死霊のはらわた II
Evil Dead II 1987年 アメリカ
スタッフ/キャスト
製作: ロバート・G・タパート
監督: サム・ライミ
脚本: サム・ライミ
スコット・スピーゲル
撮影: ピーター・デミング
音楽: ジョセフ・ロドゥカ
 
出演: ブルース・キャンベル
サラ・ベリー
ダン・ヒックス
キャシー・ウェズリー
セオドア・ライミ
デニス・ビクスラー
リチャード・ドメイア
85分
ストーリー
 楽しい休日を過ごすために、恋人のリンダと一緒に山奥の小屋へやってきた青年アッシュ。夜も更けて、彼女ともだんだんといいムードに・・・。でも、そこに置いてあったテープレコーダーを再生したばかりに大変なことに! なんと、そのテープには、山小屋の持ち主である考古学の博士によって、太古の死霊を呼び覚ます呪文が吹きこまれていたのだ!!
 森を彷徨う得体の知れない存在によって、リンダがいきなりさらわれてしまう! あとを追って外に飛び出したアッシュの前に現れたのは、死霊に取り憑かれて凶暴化したリンダ! びっくらこいたアッシュは咄嗟にシャベルを振り回して、彼女の首を切り落としてしまった・・・
 リンダの亡骸を埋葬し、自責の念に打ちひしがれるアッシュ。しかし、死霊は次にアッシュに向かって襲いかかってきたのだ! 物凄い勢いで吹っ飛ばされて昏倒するアッシュ・・・
 目覚めた時、彼の意識は死霊に支配され、その形相は悪魔の如く変じていた! だが、その時、幸運にも夜が明け、朝日に追われた死霊はアッシュの体を抜け出して、森の影の中へと消えていった・・・

 数時間の後、意識を取り戻したアッシュは車を走らせて森の外へと向かう。しかし、森と外界とをつなぐ橋は、完全に崩壊してしまっていた! 慟哭するアッシュ。
 再び夜のトバリが降りる・・・。活動を再開した死霊たちが再びアッシュの元に迫ろうとしていた!

 小屋に逃げ込む事でなんとか死霊の追跡をやり過ごしたアッシュだったが、安心したのもつかの間、ピアノが独りでにポロポロと鳴り出したと思ったら、首なしリンダの死体が土の中から這い出して踊り出した! 切り落とされた頭もコロコロと転がってきて元の場所にくっ付いちゃったりして、アッシュ茫然。掴みかかられてウギャーってなったら、何事もなかったように椅子に座っちゃったりしてて、あれは全部夢!? ・・・と思ったら、上からリンダの首が落ちてきて手をガブリッ! なんとか引き剥がすも、今度はリンダの胴体の方がチェーンソーを抱えて襲ってきたりして阿鼻驚嘆! なんとか返り討ちにして、死霊リンダにトドメを刺したアッシュでしたが、今度は自分の右手が死霊に取り憑かれて凶暴化!! てんやわんやの騒動の挙句、とうとう自分の右手を切り落としてしまうアッシュでした・・・、チャンチャン。

 一方その頃、山小屋の持ち主である博士の娘とその助手が、連絡が取れなくなった博士のことを心配して、道案内を伴って山小屋へ向かってきていました。でも、彼らが小屋に到着した時、そこには博士の姿はなく、血まみれの姿でテンパっちゃってるアッシュが・・・!? 当然みんな、彼の事をヤバいヤツだと思っちゃって、よってたかってフクロにした挙句、地下室に監禁!
 散々な目に合わせられて疲労困憊のアッシュでしたが、彼の受難は終わりません。なんと、その地下室には、ゾンビ化した博士の奥さんが埋葬されていたのです! 「魂を吸い取ってやる〜!」って襲いかかってきたゾンビ婆さんにタジタジのアッシュ。でも、危ういところで地下室から出してもらって助かったのでありました。

 夜はまだまだこれからです。果たして彼らはこのサバイバルを生き残り、無事に朝を迎える事ができるのでしょうか?
レビュー
 とうとう今回で、当サイトで紹介する映画も100本目を迎えました。この記念となる回に生半可な映画をレビューするわけにはいかないとも思いましたが、あまりキバるもシンドイので、個人的な思い入れだけで本作を・・・
 たぶん、この映画を見ていなければ、今の私はなかったと思いますので(笑)。私が「映画好き」になるキッカケとなった映画です。言わば、人生を踏み外すキッカケですな(^^;。中学生だった三年間、私にとって本作は不動のベスト1でした・・・(←遠い目)
 一大スプラッターブームを巻き起こした『死霊のはらわた』から4年・・・、あのサム・ライミが満を持して放った驚愕のミラクル・スプラッタームービー! オモシロ映画好きを狂喜させ、真面目なホラー映画ファンをガッカリさせた、これがあの『死霊のはらわた』のパートIIだ!!


