| ブラス! | |
| Brassed Off | 1996年 イギリス |
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| イギリス、ヨークシャー地方、炭鉱閉鎖の危機に揺れるグリムリーの町に、炭鉱労働者だけで結成された伝統あるブラスバンド、「グリムリー・コリアリー・バンド」があった。 バンドのリーダーを務めるダニーは音楽に人生を捧げており、コンクール優勝に向けて仲間たちを鼓舞するが、失業の危機に直面している団員たちは音楽どころではない。 そんな折、久々に帰郷してきた若いグロリアがバンドに加わったことで、スケベの中年男たちは俄然やる気を出す。グロリアと幼馴馴染みのアンディも、若き日の恋を再燃させていた。しかし、彼女は経営者側に雇われて、炭鉱の将来性の調査していたのだ。 才能溢れるタラの加入でレベルが上がったグリムリー・コリアリー・バンドは地方大会で優勝するも、炭鉱は閉鎖する事が決定してしまう。リーダーのダニーが長い炭鉱労働から来た職業病に倒れたのに続き、タラが経営者側で仕事をしていた事も露見し、全国大会を前にして、バンドは崩壊の危機に直面する。さてさて、グリムリー・コリアリー・バンドの、そして炭鉱労働者たちの運命やいかに!? |
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| 日本でもロングランヒットを記録したイギリス映画の好編。実在のブラスバンドに材を取った群像劇で、監督は『リトル・ヴォイス』のマーク・ハーマン。バンドのリーダー、ダニー役に『ユージュアル・サスペクツ』、『ロスト・ワールド ジュラシックパーク』のピート・ポスルスウェイト、青年鉱夫アンディ役に新スター・ウォーズのオビ・ワンで御馴染みのユアン・マクレガーと、キャストも何気に豪華です。 経営者側に雇われたグロリアを演じるタラ・フィッツジェラルドも、華は無いんだけど、いかにも「田舎の美人さん」という感じで好感度高し。(←嫌味じゃないよ) 失業、家庭の危機、そして自殺まで飛び出すという結構深刻なお話なのですが、ペーソスをユーモアで料理して、最後まで爽やかに見せ切ります。まあ、いわゆる人情喜劇というヤツですね。でも、正直言うと、少々クドいところもあるのですが・・・ 追い詰められた男がピエロのバイト帰りに自殺を図って、ピエロの格好のまま病院に担ぎ込まれ、そこで父親と涙涙の和解を果たす場面なんて、やり過ぎ度120%オーバー。無様な男の感動場面に、「ほほえみとひとつぶの涙を」とでも言いたいところなのでしょうが、ここまで節操が無いとゲンナリさせられます。 他にも、グロリアが雇い主のところへ怒鳴り込んで行ったりとか、コンクールでの演奏の後、ダニーが観衆に向けて労働者の苦境を訴える演説をぶったりとか、クサい場面が満載です。 病に倒れたダニーを元気付けるために、バンドメンバーたちが病室の窓の下で「ダニーボーイ」を演奏するというのも、すっごいベタな展開。バンド解散のつもりで賭けのカタにトランペットを手放してしまっていたアンディが口笛で演奏していたりとか、ちょっと場面を作り過ぎなのよ。 貧しい労働者階級の生活を描くことで社会性のある映画をキドってはいますが、全てが感動を誘うための道具として用いられている感があります。「どうやって感動させるか?」って、それだけを考えて脚本を書いてたんでしょうね。 でも・・・、でもね、御馴染みの「ダニーボーイ」を聴いていると、ちょっとジンワリと来ちゃうんですわ。音楽の力は偉大です。ブラスバンドっていう設定が巧いんですよね。選曲されているのはみんな聴き古されたスタンダードナンバーばかりなのですが、素人バンドの演奏という免罪符のおかげで、なんのてらいも無しに聴かせられます。 やっぱり名曲は名曲です。ショスタコーヴィチだって「ウィリアム・テル序曲」が大好きだったんですよ。カメラの動きがちょっと過剰だったりしますが、演奏シーンの躍動感にはワクワクさせられます。 エルガーの「威風堂々」も素晴らしい。この曲って、テレビなどで流される時は、ゆったりした曲調の部分しか使われないじゃない。「タ〜タタタ、タ〜タ♪ タ〜タタタ、タ〜ン♪」っていうところ。適当に編曲して、この部分だけ繰り返してる場合もありますよね。でも、この映画ではコンクールでの演奏ということになっているので、きちんと通して聴かせてくれます。(←ま、1番だけですけどね) 勝手に断言しますが、この曲の良さって、エモーショナルでゆったりとした旋律と交互して、ユーモラスで軽快なテーマが登場するところ。曲調がガラリと変わるんです。たぶん、クラシックに興味がない人は、そこだけ聴いても「威風堂々」だと気付かないんじゃないですか? そのくらい元気なの。 どっちがどっちの引き立て役ということはなくて、どちらにも同じだけの比重がかけられています。言うまでもなく、これは登場人物たちの人生と重ね合わされているんですよ。苦しい時もあれば、楽しい時もある。「人生は悲喜こもごも」ってことです。 歓喜の後の静寂・・・、コンクールを終えて帰路に着いたバンドメンバーたちは、ロンドン名物“二階建てバス”の上で、おごそかに「威風堂々」を演奏しています。炭鉱の閉鎖と失業者の増加・・・、イギリスの現状を伝える字幕が挿入され、ピート・ポスルスウェイトの沈んだ表情で映画は幕を迎えます。 でも、この「威風堂々」は、最後の最後に元気に鳴り響いてから終わる曲なんです。これは制作者たちが託した肯定的なメッセージですね。音楽は人生に希望を与えてくれます。
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| DVDはアミューズから発売されました。特典としてオリジナル劇場予告編が収録されています。2005年7月現在は廃盤中ですが、レンタル店にも比較的よく置いてあるので、探せば見付かると思いますよ。 | |
(2003/11/05)
(修正2005/07/18)
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