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Compilations&Others  Column


                    

Self Portrait

Self Portrait

【Released:1970.6.8】

ディランにとって11枚目にあたるこのアルバムは、まさにそのタイトルどおりディラン自身が描いた自画像がアルバム・ジャケットに使われていた。ダブル・アルバムに収録された24曲の盛りだくさんの歌は実にバラエティに富んでいる。このアルバムはそのほとんどが他人の作品を歌っているということで、ディランのアルバムの中では異色とされているが、それでもディラン自身の作品は14曲も収録されている。レコーディングは、1969年5月から1970年の3月にかけてナッシュビル、ロサンジェルス、ニューヨークで行われているが、クレジットされている参加ミュージシャンも相当な数である。このほか1969年8月にイギリスのワイト島でザ・バンドをバックにして行われたコンサートからのライブが4曲ほど含まれている。このアルバムはいまだにディラン・ファンの間では賛否両論の分かれる異色のものではあるが、スタンダード曲集として聴けば結構悪くないし、ディランの音楽的好みを垣間見れるようでもある。

1.All The Tired Horses

いきなり女声コーラスで始まるファースト・ナンバーはディラン自身の作品。短いコーラスを延々と繰り返すだけの奇妙な歌である。多分ディラン自身はギターだけでこのコーラスには加わっていないのだろう。これまでのディランのどの曲とも明らかに異なっていることは、バック・サウンドにストリングスが加わっていることだろう。

2.Albert #1

これもディラン自身の作品。さして意味のないラブ・ソングである。全体的にけだるさの感じられる演奏で、これに女声コーラスの気のないそぶりが輪をかけてしまっている。曲の締めくくり方もラフで、レコーディング前のウォーミング・アップのような曲。 

3.I Forgot More Than You'll Ever Know

ものすごいスタンダードな曲。これがディランかと思うような甘いボーカル。少々ぎこちないが、結構真剣に歌っているディランに好感が持てる。

4.Days Of 49

古いトラディショナル曲。曲そのものやバックの演奏はさておいて、ディランのボーカルは最初の方はまあまあだったのだが、途中からやや集中力を欠いてしまったようだ。

5.Early Morning Rain

これはゴードン・ライトフットの作品。曲自体の美しさもあるが、ディランの誠実な歌いぶりがこの曲をさらに盛り立てている。

6.In Serch Of Little Sadie

ディラン自身の作品。奇妙な変調を繰り返す歌だが、意外と劇的で楽しめる。

7.Let It Be Me

この曲はエヴァリー・ブラザースのヒット曲。ボーカリストとしてのディランの才能を感じさせる曲である。

8.Little Sadie

6曲目の<In Serch Of Little Sadie>と基本的には同一曲。こちらの方はややコミカルに仕上げている。

9.Woogie Boogie

ディランの自作でインストルメンタル曲。かなり異色な作品である。ディランのアルバムの中では初めてサキソフォンが使用された曲だろう。

10.Belle Isle

ディラン自身の作品。なんとも美しい曲である。こうした作品をさらりと書けるディランは、やはりメロディー・メーカーとしてたいしたものである。

11.Living The Blues

ディラン自身の作品。軽くてポップな曲。1969年5月に収録された「ジョニー・キャッシュ・ショー」でもこの曲が歌われた。

12.Like A Rolling Stone

ディランの代表作の一つ。ここに収録されているのは、1969年8月31日にイギリスのワイト島で行われたコンサートでのライブ録音。バックは、ザ・バンドが務めている。オリジナルは1965年の《Highway 61 Revisited》に収録されている。 この時期、ディランはほとんどライブ活動を行っていなかったとはいえ、演奏は最悪でまったくやる気の感じられないボーカルである。しかもオリジナルでは4番まであるはずの歌詞がここではカットされてしまっている。あえてこのライブを収録した意図はよく分からないが、とりあえずワイト島でのライブ音源を正式に聴けるのはこのアルバムだけなのである。

13.Copper Kettle(The Pale Moonlight)

この曲はテキサス民謡らしい。演奏自体はよくまとまっていて、ディランのボーカルも感動的である。

14.Gotta Travel On

この曲のルーツはよく分からないが、演奏もディランのボーカルもそれなりにまとまっている。

15.Blue Moon

ディランがこうしたスタンダードを歌うことには驚いたが、聴く方もやや気恥ずかしさを覚える。異色の選曲。

16.The Boxer

サイモン&ガーファンクルの有名な曲。この選曲も意外な感じがする。面白いのは、ディランが1人でデュエットをしていることだ。澄んだ声のディランとしわがれ声のディランはまるで別人である。

17.The Mighty Quinn(Quinn,The Eskimo)

ディラン自身の作品で、ワイト島でのライブ録音。この曲はモーターサイクル事故による隠遁生活中の1967年にザ・バンドと行われた有名なベースメント・セッションでも演奏されている曲で、マンフレッド・マンのカバーで知られた曲である。ここでのテイクは12曲目に比べればはるかに出来がよく、バンドもディランも生き生きと演奏している感じがする。

18.Take Me As I Am(Or Let Me Go)

7曲目と同様に、この曲はエヴァリー・ブラザースのヒット曲である。こうした曲を取り上げているのはディランの趣味?

19.Take A Message To Mary

これもエヴァリー・ブラザースのヒット曲。ディランは本当にこういった曲が好きなんだと思う。。

20.It Hurts To Me

ディラン自身の作品。基本的にはブルースだが、やや女々しすぎるフレーズはまったくディランらしさがない。

21.Minstrel Boy

ディラン自身の作品。ワイト島でのライブ録音。この曲はこのコンサートで初めて演奏された曲だと思うが、まるで古いトラディショナル曲のようでもあり、ディランの奥の深さが感じられる。

22.She Belongs To Me

ディラン自身の作品で、前曲と同様にワイト島でのライブ録音。オリジナルは1965年の《Bringing It All Back Home》に収録されている。ここでのテイクは、オリジナルの持っていた繊細なイメージをぶち壊すだけの代物で、個人的には好きではない。

21.Wigwam

ディラン自身の作品でインストルメンタル曲。ディランは「ラララ・・・」とだけ歌っている。なんともいえず感動をそそる曲である。

22.Alberta #2

ディラン自身の作品。2曲目のリテイク。こちらの方がはるかに出来がいい。

Nashville Skyline New Morning