ハード キャンディ
Hard Candy 2005年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: マイケル・コールドウェル
デヴィッド・ヒギンス
リチャード・ハットン
ジョディ・パットン
製作総指揮: ポール・G・アレン
ローザンヌ・コーレンバーグ
監督: デヴィッド・スレイド
脚本: ブライアン・ネルソン
撮影: ジョー・ウィレムズ
プロダクションデザイン: ジェレミー・リード
衣装デザイン: ジェニファー・ジョンソン
編集: アート・ジョーンズ
音楽: ハリー・エスコット
モリー・ナイマン
 
出演: パトリック・ウィルソン
エレン・ペイジ
サンドラ・オー
ジェニファー・ホームズ
103分
レビュー
 サンダンス映画祭で話題を呼んだ異色のサスペンス映画。監督は、本作が初長編となるデヴィッド・スレイドという人。主演は、『オペラ座の怪人』(2004年版)や『アラモ』(2004年版)などに出演しているパトリック・ウィルソンと、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』などに出ているエレン・ペイジ。タイトルの『ハード キャンディ』とは、勃起したペニスのことを指す隠語だそうです。

 「サンダンスで話題を呼んだ」とか、最近もう聞き飽きたキャッチコピーが付けられていて、主な登場人物は二人だけで密室劇という、これまた最近流行りの「ソリッド・シチュエーション・スリラー」とかいうヤツだったりするので、また似たような映画っぽいなあと、あんまり期待していなかったのですが、これがなかなかの拾い物でした。なんと言っても、ストーリーが奇抜で面白い。
 ロリコン趣味のある中年男がチャットで知り合った14歳の女の子と会うことになる。無防備な女の子が、のこのこ自宅まで付いて来たものだから、男はウハウハ。でも、女の子が作ったカクテルを飲んだら、意識が遠のいて昏倒。気が付いたらイスに縛られていて、「“アレ”はどこに隠してあるの?」、「左右のタマ、どっちから取る?」とか言われて、「“アレ”って何!?」、「タマって・・・・・、え〜〜〜!!!」ってなってしまうというお話。

 こりゃあもう、立派な「拷問映画」ですな。「拷問映画」と言えば、最近『ホステル』が話題になってましたが、個人的には、こっちの方が数段上。『ホステル』に出てくる悪者って、結構簡単に殺しちゃうじゃない。ちょっといたぶったら、割とあっさり殺しちゃう。でも、拷問って、元来、「いかに殺さないか」っていう業でもあるでしょ。いかに殺さずに、いかに苦しませるか。肉体的なダメージはもちろんだけど、時に精神的なダメージの方を重視して。その点、この映画は完璧よ。「いっそのこと殺してくれ!」と懇願する男の声に耳も貸さず、「片方だけ残すとバランスが崩れて歩きにくくなるっていうから、もう一つも切るわね」って言いながら、粛々と去勢手術を強行するのです。テーブルに寝かされてても切られる“モノ”が見えるよう、親切にビデオカメラとモニターまで用意してくれたりして(笑)。

 これだけ読むと、なんだかおゲレツなゲテモノ映画のように思えるかも知れませんが、そういう映画じゃないですよ。スプラッターな描写は無し。痛いシーンも俳優の演技だけで見せてます。映像はキレイだし、寧ろ「オシャレ系」って感じ。まあ、個人的には、時折出てくる「スタイリッシュ」を狙った映像が、生々しさ=リアリティーを希薄にしているように思えて、違和感も覚えたのですが、お話自体は面白かったので、最後まで興味深く見れましたです。
 少女の正体は? そして彼女の目的は? 彼女は、身勝手な正義感を発揮して、少女を性の対象のように思っているアホのロリコン男に天誅を下そうとしているらしいのですが、どうやらそれだけでは無いらしい。謎が謎を呼びます。
 映画の終わり頃に、少女が「私はあなたが欲情した少女全員よ」みたいなことを言うので、もしかして、彼女は“彼の良心”で、実は実在しない存在・・・、全ては主人公の妄想だったとか、そういうサブいオチが付くのではないかと危惧しましたが、そんな卑怯技には訴えず、キレイにまとめてあったので安心しました。最後の決めゼリフにシビれる!(「決めゼリフ」というほどの決めゼリフでは無いんだが・・・)

 「登場人物のどちらにも感情移入できなくて、見ていてムナクソ悪くなる」とか文句言ってる人もいましたが、私はそうでもなかったです。普通に楽しめました。何が正しくて、何が正しくないのか、世の中スッキリ割り切れるものじゃないでしょ。登場人物のそれぞれに、時には同情し、時には嫌悪感を抱くと思いますが、それは制作者の狙い。事の正悪を曖昧にして、観客に考えさせようとしているんですね。こういうアプローチもアリだと思います。それに、何はともあれ、単純に、見ていて“痛快”でした(笑)。ロリコン男を追い詰める少女の活躍は、もうほとんどヒーロー映画のレベル(←この場合はヒロインだけど)。まあ結構なダーティーっぷりではあるけど、『羊たちの沈黙』のレクター博士みたいなヒールの魅力がありましたね。あちらの映画みたいにシリーズ化して、アホのロリコンをどんどん血祭りに上げてほしい!(笑)

 ストーリーのセンセーショナルさで観客の気を引こうとしている風も無きにしも非ずだけど、映像も演技もレベルが高いし、サスペンス映画としても見応えがあって、最近流行りの“変則スリラー映画”の中では一番の出来だと思います。『SAW』や『マシニスト』より面白い。日本のallcinemaのサイトだと平均点以下の評価ですが、米IMDbではなかなかの高評価。そちらの方が妥当だと思います。興味のある方は是非ご覧あれ。
映画の印象
/
降水確率10%
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 DVDはジェネオン、クロックワークスから発売されました。海外盤からの忠実な移植らしく、画質も良好で特典も充実。収録特典は以下の通り。
・メイキング
・未公開シーン
・キャスト、スタッフインタビュー
・オリジナル本国版劇場予告篇
・日本版劇場予告篇
・エレン・ペイジ来日メッセージ

(2007/5/18)

関連作をチェック!

関連作品


トップページを表示