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The Bootleg Series Vol.5

Live 1975

THE ROLLING THUNDER REVUE

Live 1975

【Released:2002.11.26】

1975年の秋(第1期)と翌76年の春(第2期)に行われたローリング・サンダー・レヴュー・ツアー。このアルバムは75年の第1期ツアーからのベスト・テイクを集めたライブ録音である。ローリング・サンダー・レビュー・ツアーは、ディランの長いキャリアの中でもきわめて特異なツアーと言われており、特に第1期と第2期とでは選曲の構成もアレンジも大きく異なっているが、これまで公式な形でのまとまった音源としては第2期のツアーからアルバム《Hard Rain(激しい雨)》が発表されているだけだ。
かねてより筆者は、第2期ツアーの完全バージョンが公式発表されるのを心待ちにしているが、今回は第1期の集大成ということで、少々残念ではある。
ローリング・サンダー・レヴュー第1期の音源は、これまでブートレッグ盤でもほぼ完全に網羅されており、すでに体験している世界ではあるが、やはり正式にクリアな録音で聴けるのはうれしい。
全体を通じて特徴的なのは、やはりディランのボーカル、この頃の声の質はいい。
なお、限定版にはDVDが付録でついており、映画《レナルド&クララ》から<Tangled Up In Blue>と<Isis>の2曲の演奏シーンが収録されている(<Isis>の映像は曲の途中からだが、別に音源だけの完全バージョンも含まれている)。

【Disc 1】
1.Tonight I'll Be Staying Here With You
(Forum de Montreal, Montreal, CAN; 12/4/75)

 オープニングは1969年のアルバム《Nashville Skyline》の収録曲。オリジナルは軽快なカントリー・ナンバーだったが、ここでは結構ハードなアレンジになっている。第1期ツアーも回数を重ねており、ディランの声はかなりガラガラになっている。基本的なメロディーは限りなくオリジナルに忠実と言える。

2.It Ain't Me, Babe
(Harvard Square Theatre, Cambridge, MA; 11/20/75)

 オリジナルは1964年のアルバム《Another Side Of Bob Dylan》に収録。大胆なアレンジが施されており、オリジナルの面影はあまりない。だけど、これはこれでいい。特にディランの独特のボーカルの間というか、緊張感がたまらない。ディランのハーモニカも最高。この曲は非売品のCD《Mr.D's Collection#3》に収録のものと同一のバージョンだと思われる。

3.A Hard Rain's A-Gonna Fall
(Forum de Montreal, Montreal, CAN; 12/4/75)

 オリジナルは1963年のアルバム《The Freewheelin' Bob Dylan》に収録。この曲も大胆なアレンジが加えられており、ここではアップ・テンポなロック・バージョンになっている。ディランのボーカルの味わい深さを思い浮かべると、個人的にはTVスペシャルの冒頭を飾った1976年5月23日のコロラド州フォートコリンズでのバージョンがベストだと思うが、このバージョンも緊張感が漂っていて捨てがたい。

4.The Lonsome Death Of Hattie Carroll
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 オリジナルは1964年のアルバム《The Times They Are A-Changin'》に収録。この曲もアップ・テンポでハードなアレンジとなっており、オリジナルのような重々しい悲壮感がないが、それがかえって効果的なような気もする。

5.Romance In Durango
(Harvard Square Theatre, Cambridge, MA; 11/20/75)

 オリジナルは1976年にリリースされたアルバム《Desire》に収録されているが、この時点ではまだリリース前。したがって、聴衆は初めてこの曲を聴いていることになる。ディランの曲紹介から始まるこのバージョンはアルバム《Biograh》に収録されたものとは異なる。劇的なアレンジだが、曲の途中から若干テンポが上がっている。

6.Isis
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 この曲もアルバム《Desire》に収録。付録DVDのバージョンはおそらく《Biograh》に収録されたもの同じで、激しいシャウトが聴かれるが、こちらのバージョンは若干ゆったりとしたアレンジになっている。

7.Mr. Tambourine Man
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (first show))

 オリジナルは1965年のアルバム《Bringing It All Back Home》に収録。ディランのギター&ハーモニカの弾き語り。いささか単調な感じもするが、実に丁寧に歌っている。

8.Simple Twist Of Fate
(Harvard Square Theatre, Cambridge, MA; 11/20/75)

 オリジナルは1975年の《Blood On The Tracks》に収録。この曲もディランのギター&ハーモニカの弾き語り。オリジナルとは違う味わいだが、ディランのボーカルには迫力がある。

