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Compilations&Others  Column


                    

New Morning

New Morning

【Released:1970.10.21】

物議をかもした前作からわずか4ヶ月という短いサイクルで発表されたディラン12枚目のアルバム。大方の評論家は手放しでこのアルバムを賞賛したが、内容的にはこの後に続く混迷の時代を予感させるかのように混沌とした感じがする。レコーディング時に風邪を引いていたという説もあるが、ディランのボーカルは鼻にかかって妙にかすれており、やや聴き取りずらい。収録された12曲はそれぞれタイプの違うものが入り混じっており、なかにはディランらしからぬ異色な曲もあるが、救いといえばピアニストしてのディランを堪能できることだどろか。

1.If Not For You

軽快に始まるファースト・ナンバーはディラン自身よりもむしろオリビア・ニュートン・ジョンのカバーで有名な曲。また、ジョージ・ハリスンもビートルズ解散後、最初のソロ・アルバムでカバーしている。また、公式には発表されていないがディランとデュエットしているセッション・テープがブートレッグで出回っている(《Bootleg Series Volumes 1-3》にはハリスンがリード・ギターのみで参加しているセッションが収録された)。ディランの曲をカバーするのは、ある意味でディランと同等の感性を持ち合わせていないシンガーにとっては暴挙ともいえるが、ここに掲げた両者はいずれもオリジナルのディランとは真正面からぶつからないポップな味付けで無難にカバーしているといえよう。

2.Day Of The Locusts

ディランのピアノが聴ける曲。曲そのものは他愛なく、あくまでポップな仕上がりになっている。なぜかこの年、ディランはプリンストン大学から名誉音楽博士号を授与されており、詩はその日の事をイメージして書かれたと推測されている。 

3.Time Passes Slowly

詩はともかく、曲はかっこいい。ディランのピアノも決まっている。言い過ぎかもしれないが、もう少し丁寧にレコーディングすれば完璧な感じがする曲である。

4.Went To See The Gypsy

これまたディランのピアノが聴ける曲。結構ディランらしい粘っこさが感じられる曲。詩の内容はよく理解できないが、最後のフレーズにディランの故郷ミネソタが登場するのは理解できた。

5.Winterlude

ここでもディランはピアノを弾いている。軽やかなワルツである。この曲はダグ・ザームがカバーしており、ディラン自身もピアノとコーラスでアルバムに参加している。

6.If Dogs Run Free

ディランにとってはかなり異色な作品。どうしてこんな曲を作る気になったのかはわからないが、ジャジーな曲である。アルバムのクレジットを見る限りでは、アコースティック・ギターを担当しているのはディランただ一人なのであるから、このリード・ギター風のアコースティック・ギターはディランが演奏しているのだろう。もしそうだとしたら、やっぱりディランはギターの名手ということだろう。

7.New Morning

ディランの軽快なアコースティック・ギターで始まるこの曲は、アルバム・タイトルになった曲。演奏は無駄がなく洗練されている。この曲に限ってはディランのかすれたボーカルが大いに曲を盛り立てているといえる。何度聴いても爽快なナンバーである。

8.Sign On The Window

この曲もディランがピアノを弾いている。全体的にポップな仕上がりである。めずらしく心の底から穏やかなディランの様子が感じられる。

9.One More Weekend

演奏自体はやや重厚すぎた感じもするが、曲の作りはよくできたヒット・ナンバーといったところ。なんとなくとってつけたような曲。

10.The Man In Me

この曲もディランがピアノを弾いている。けだるそうに「ラララ・・・」と始まる。単純なラブ・ソングなのか?それとも何か深い意味が込められているのか?いずれにしても曲自体はポップな仕上がり。

11.Three Angels

この曲もアルバムの中では異色な曲。一応メロディーはついているが、ほとんど語りに近い。

12.Father Of The Night

アルバム最後のこの曲でもディランのピアノが聴ける。詩の内容は神をテーマにしているのだろうか?

【執筆:1998.5.31】


Self Portrait Bob Dylan's Greatest Hits Vol.2