ファイナル・デスティネーション
Final Destination
2000年アメリカ
98分


製作総指揮: リチャード・ブレナー
ブライアン・ウィッテン
製作: グレン・モーガン
クレイグ・ペリー
ウォーレン・ザイド
監督: ジェームズ・ウォン
脚本: グレン・モーガン
ジェームズ・ウォン
ジェフリー・レディック
原案: ジェフリー・レディック
撮影: ロバート・マクラクラン
音楽: シャーリー・ウォーカー
 
出演: デヴォン・サワ
アリ・ラーター
カー・スミス
クリステン・クローク
ダニエル・ローバック
アマンダ・デトマー
トニー・トッド
ショーン・ウィリアム・スコット
チャッド・E・ドネッラ


ストーリー
 修学旅行でパリへと向かう高校生たちを乗せたジャンボジェット機。離陸直後、乱気流に巻き込まれたかと思うと、突如、機体に亀裂が走って大爆発! 乗員も乗客も一人残らず死亡してしまった!? ・・・と思ったら、これは生徒のアレックスが出発前の機内で見ていた夢でした、チャンチャン。
 でも、このアレックスくんが大騒ぎを始めてしまったものだから、さあ大変! 彼の親友のトッドを始め、食ってかかってきた不良くんなど、騒ぎに巻き込まれた数人の生徒は飛行機から降ろされてしまうハメに・・・
 引率の先生を含めた七人は離陸するジャンボ機を見送る他ありません。相も変わらず、不良くんはアレックスに突っかかっていきます。しかしその時、夜空に消えゆこうとしていた機影が閃光に包まれて大爆発!! 奇しくもアレックスの予言通りになってしまいましたとさ・・・

 ふとした偶然から、死の運命から逃れたかに見えた七人。しかし、そんな彼らの元に不吉な影が忍び寄る。偶然に偶然が重なって、不幸な事故による死亡者が出てしまったのだ。
 自分たちは本来、あの事故で死んでいるはずだった。これは「死」が、そのシナリオの帳尻を合わせるために張り巡らした罠なのではないだろうか? アレックスの仮説を裏付けるように、一人また一人と不審な事故死を遂げていく・・・

 「死」を前にすると必ず何がしかの「徴」が顕れる。その些細な予兆を見逃さなければ「死」を出し抜く事が出来るはずだ!
 運命に抗する事を決めたアレックスたちは、「死」に立ち向かおうとするのだが・・・
レビュー
 アイデア賞モノのホラー映画です。まあ、よくよく考えてみれば、やってる事は他の映画とあんまり違わないんですけど、襲ってくるモンスターが「運命」という名の実体のないものに変わっただけで、新味溢れるドキドキワクワクの物語に早変わりです。
 決して派手派手な内容の映画というわけではないので、ほとんど宣伝もされずに終わってしまいましたが、クチコミでジワジワと人気が広がった実力派の隠れた傑作です。2003年には『デッドコースター』というタイトルの続編も公開されました。

<襲い掛かる生活用具!(笑)>
 偶然に偶然が重なって、日常に溢れている生活用具が命を奪う凶器へと変貌するっていうアイデアが光ってますね。
 足元が濡れた洗面所でカミソリ持って喉元の辺りを剃ってるので、「あーあーこれで逝っちゃうのね」って見ていると、予想を裏切ってカミソリを置いちゃって、今度はハサミを手に取ると鼻の穴に突っ込んで鼻毛を切り始めるのよ。イタイイタイ! これブッスリやったら痛いね〜(^^; 何気に少しずつ痛そうなアイテムにシフトしているところが笑えるのですが、結局、そのハサミも置いちゃうんです。「あれれ〜?」ってところで、バキッ!シュルシュルシュルッ!って、全然予想もしてなかったアイテムで決着を着けてくれます・・・。こりゃ面白いわ(笑)。

<日常に溢れた死>
 概して、外の世界の方が危険がいっぱいなのは当たり前の事なので、一見安全そうな室内の場面の方が逆説的に面白くなる傾向がありますね。単体では危なくないような品物の数々が互いに作用し合って、最終的には一人の人間を死に追いやる過程が、箱庭的なスペクタクルに昇華しています。お外を歩いていて、いきなり車にボカンッ!というのでは、ちょっと物足りないかな? まあ、これはこれで効果を上げているんですけどね。死にそでなかなか死なない時もあれば、唐突に死んじゃったりする場合もあるので、よそ見なんかしてられなくなっちゃいます。

 でも、これってよくよく考えてみれば、「現実」の世界、私たちが生きている日常も同じなんですよね。例えば交差点での信号待ちの時、駅のホームに立って電車を待ってる時。私たちは一定のルールに従っているおかげで無事に切り抜けてきているわけですが、ここで一歩踏み出すかどうかの決断が、生と死を分かっているんじゃないですか。当然、私たちの意志など関係なしに、車の方から勝手に飛び込んできちゃう場合もありますし・・・、まあ、言ってしまえば、お箸や鉛筆を持ってる時に転んで、それが刺さって死んじゃうって可能性だって・・・
 私たちが生きている日常も、この映画の世界と同様に、「死」の記号に満ち満ちているという事ですね。

