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Compilations&Others  Column


                    

John Wesley Harding

John Wesley Harding

【Released:1967.12.27】

1966年7月のモーターサイクル事故以来、公式には一切の活動を停止していたディランであったが、前作から約1年半を経てようやく新しいアルバムを発表した。ディランにとっては9枚目となるこのアルバムは、前作と同様ナッシュビルでレコーディングされたが、バックはディランのアコースティック・ギターのほかベース、ドラムというシンプルな3人編成を基本としており、そのサウンドはまったく異なるものに仕上がっていた。一方で、詩の世界ではこれまで以上に短く簡潔になっていたが、それは形式的な問題であり、その内容は哲学的ともいう深みが増していた。

1.John Wesley Harding

シンプルなディランのアコースティック・ギターで始まるタイトル曲。まずは、ディランの声質がかなり変わっているのがわかる。久々にシンプルなバックのおかげでディランのボーカルをじっくり鑑賞することができる。詩の内容は実在の人物(HardingではなくHardinらしいが)をテーマにしているらしい。

2.As I Went Out One Morning

妙な緊張感をそそるイントロのハーモニカ。めずらしくマイナー調のメロディー。ディランの歌い方はこれまでにない深みを増している。詩の内容もかなり隠喩に満ちている。 

3.I Dreamed I Saw St.Augustine

殉教者をテーマにした曲。曲そのものはとるに足らないものだが、ディランの丁寧なボーカルが救い。

4.All Along The Watchtower

いわずと知れたディランの代表曲の一つ。ディランのボーカル、ギター、ハーモニカが絶妙のパフォーマンスを繰り広げている。ドラムはシンプルかつタイト。3つのコードでこんなに深みのある曲を作れるのもディランならでは。詩は相変わらず隠喩に満ち哲学的。ジミ・ヘンドリックスがこの曲をカバーしているのはあまりにも有名だが、どちらも最高のパフォーマンスである。

5.The Ballad Of Frankie Lee And Judas Priest

このアルバムの中ではいちばん長い曲。といってもわずか5分足らず。それなのになぜかこのアルバムの中では最も退屈に感じてしまう曲。余談だが、よしだたくろうの「私は狂っている」という歌のオリジナルはこの曲なのだろうか?

6.Drifter’s Escape

ほとんどワン・コードに近い形で歌われる曲。こうした単調なフレーズにもかかわらず、ディランのボーカルのおかげで味わいの深い曲に仕上がっている。ディランはのちにもこのボーカル・テクニックを駆使して名曲を作っている。

7.Dear Landlord

ディランのピアノが聴ける曲。シンプルなようだが、歌うのはかなり高度なテクニックを要する。ディランの作品の中ではかなり複雑なメロディーだろう。ボーカルのうまさが特筆すべきところ。

8.I Am a Lonesome Hobo

この曲も最後のフレーズ以外はワン・コードで演奏されている。それだけにボーカルの表現力がものをいう曲。ディランは見事にクリアしている。

9.I Pity The Poor Immigrant

シンプルで美しい曲。ディランの声質が心地よい。

10.The Wicked Messenger

支離滅裂ともいえるメロディーがかなり前衛的。詩の内容は皮肉に満ちている。あれこれとディランについてコメントする者に対するメッセージか?少しばかり気を付けよう。

11.Down Along The Cove

この曲もディランがピアノを弾いている。曲そのものはなんの変哲もないもの。詩の内容も他愛のないもの。

12.I'll Be Your Baby Tonight

アルバム最後を飾るのは、典型的なカントリー・ソング。次作へのいやな予感を感じる曲でもあるが、ディランが難しい曲ばかりを作るのじゃないことがよく分かる曲。単純に楽しめる曲としては最高の出来だろう。

Bob Dylan's Greatest Hits Nashville Skyline