、ちょっとした小遣い稼ぎのつもりで作っているんじゃない? そうでもなきゃマーカス・ニスペルを再び起用するとは思えない。でも、今度ばかりは観客もそこまで甘くはなかったぞ! IMDbの投票では、10点満点中の5.7(2009年12月現在)。IMDbにおける5点代というのは、はっきり言って、かなりの駄作であることの表明です。『テキサス・チェーンソー』には甘かった日本のファンも、この映画に対しては手厳しい。この評価を見れば溜飲も下がろうというものなのですが、なんと、続編の企画が進行中・・・。バカにつける薬はないですね。
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 2009年8月にブルーレイとDVDが発売されました。レンタルで済ませてホント良かった。

(2009/12/15)

各種ランキング発表!

オリジナル忠実度

 リメイクを謳っている以上(リイマジネーションとか言ってる場合もありますが)、オリジナルにどのくらい忠実なのかは気になるところ。必ずしもオリジナルに忠実なら面白いというわけではありませんが、一応参考までに。

タイトル コメント
1位 ヒルズ・ハブ・アイズ ストーリー自体は意外なほどオリジナルに忠実。だけど、殺伐とした空気はなくなって、普通のアクション映画になっちゃった。
2位 13日の金曜日 特にどの一本ということじゃないんだけど、中身が空っぽな軽薄なタッチはよく似てた。わざわざ再現するほどのものじゃないとは思うんだけど・・・
3位 テキサス・チェーンソー ストーリー自体に大差はないけど、演出のレベルに差があり過ぎ。そもそもストーリーはあってないような映画なんだから、これじゃダメでしょ。
4位 ハロウィン 前半は勝手に作ってるんだけど、後半はカメラワークまでマネしてる。最後はまたエピソードを付け足してあるんだけど、付け足した部分の完成度がことごとく低いというのは・・・
5位 ドーン・オブ・ザ・デッド 「ゾンビが走る」という時点で「別の映画」。ショッピングモールが舞台になっている以外は、ストーリーに共通点もなし。だけど、これが一番楽しめるんだから、リメイクというものは分からない。


IMDbランキング

 The Internet Movie Database (IMDb)の読者投票。大勢の人間が投票してるので、日本の映画サイトなんかよりは断然信用できます。ただ、個人的には、事前に情報を入れたくないので、映画を見る前にはなるべく見ないようにしてます。私の印象だと、7点以上は「佳作」や「傑作」、6点代半ばまでは「まあまあ楽しめる映画」、5点代以下は「駄作」という感じです。まあ評価が食い違う場合もありますが・・・

タイトル (評点) コメント
1位 ドーン・オブ・ザ・デッド 7.4 まあ、これが一番なのは納得。ホラー映画ファン以外でも楽しめるエンターテインメント。ちなみにオリジナルは8.0点。さすがに負けたけど大健闘。
2位 ヒルズ・ハブ・アイズ 6.5 この映画もエンターテインメント性故の好評価でしょう。オリジナルは6.4点。この映画だけオリジナルに勝ったけど、インパクトでは劣るので、一長一短という感じ。
3位 テキサス・チェーンソー 6.1 この映画を評価する人とは友達になれない気がする。オリジナルは7.5点。意外に低い気がするけど、これは低予算映画に免疫のない人が結構いるから?
4位 ハロウィン 6.0 オリジナルはさすがの8.0点。これを見れば、リメイク版がオリジナル版に対する冒涜以外の何ものでもないことが分かると思う。
5位 13日の金曜日 5.7 オリジナルは6.3点。これの下を行こうというのだからスゴい志だ・・・

*2009年12月現在


私のランキング

タイトル コメント
1位 ドーン・オブ・ザ・デッド IMDbとカブっちゃうけど、やっぱりコレだと思う。この中ではダントツ。コメディー映画の『ショーン・オブ・ザ・デッド』の方がオリジナルの世界観を忠実に映してるし、完成度も高いけどね。
2位 ヒルズ・ハブ・アイズ 正直何度も見たいと思うような出来ではないけど、無難にまとまってると思う。無難にまとまってないのに同じくらいの評価を得てるオリジナルの方が個性があっていいとは思うけどね。
テキサス・チェーンソー これ以下は、もう順位をつける意味ないな。ウンチの色が黄色いか茶色いかっていう問題。どっちにしても食べません!
ハロウィン
13日の金曜日


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