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Compilations&Others  Column


                    

Saved

Saved

【Released:1980.6.20】

ディラン25枚目のアルバム。しかも80年代最初のアルバムとなる本作は、前作と同じくジェリー・ウェクスラーとバリー・ベケットによってプロデュースされた。アルバム・ジャケットも前作に引き続きディランの姿はなく、なんとなくアルバムのテーマを暗示させるような不吉なイラストが描かれている。前作がサウンド的にプロのレコードとするなら、今回は内容的に趣味のレコードといった感じ。全体を通して眺めると、詩の内容は宗教的で、この点では一貫したテーマが見られるが、サウンド的にはこれといった特徴がなく、個人的な感想としては聴くこと自体にこれまで感じたことのない苦痛を覚えるアルバムである。
アルバムからテーマはそれるが、1980年といえば、ディランがはじめてのグラミー賞を受賞した年。それも最優秀ロック・ボーカル。なぜ今ごろという気がしないでもなかったが、テレビ放映されたグラミー授賞式でディランは妙なタキシード姿で登場し、「ガッタ・サーヴ・サムバディ」を歌った。バックの演奏はともかく、ディランのボーカルはよれよれだったが、会場に詰め掛けた聴衆のひときわ大きな拍手とスタンディング・オベーションで迎えられていた。

1.A Satisfiled Mind

1曲目はいきなりエレキ・ギターを絡めながらスタートする。曲のルーツはよく知らないがディランのオリジナルではなく、R.HayesとJ.Rhodesの作とクレジットされている。女性コーラスとの唸り合いがなんとなく恥ずかしい。

2.Saved

2曲目もディラン単独の作品ではなく、バックでベースを弾いているティム・ドラモンドとの共作となっている。かなり騒々しいブルース曲だが、ディランらしいインパクトがない。タイトルどおり詩の内容は神をテーマとしたもので、ディランは何かに救われて感謝している。

3.Covenaint Woman

ゆったりとしたイントロで始まる。詩の内容についてはよく理解できないが、ディランのボーカルはいい味を出している。じっくりとその声だけを味わいたい曲である。

4.What Can I Do For You?

ありきたりなイントロ。期待はずれかと思ったら結構いい曲だった。ボーカルも真剣に聴きたいが、久しぶりにディランのハーモニカが聴けてうれしかった。ただしエフェクトが聴きすぎて、ハーモニカの音色ではない。

5.Solid Rock

どこかで聴いたことのあるようなチープなイントロ。言い過ぎかもしれないが、何もディランがこんな曲を歌わなくてもいいと思うような駄曲。これといった特徴も何もなく、聴いているのがつらい。早く終わってほしい曲。

6.Pressing On

ピアノで始まる。いきなり同じコーラスを3回も続けられていささか困惑してしまう。何ともコメントのしようがない曲。本来は関係ないはずなのだが、詩の内容がいけないのか?

7.In The Garden

もろにディラン流のゴスペル・ソング。壮大なアレンジが施されている。曲は捉えどころがなく、幾度も変調を重ねるような感じ。ここまでくると後はディランのエゴにつきあうしかない。

8.Saving Grace

個人的にはこのアルバムの中で最も好きな曲。とりとめのない曲だが、ディランのボーカルがすばらしい。そして途中で聴けるリード・ギターはたぶんディランが弾いているのだろう。このフレーズを聴くだけでこの曲を聴く価値がありそうだ。

9.Are You Ready

かなり泥臭いブルース。またしても神がかりの内容の詩。それを抜きにしても聴くに堪えない。

執筆:2000.5.7


Slow Train Coming Shot Of Love