9.Blowin' In The Wind
(Harvard Square Theatre, Cambridge, MA; 11/20/75)

 オリジナルは1963年のアルバム《The Freewheelin' Bob Dylan》に収録。久しぶりのジョーン・バエズとのデュエットだが、オーソドックスなアレンジで無難にこなしているといった感じ。

10.Mama, You Been On My Mind
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 1964年のスタジオ録音のアウト・テイクが、1985年に発表されたアルバム《Biograph》に収録されている。この曲もジョーン・バエズとのデュエットだが、バック・バンドが加わっている。かつては2人でよくハモッていただけに、さすがに息はぴったり合っている。

11.I Shall Be Released
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (first show))

 オリジナルは1971年のアルバム《Bob Dylan's Greatest Hits Vol.2》に収録。この曲もバエズとのデュエットでバック・バンドが加わっている。

【Disc 2】
1.It's All Over Now, Baby Blue
(Forum de Montreal, Montreal, CAN; 12/4/75)

 オリジナルは1965年のアルバム《Bringing It All Back Home》に収録。ディランのギター弾き語り。歌いぶりは丁寧だが、1966年のライヴのようなタメはない。

2.Love Minus Zero/No Limit
(Forum de Montreal, Montreal, CAN; 12/4/75)

 オリジナルは1965年のアルバム《Bringing It All Back Home》に収録。ディランのギター弾き語り。独特のアクセントで風変わりな歌い方をしている。

3.Tangled Up In Blue
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 オリジナルは1975年の《Blood On The Tracks》に収録。この曲もディランのギター弾き語り。付録DVDと同一バージョンと思われる。

4.The Water Is Wide
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 この曲はトラディショナル・ナンバー。曲のルーツは知らないが、ジョーン・バエズとのデュエットでディランはかなり真剣に歌っている。

5.It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 オリジナルは1965年のアルバム《Highway 61 Revisited》に収録。オリジナルはゆったりとしたブギウギ・スタイルだったが、ここではややアップテンポなアレンジとなっている。

6.Oh, Sister
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 オリジナルはアルバム《Desire》に収録。《Hard Rain》に収録された1976年のバージョンではエレキ・ギターを弾きながらのハードなバージョンに変わっているが、ここではオリジナルに忠実にアコースティック・ギターを弾きながら歌っている。

7.Hurricane
(Memorial Auditorium, Worcester, MA; 11/19/75)

 デンゼル・ワシントン主演の映画で再度クローズ・アップされた曲。この時点では《Desire》はまだリリース前だが、シングル盤としてはリリースされていた。オリジナルのスタジオ・テイクはいくつかのテイクをつなぎ合わせて完成されたもので、それだけにディランの完璧なボーカルが聴かれるが、ここではオリジナルよりもややアップ・テンポでボーカルもあまり味がない。バック・コーラスはおそらくロニー・ブレイクリー。

8.One More Cup Of Coffee (Valley Below)
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 この曲もアルバム《Desire》に収録。パーカッションとヴァイオリンが効果的に使われており、なんともいえない独特の雰囲気が漂っている。ここでのバック・コーラスもロニー・ブレイクリー。

9.Sara
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 この曲もアルバム《Desire》の収録曲。オリジナルに忠実なアレンジだが、スカーレット・リベラのヴァイオリンはほとんど聴こえない。バック・コーラスはロニー・ブレイクリーだろうか。ディランのハーモニカはなかなかいい。

10.Just Like A Woman
(Boston Music Hall, Boston, MA; 11/21/75 (second show))

 オリジナルは1966年のアルバム《Blonde On Blonde》に収録。冒頭に観客からのリクエストが入り、それに応えるかたちで歌い始める。イントロはなく、いきなりディランのボーカルが始まり、それにバック・バンドがくっついていく緊張感がいい。かなり重厚なアレンジで、ディランも思いっきりシャウトしている。ハーモニカがないのが残念。

11.Knockin' On Heaven's Door
(Harvard Square Theatre, Cambridge, MA; 11/20/75)

 オリジナルは1973年のアルバム《Pat Garrett&Billy The Kid》に収録。かなりハードなアレンジで、歌詞も大幅に書き換えられている。2番のボーカルはロジャー・マッギンが取っている。この後の曲はコンサートのフィナーレでウディ・ガスリーの<This Land is Your Land>と続くのだが、なぜかフェイド・アウトで幕切れとなっている。

【執筆:2002.12.13】

Love And Theft