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Compilations&Others  Column


                    

Planet Waves

Planet Waves

【Released:1974.1.17】

ディラン16枚目のアルバムは、60年代後半の激動の時期からバック・バンドとして活動をともにしたザ・バンドをフル・バックにしたはじめての公式アルバムであった。ザ・バンド自身のアルバムと聴き比べると、特段の技巧を凝らした音作りはしていないが、さすがに息はぴったりと合っている。渋くて個性的なバンドの面々も、さすがにディラン独特の個性には従わざるを得ないといったところか。収録された曲は、ディランとしてはポップな感じのものが多く、ディランの声も活き活きとしていて手応えがある。アルバム・カバーは、ディラン自身が書いた絵で、さらにうれしいことにライナー・ノートはディランの自筆によるものであった。8年ぶりの全米ツアーとも重なり、発売と同時にアルバム・チャートを上昇し、ついにはディラン初の全米No.1アルバムに輝いた。

1.On A Night Like This

軽快なアコースティック・ギターでいきなり始まるこの曲は、ディランの調子の良さを予感させるかのようだ。他愛のない曲ではあるが、ディランとバンドが演奏しているだけで楽しめてしまうのは不思議だ。ディランのボーカルはやや独特の震えるような節回し、ハーモニカはカーニバルのようなにぎやかさだ。

2.Going,Going,Gone

2曲目は打って変わって、重苦しいアコースティック・ギターのイントロで始まる。ロビー・ロバートソンの咽ぶようなリード・ギターがたまらなく良い。かっこいいの一言に尽きる名曲。

3.Tough Mama

飛び跳ねるようなシンコペーションの効いた軽快なロックン・ロール。自由自在といった感じのディランのボーカルもいいし、ハーモニカも最高だ。いかにもリボン・ヘルムらしいドラムも最高にいい。

4.Hazel

ディランらしくないが、忘れがたい美しい曲。どうしてディランはこんな名曲を書けるのだろう。jディラン・ファンでなくても受け入れられそうな曲である。

5.Something There Is About You

曲自体はやや単調な感じがする。だが、ディランの粘りつくようなボーカルはかなり独創的。

6.Forever Young

ディランの代表曲のひとつに数えられる名曲。アルバムにはこのスロー・バージョンと次のファースト・バージョンの2曲が収められている。こちらのスロー・バージョンは祈るような調子で歌っているが、相変わらず独創的な節回しがうれしい。

7.Forever Young

前曲と打って変わって、軽快なロック・ナンバーに仕上げられている。詩は確かに同じだが、曲自体はまったく別物のようである。やや舌足らずな歌い方が効果的。久々にディランらしいハーモニカが聴ける。

8.Dirge

アコースティック・ギターとピアノだけのバック。たぶんピアノはディランが弾いているのだろう。私にとって、この曲でのディランのボーカルは最高の部類に入る。何度聴いても震えが来るほどすばらしい。

9.You Angel You

良くできた曲で悪くはないが、このアルバムの中では取るに足らない曲という印象を受けてしまう。

10.Never Say Goodbye

これはいい。単純な曲だが、変調を繰り返しながら進んでいく。ディランのボーカルも自由自在といった感じ。詩はシンプルだが実に美しい。

11.Wedding Song

アコースティック・ギター1本で歌われている。かなりラフなレコーディングで、ギターにピックか何かがカチカチあたる音がしていたり、コードを間違ったりしているがそのまま収録されている。それだけでこの曲の価値があるような気がする。

執筆:1999.2.11

Dylan Before The Flood