 この映画、『II』とは言っても、完全に独立した映画として成立しているので、キャラクターや舞台設定だけ引き継いだ、「ライミ自身による『死霊のはらわた』のリメイク」と語られる場合がありますが、一応、正式な続編としても機能しています。冒頭の「一日目の出来事」をカットすると、前作のラストシーンから、“主人公のアッシュが吹っ飛ぶところ”につながるんです。まあ、ちょっとした行き違いや矛盾点は生じてしまうのですが、とりあえず成立しますよね。
 私、以前、勝手にこの二本を編集して、2時間半を超える大作に仕立てちゃったりしてましたが、最近、『3』のDVDに収録されている音声解説を聞いてたら、ライミ監督自身が「この3本はつなげれば一本の映画になる」と言っていたので、きちんと裏が取れました。
 前作を見ている人なら「続編」として楽しめて、前作を見ていない人でも「新作」として楽しめる。ライミの細やかな心配りには関心させられます(^_^)。

 そういう成り立ちのせいでもありますが、本作は物語の導入部は駆け足で済ませて、あっと言う間に展開部に突入してしまいます。いきなり主人公の恋人が怪物化して、いきなりそれを殺しちゃって・・・。普通こういうのって、中盤から終盤にかけての展開でしょ。
 趣もヘッタクレもない語り口ではありますが、スプラッタームービーが一世を風靡した80年代も中頃を過ぎて、既に「ホラー」というジャンルが過渡期を迎えていた中にあっては、こういう単刀直入さは、寧ろ歓迎されて然るべきもの。「御約束」のシチュエーションを説明するためにダラダラと時間を浪費されては、ストレスが溜まってしまいますもんね。
 サム・ライミは最初っからスロットル全開! おかげで全編がクライマックスとも言えるようなラディカルな映画が出来上がりました。

 カメラはやたらと動き回って、突っ走る主人公を執拗に追う! 車で逃げてもグングンと追い縋る! 小屋の中に逃げてもドアをぶち破りながら追いかける! こんなにアグレッシブなカメラは他に見た事がありません。
 前作の終盤で見せたような悪ノリも、早々に全開状態。鉄砲で壁を撃てば噴水の如くに血が噴き出し、鹿の剥製が笑えば電気スタンドも笑う。電気スタンドが笑えば戸棚も笑う。終いにゃあ主人公も笑い出す。「ポルターガイスト」もライミの手にかかればすっかりギャグですな。でも、その高笑いはだんだんと絶望の込もった怒号に変わっていって、再び「恐怖の地平」に戻ってくるんです。こういう力技は見応えがありますね。感情も過多なら、演出も過多。この映画には映画小僧たちを夢中にさせるものがいっぱい詰まっています。

<Evil Dead Vs. Bruce Campbell>
 ラディカルと言えば、主人公のアッシュを演じるブルース・キャンベルも相当にぶっ飛んでます。御世辞にも演技が上手いとは言えないのですが、その前のめりになったガムシャラさには脱帽です。「自分の右手と格闘する」なんていう取り留めのないシチュエーションを、ここまで気合い入れて演じられる役者は彼をおいて他にいないでしょう(笑)。
 ブルースの一人芝居だけで序盤の30分を引っ張ってしまいます。まるでブルースのワンマンショー。今宵ひとときをブルースと共に・・・
楽しい夜になりまっせ

 彼の顔って、彫りも深くてそれなりにカッコいいのに、作りが極端過ぎるせいか、笑いを誘ってしまうんですよね。アメコミキャラ並に突き出たアゴがチャームポイント(笑)。目玉をギョロギョロさせて、オーバー過ぎる顔面アクションを炸裂させていますが、コミカルタッチの本作においては、寧ろそれが正解です。彼がなまじっか演技派だったりしたら、このオカシさは出せなかったでしょうね。『死霊のはらわた』あっての「ブルース・キャンベル」ですが、「ブルース・キャンベル」あっての『死霊のはらわた』でもあるのです。

