| 燃える昆虫軍団 | |
| Bug | 1975年 アメリカ |
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| アメリカのとある田舎町を大地震が襲った。被害は甚大で死傷者も多数出たが、惨劇はそれだけで終わらなかった。地面に大きく開いた亀裂から、恐るべき昆虫軍団が出現したのだ! 太古の生物と思しきこの虫たちは炭素を食料としており、発火能力を用いて木や家、そして人間をも燃やし尽くそうとしていた!! 事態を察知した生物学の博士は危機を訴えたが、誰も彼の話を信じようとしない。しかし、博士の心配は杞憂に終わる。地底深くから上ってきた虫たちは気圧の変化に対応できず、自滅の道を歩んでいたのだ。 発火昆虫の最後の一匹を捕獲した博士は、それを圧力タンクの中で存命させると、研究に没頭する。ゴキブリと交配させ、新種の昆虫を生み出すことにも成功した。しかし、博士は、この新種の恐るべき能力に愕然とする。彼らは親から発火能力を受け継いだだけでなく、高度な知能も手に入れたようなのだ。脅威を感じて根絶しようとした時は既に手遅れだった。飼育ケースから逃げ出した虫たちは、壁に“人文字”ならぬ“虫文字”を描く。「WE LIVE」!!! 今や人類はこの虫たちを止めるすべを持たないのであった・・・ |
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| 発火能力を有した昆虫軍団が登場する、異色のパニック・ムービー。その斬新さから、一部好事家の間で根強く支持されている作品です。 監督は、「刑事コロンボ」などのテレビ作品で注目され、後には『ジョーズ2』も手掛けることになるフランス人監督ジュノー・シュウォーク(仏名:ヤノット・シュワルツ)。製作・脚本は「B級ホラーの帝王」と称されるウィリアム・キャッスルです。 ウィリアム・キャッスルと言うと、映画館の中をお化けの扮装をした人を徘徊させたり、座席に電流を流すなどといった斬新(?)なギミックを取り入れた興行を行ったことで知られるキワモノ的な人物ですが、名作『ローズマリーの赤ちゃん』の製作も手掛けており、映画製作者としての評価は意外と高いです。本作でジュノー・シュウォークを起用したことも、シュウォークが後にカルトの名作『ある日どこかで』を撮ったことを考えると、なかなかの先見の明だったと言えるでしょう。遺作となった本作では自ら脚本も手掛けており、その力の入れようがうかがえます。ちなみに『グレムリン』のジョー・ダンテが監督した、ノスタルジー溢れる佳作『マチネー』に登場する映画製作者は、このキャッスルがモデルです。 映像感覚に優れたシュウォークの才能が生かされてか、この『燃える昆虫軍団』は、低予算のB級作品とは思えないほど洗練された映像を見せてくれます。特にオープニングから地震発生までのクダリは秀逸です。 まず、何を写しているのか分からないようなロングショット。カメラがゆっくりと上昇していくと、教会に乗りつける車が見えます。この長回し。引き込まれますね。そして教会の内部、神父の説教中に、カメラがゆっくりと移動していって天井に吊るされたシャンデリアを捉えると、そのシャンデリアがカタカタと小刻みに揺れ出し、間を空けて堰を切ったように大崩壊が始まるのです。クレーンショットの完成度も高く、なかなか見応えがありますよ。 謎の昆虫軍団の出現から、その生態の解明までの流れもセオリーに忠実で、モンスター、パニック映画としての風格も充分です。この分だとなかなかの秀作なんじゃないかと、期待が高まります。・・・でも、映画はだんだんとおかしな方向に向かって行っちゃうんですね。 地底深くから上って来た昆虫軍団は気圧の変化に対応できなくて、これと言った攻防もしない内に勝手に自滅。映画の後半は、この昆虫軍団に奥さんを焼き殺された生物学の博士が、最後に残った一匹を圧力タンクの中で生かしながら、研究に没頭するシーンが延々と続くのです。わざと圧力をキツくして、「どうだ〜苦しいだろ〜!」って、なんなんじゃコレは? キチ○イ博士が大暴走。なにを思ったかゴキブリと交配させて新種を誕生させちゃったりして・・・。たぶん、やり場のない怒りと湧き起こる研究意欲から、「ただでは死なせないぞ」と考えたのでしょうが・・・ ゴキブリと交配させたら高度な知能を持ってしまったというのも唐突で、虫たちが“人文字”ならぬ“虫文字”を描くという前代未聞のシーンと合わせて、観客の失笑を大いに買っています。話があんまり飛躍していくものだから、実は「全てはキチ○イ博士の妄想だった」という夢オチがつくんじゃないかと疑ってしまいましたよ。かなり支離滅裂です。映像はなかなかイイ線行ってるし、発火昆虫というアイデアも悪くはなかっただけに、これはちょっと残念ですね。 でも・・・、でもね、この映画が忘れ難い印象を残すのは、やっぱりこの奇抜さがあってこそなんですよね。「カルト映画」とまではいかないけど、なかなかビザールな味わい。闇の中、真っ赤に輝く虫たちが地の底から湧き上がって来る様子なんて、なかなか幻想的ではありませんか。それはさながら地獄の業火のよう・・・、もはや人類は焼き尽くされるのを待つばかりなのか!? いやー、虚無感たっぷりの70年代テイスト♪ その割には、悲劇的になることを避けたかったのか、ラストでは強引に事態の収拾を図っていて、なんだか釈然としないのですが、まあそれもなかなか冒険はできない商業映画人の悲しい性ということでご了承下さい。 野心が空回りした典型的な失敗作という感はありますが、少年を夢中にさせるようなSFマインドに溢れた『燃える昆虫軍団』は、愛すべき小品です。70年代映画らしい殺伐とした雰囲気も楽しめるので、見ておいて損はないですよ。ジャンル映画ファンなら必修です。ダメ映画の力いっぱいの主張を見て下さい。「WE LIVE」!!!
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| 2006年4月現在、国内ではDVDは発売されていません。昔ビデオが出ていたそうなので、レンタル店によっては置いているところがあるかも知れません。私はCSのホラー専門チャンネル「HORROR TV」で見ました。海外ではDVD化されているので、どうしてもという方はそちらの購入も検討されて下さい。 ちなみに「昆虫が知能を持つ」という同じ様なネタの映画として、『フェイズW』という作品もあります。こちらはヒッチコック作品の斬新なタイトルデザインで知られるソウル・バスが監督。73年の公開なので『燃える昆虫軍団』はこの映画をパクったのかな? 残念ながら未見です。DVD化、または放送を期待してます。 |
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| (2006/4/20) |
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