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Compilations&Others  Column


                    

Dylan

Dylan

【Released:1973.11.16】

ディラン15枚目のアルバムは、摩訶不思議なレア・トラック集であった。タイトルはそのものズバリの「ディラン」。オリジナル・アルバムのジャケットには演奏ミュージシャンのクレジットは何もなく、ただオリジナル・レコーディング・セッションのプロデューサーがボブ・ジョンストンであることだけが告げられていた。このアルバムの発表の経緯については、すでにいろいろな解説書で触れられているとおりであるが、ディランはこの時期、デビュー以来ずっと契約していたコロンビア・レコードを離れ、アサイラム・レコードに鞍替えをしたため、慌てたコロンビア・レコードがたまりにたまっているレアな未発表トラックを放出したというのが理由のようだ。今となってみれば、レア・トラックの数々がブートレッグ・シリーズ等により正式に聴けるようになったため、驚きはないが、当時としてはこれ以外のレア・トラックを早く聴きたいというストレスに悩まされていたことだろう。収録された曲はすべて他人の曲で占められていたが、オリジナル・レコーディングが《Self Portarait》でのセッションからのものが中心であることから納得はできる。それにしても寄せ集めにしては結構いいあるアルバムであるという気がする。

1.Lily Of The West

曲のルーツは良く知らないが、古いバラッド曲。結構丁寧に歌っている。いい曲だ。おそらくくハープシコードだと思うが、奇妙なアレンジだ。後からかぶせたのだろうか。

2.Can't Help Falling In Love

エルビス・プレスリーの有名なヒット曲のカバー。ディランはやや照れくさそうに歌っているが、この声の調子は好きにならずにいられない。プレスリーのオリジナルとは似ても似つかないところが、いかにもディランらしくて好感が持てる。ハーモニカも最高の調子だ。 

3.Sarah Jane

半ばやけくそ気味なコーラスが笑える。オリジナルはかなり古いトラッド・ソングのようだが、意外とファンキーなアレンジに仕上がっている。

4.The Ballad Of Ira Hayes

オリジナルはピーター・ラファージという人のもので、インディアンに関するプロテスト・ソング。おそらくはディランがピアノを弾いているのであろう。語るようなボーカルはディランの得意とするところ。いい曲である。

5.Mr.Bojangles

オリジナルはジェリー・ジェフ・ウォーカーというフォーク・シンガーのものだが、テレビの紀行物のバック・グラウンドなどで今でもたまに流れたりする。ディランの歌いぶりは結構誠実で好感が持てる。

6.Mary Ann

オリジナルのルーツは良くわからないが、甘ったるい曲だ。

7.Big Yellow Taxi

オリジナルはジョニ・ミッチェルのもの。ジョニとディランも今では古い付き合いになっている。いかにもジョニの作品らしく、独特の曲調を持っている。ディランのカバーも悪くはないが、やはりオリジナルのほうがフィットするような気がする。それにしてもディランとジョニがデュエットしてみたら結構面白いかもしれない。

8.A Fool Such As I

オリジナルのルーツは良く知らないが、これもプレスリーが歌っている。なんとなくドタバタな感じのするアレンジで、歌い方もかなり雑だが、なぜかシングル・カットされている。

9.Spanish Is The Loving Tongue

タイトルどおり、スペインっぽい雰囲気のアレンジとなっているが、いったいどうしたのかという感じがしてならない。決して悪くはないと思うのだが、ディランにこの手のアレンジで歌われるとかなりぞっとしてしまう。もっともディランがその気になれば、こうしたスタンダード歌手っぽいこともできるということの証しか。

執筆:1999.2.7

Pat Garrett&Billy The Kid Planet Waves