<「Groovy!」>
 ライミとブルース、二人の個性が相乗し合って、この映画はどんどんと取り返しのつかない方向に進んでいってしまいます。前作『死霊のはらわた』から引き続いて、本作もとりあえずはホラー映画としての体裁を保っているのですが、終盤に至って、それを完全に放棄してしまうのです。「コミカル・ホラー」と呼ばれる類のものから、完全に「コミック」の方へと移行してしまうんです。
 死霊への反撃を決意して武装するアッシュ。背中にしょったホルスターに銃身を切り詰めたショットガンを収め、失った右手の代わりにチェーンソーを装着したその出で立ちは、まんまアメコミヒーロー。ブルースはヒーロー然とした決めゼリフまで披露してくれます。
「はらわた通信」@
これは「スポーン」で一世を風靡したマクファーレントイズから発売されたフィギュア。
めっちゃカッコいいですよ。ファン必須アイテム!
 ここに来て、サム・ライミの狙いがなんだったのか分かるんですよね。低予算映画の制約から、「ホラー」の話法に仮託してはいましたが、彼がホントに撮りたかったのは「ヒーロー映画」なの。この『死霊のはらわたII』は、『ダークマン(1990年米)』、そして『スパイダーマン(2002年米)』へと連なっていく、「ヒーローの誕生」を描いた物語だったのです。

 でも、このアッシュってキャラはクセモノで、取り立てて強くもない上に、臆病者で根性も据わってないので、ちょっと脅かされただけでもギャーギャー言い出す始末。ほとんどヒーロー失格です。無駄にカッコつけてるところが余計に哀愁を誘います・・・
 そんな彼が持っているただ一つの“特殊能力”、それは・・・!? 火事場の馬鹿力です(^^;。人知を超えた力を持った死霊たちと対峙しながらも、アッシュはその場の勢いで、どうにかこうにか乗り切ってしまうんです。どこか浮世離れした、マンガじみた個性を持ったブルースだからこそ成り立つキャラクターですね。
 突き出たアゴはヒーローの証。伊達に突き出てはいません(笑)。もうブルースがこういう顔をしていた時点で、『死霊のはらわた』がヒーロー映画に変遷していく事は運命付けられていたのでしょう。

 こういう軽〜いノリは、真面目なホラー映画を期待していたファンをガッカリさせたようですが、それ以上に、シャレの通じる映画ファンを熱狂させました。こういうのこそ“節操を失った80年代映画”の醍醐味ですよね。
 日本では、総じてこの『U』は『I』に比べて低く評価されがちですが、日本人はちょっと真面目過ぎるんですって。こんな血飛沫ジョバジョバの映画を真面目に見ようという方が間違ってます(←勝手に断言)。現にアメリカでは、『II』の方が人気あるんですよ。みんなワーワー歓声を上げながら楽しんでます。いいなあ、ああいう雰囲気・・・
「はらわた通信」A
海外ではこんな「バイオハザード」ライクなアドベンチャーゲームまで発売されてたんです。
声の出演はもちろんブルース・キャンベル本人!
ストーリーは映画の後日談で、
アッシュが新しい恋人を連れて、またあの山小屋を訪れたら、懐かしの“アイツ”がまだ生きていて・・・、というお話。
お前アホか! あんなヤバい所にまた行くなよ! それも恋人まで連れて・・・(^^;
「バイオ」に比べりゃ薄っぺらな事この上ないけど、ファンならそこそこ楽しめる事、請け合いです。
DC版やPC版もありますので、興味のある方はどうぞ。
こっちはプレステ2用のゲーム。(Xbox版も有り)
やった事がないので詳細は分かりませんが、
御馴染みの決めゼリフをかましながらゾンビの大群を迎え撃つバリバリのアクションゲームみたいです。

<「Swallow This!」>
 「アルゴ探検隊」の時代に逆戻りしたようなストップモーション・アニメのモンスターと戦うブルース! 唸るチェーンソー! 首を切断する瞬間のスローモーションもキマっているのですが、切った後のチェーンソーを振り抜く動作を捉えたスローモーションもケレン味たっぷり! 決めゼリフを言いながら怪物に止めを刺すブルースに、観客は拍手喝采です。
 でも、その後、死霊たちによる怒涛の反撃が!! 死霊に取り憑かれた大木が山小屋をガタンゴトン!(← なんだか怪獣映画みたいでオモロイですな) そして遂に死霊の大ボス、あの主観視点で迫っていたカメラの張本人さんが御登場と相成るのです!!
 前作から、“見えない”事で存在感を示していた大ボスさんですが、実際出てきてみても結構サマになってますよ。って言うか、タイミングがドンピシャなの。音楽も盛り上がりまくり! びっくらこいたアッシュは髪の毛が部分的に白髪になってしまいます。(←ホント芸が細かい)