 ・・・まあ、こんな事を真剣に考えて、外出も出来なくなっちゃう病気の人たちが現実にもいるわけですが、本作の面白いところは、主人公を始めとする登場人物たちも、実際には「定められた運命」なんてものは初めから存在しなかったのに、強迫観念に囚われて、自分たちを追い詰めてしまったようにも解釈できる点です。
 同級生たちはみんな死んだのに、自分たちだけが生き残ってしまった事に対する罪悪感。彼らは「死」から逃れようとしているつもりでいながら、無意識の内に、「死」に誘惑されていたのではないでしょうか?
 ・・・と、ここまで書いておきながら、注釈を入れますが、これはあくまでも私の希望、「こうだったら面白かったのになー」っていう要望に過ぎません(^^; そこはこれ、ハリウッド映画。ヤメときゃいいのに、超自然的な存在の介入をはっきりと映像で見せちゃってるんです。
<忍び寄る「死の影」?>
 何か不穏な空気が漂い始めたぞ〜って時に、鏡やヤカンなどに怪しげな影が映り込むという演出が為されているのですが、これが実際に現場で映り込んでもオカしくないようなサリ気ない影とかじゃなくて、あからさまにCGと分かる不自然な映像なんですよねー。
 どっち付かずの曖昧さを残した方が面白くなると思うのに、こうやってきっちり割り切ってしまう辺りがいかにもアメリカン・ライク。「死の誘惑」だとか、そういう心の闇を描くような部分はすっかり切り捨てて、結局は「邪悪な存在との戦い」という定石通りの物語の範疇に押し込めてしまっています。

 たぶんね、脚本家の方では、どっち付かずの曖昧さを残していたんだと思いますよ。「彼は自分の背後に“怪しい影”を見たような気がした・・・」とか。でも、それを映像にする上で、バカ正直に、これ見よがしに「怪しい影」っていうのをCGで作っちゃったんでしょう。発想が貧困と言うかなんと言うか・・・
 まあ、最後まで実体を伴うようなモンスター然としたキャラクターを登場させなかったという事だけでも、充分に評価に値するんですけどね。かな〜り強引に解釈すれば、色々邪推を差し挟めない事もないですし。・・・う〜ん、やっぱ無理かな?(^^;

<ツッコミ所多し(笑)>
 それにしても、内容が内容なので無理もないのですが、矛盾点や納得のいかない点が多々あって、色々とツッコミ所の多い映画ではありますね。
 例えば、偶然助かってしまったがために“運命のシナリオ”を狂わしてしまったとか言っていますが、結果的には、その“偶然”が「運命」って事になるんじゃないのかなー?、とか。どういう基準で運命と運命じゃないものが区別されているのか釈然としませんよね。
 あと、一番ツッコミを入れたいのはあそこ。いわゆる「死神」と呼ばれるような存在が、「偶然」という武器を操って、生還者たちを死に追いやろうとしているわけですが、カミナリを落とす事で、電線を切ったり、木を倒したりするぐらいだったら、直接そのカミナリを標的の人間の上に落とせばいいじゃない(笑)。それだって充分に偶然による事故死でしょ? 確かにそれやってしまったら、映画がいきなり終わっちゃうんですけどね(^^;
 まあ、こんなの本気でつっこみを入れてるわけじゃないので気にしないで下さいね。お楽しみの一環としてのツッコミですから。ハラハラドキドキしながらも、半分笑いながら楽しめるところがこういうお気楽映画のいいところ。結構笑いのツボを押さえた映画だと思いますよ、コレは。

<不謹慎な悦び>
 「死ぬかな?死ぬかな? あ〜死なない」、「今かな?今かな? う〜まだだ」ってな感じで、この映画を見ていると、無意識の内に登場人物たちの「死」を待ち望むような不謹慎な気持ちにさせられてしまいます。『13金』に代表されるようなスラッシャー系の映画は、もはや「殺戮ショー」と化してしまっているので、どれでも少なからずこういう感情を誘発するものですが、本作の場合、左記にも触れたように、いついかなる時に「死」が訪れるのか全く分からない上に、危害を加える主体が一向に姿を見せないので、言うなれば、九十八分間、ずっと安全ネットなしの綱渡りを見せられているようなもの。「落ちろ!」、「落ちるな!」という相反した感情のせめぎ合い。もしかして、登場人物たちを死に追いやった「死神」って、観客の願望の事だったんじゃないでしょうか? この映画は、何気に私たちの心のダークサイドを暴き出していますね(笑)。

 まあね、当然これは、「映画」だって分かっているから楽しめるんですよ。この「虚構性」というものが観客にとっての安全ネットの役割を果たしているわけです。そこでは良心の咎めを受けずに、負の感情を開放する事が出来ます。
 さあ、みなさんも、この『ファイナル・デシティネーション』を見て、不謹慎な悦びに身を委ねてみようではありませんか!(笑)
1 5 10
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マニア人気
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ソフト
 DVDはブエナビスタから発売されました。本国で出ていたもののマイナーチェンジ版なので、安心して購入する事が出来るクオリティーです。廃価盤は税込1890円というお試ししやすい価格になっております。

 収録されている特典は以下の通り。
・未公開シーン(約3分)
・もうひとつのエンディング(約5分)
・テスト・スクリーニング(約14分)
・予知能力者が語る(約20分)
・キャスト&スタッフ紹介(静止画)
・アメリカ版劇場予告編(約2分)
・日本版劇場予告編(約2分)


<アナザー・エンディング〜ネタバレあり
 ちなみに、この中の「もうひとつのエンディング」を見ると、当初は主人公のアレックスがヒロインのクレアを助けた後に死んでしまう予定だった事が分かって興味深いです。この時点で「死の呪縛」は消滅して、クレアと不良くんの二人が生き残るという一応のハッピーエンドを迎えていたのですが、試写を行ったところ、「主人公とヒロインには揃って生き残ってほしい」、「殺すならムカつく不良くんの方にしろ!」などなど、不評が相次いだため、結局、現在の形に変更されたそうです。私、レビューの最後の方で冗談半分に、「登場人物たちを死に追いやった死神とは、観客の願望の事だったのでは?」などと書いていましたが、実際その通りだったんですね。まあ、どちらにしろ、こちらの終わり方の方がB級ホラーっぽくて楽しめるからいいのですが。


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