 そんでもって事態が収拾つかなくなった挙句、アッシュは時空の亀裂に吸い込まれていって、シュールなトリップ映像が展開された後、映画はムチャクチャなエピローグ(いや、これはプロローグなのか?)を迎えます。B級映画の強引な力技はサイコーですね♪
 余談ですが、ドキュメンタリー番組に定評のあるディスカバリー・チャンネルで“宇宙もの”の番組を見ていたら、いきなり見覚えのある映像が!? なんと、ブラックホールを解説する場面で、イメージ映像として前述した「異次元に吸い込まれたブルース・キャンベル」の映像が引用されていたんです(笑)。至って真面目な番組でですよ。それくらい『死霊のはらわたII』は欧米文化の中に浸透しているって事なんですね(←ホントかよ?(^^; )。


 結構な残酷描写が炸裂する前作『死霊のはらわた』を見て、尻込みしちゃってる人もあるかと思いますが、そんな心配は御無用。鮮血さえ飛び散れど、直接的な描写は極力回避されています。
失われた解剖模型のリハーサル
スチルなどで有名なこの“頭半分ゾンビ”も検閲対象になってしまったみたい。
本編ではシルエットのみでの登場です。勿体無いですね・・・
こんな攻防も本編中では見られません。
こういう一連の削除シーンが復元された「完全版」みたいなものが
いつの日か陽の目を見る事は無いんですかねー?
今まで無かった事を思うと、これからも無いんでしょうね、残念ながら・・・(^^;
 ライミは本作をイッパシのエンターテイメントとして大々的に売り出したかったのでしょう。レイティングに配慮した結果、今ひとつ突き抜けられずに消化不良になってしまった感のあるシーンもあるのですが、そんなの微々たる問題です。楽しいギミックが満載された『死霊のはらわたII』は、ライミ流コミック映画の一つの頂点を示しています。こりゃあ『スパイダーマン』より面白いかも? みなさん、頭を空っぽにして、少年の心で楽しんで下さい(^o^)
映画の印象
/
降水確率0%
「気持ち良く晴れ渡った御機嫌な一日になるでしょう」
勝手に総評
1 5 10
私が愛している度
私が評価している度
一般人気度
マニア人気度
オススメ度
ソフト
 J.V.D.から出ていたDVDは廃盤になって、2004年にユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンから新たに発売されました。新規マスターの使用で、画質、音質共に改善を見ましたが、一切の特典が収録されていない点は同様の上、PALフランス盤を元にしているらしく、早回しになって上映時間は81分です。
 う〜む、まあ「1枚買って1枚もらえる!」とかいうキャンペーンの商品に入っているので、実価格2000円ぐらいで買えるので良しとしましょうか。

<Anchor Bay盤>
 コアなファンには米アンカーベイのDVDがオススメです。ライミやブルースによる音声解説の他、もちろんオリジナル劇場予告編も収録されています。日本語字幕はもちろん、英語字幕も収録されていませんが、ジャンルものなので、内容の理解にそれほど支障はないでしょう。
Anchor Bay盤
 この北米盤は、ワイドスクリーンサイズの他に、フルフレームの本編が収録されている点も大きいですね。国内版は旧、新盤共にマスキング処理で狭くなったワイドスクリーンサイズ版のみですので・・・
 『はらわたII』の世界を余すところなく味わいたいのでしたら、迷わずアンカーベイ盤です!
フルフレーム ワイドスクリーン
かなり狭くなってるでしょ?
 でも、この北米盤のフルフレームバージョンが、完全に画面の隅から隅まで映しているかと言うとそうでもないんですよね。何気に古いレンタルビデオの映像が一番広いです。レンタルビデオでは、効果音が鳴る前から女の人の背中に短剣が刺さっているのとか、時空の亀裂に吸い込まれていく時のブルースを吊るしているクレーンとかが見えたりするんです(笑)。明らかなNGカットだったので、DVD化する時にトリミングしたのかも知れません。まあ、どうでもいいような細かい事ですが、一応御報告まで(^^;

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