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Compilations&Others  Column


                    

BLood On The Tracks

Blood On The Tracks

【Released:1975.1.17】

ディラン18枚目のアルバムは、前作、前々作でのザ・バンドとの共同作業から生まれたロック・テイストの作風から一転して久々にアコースティックを前面に押し出している。サウンド面での変化もさることながら、詩の面でもこれまでと一味違う味わい深い作品が多く収録されている。これまでにないディランの内面の世界が言葉と声から涌き出ている。このアルバムのセッションは当初1974年9月にニューヨークで行われた。このときのセッションではほとんどの曲がディランのアコースティック・ギターとハーモニカのみの演奏であったが、ディランは考えを変え、年末にかけて急遽ミネアポリスで地元のミュージシャンをかき集め、アルバムの半分の曲のレコーディングをやり直して発表にこぎつけた。収録曲はいずれも質の高いもので、当然アルバムとしての出来も文句のつけようがない。ピート・ハミルが熱烈なライナー・ノートを書いている。

1.Tangled Up In Blue

軽快なアコースティック・ギターで始まる1曲目。久々に言葉がぎっしり詰まっている。ディランの声は前作、前々作とはかなり違った感じがする。この曲はミネアポリスでのセッションで差し替えられたものだが、ニューヨークでのオリジナル・セッションは1985年に発表された《Biograph》でようやく聴くことができた。オリジナル・セッションでのディランはかなり感傷的な気がする。

2.Simple Twist Of Fate

これはニューヨークでのオリジナル・セッションがそのまま収録された。ディランのアコースティック・ギターとハーモニカにベースがかぶせられただけのシンプルな演奏である。つくづくディランは美しい曲を書く人だと思う。

3.You're A Big Girl Now

これはミネアポリスでのセッション。かなり感傷的だが、ディランはこれを吹っ切るような歌い方をしている。シンプルなのに味わい深いのがディランの魅力だろう。最後のハーモニカもいい。

4.Idiot Wind

これもミネアポリスでのセッション。かなりストレートなサウンドに寓話風の難解な言葉かかぶさっている。ディランの歌い方もかなりストレートで、努めて軽さを出している気がしないでもないが、ディランはかなり悩んでいたのだろう。

5.You're Gonna Make Me Lonesome When You Go

これはニューヨークでのセッション。この曲を聴いてディランは正直な人間だと思った。

6.Meet Me In The Morning

これはミネアポリスでのセッション。久々のブルース曲だ。ボーカルのキーがやや高いような気がするが、結果的にはいい味を出している。

7.Lily,Rosemary And The Jack Of Herts

これもミネアポリスでのセッション。かなり軽快で愉快なイントロ。詩はかなり寓話的。8分以上の長い曲だが、一気に聴かせてしまうところがディランのすごいところだろう。

8.If You See Her,Say Hello

これもミネアポリスでのセッション。メロディアスなディランが聴ける。ディランの声はひどく感傷的。ディランは感極まっているのか、曲のテンポは終盤に向かってかなりハイ・ピッチになってしまっている。

9.Shelter From The Storm

これはニューヨークでのセッション。ディランの歌い方、間の取り方のニュアンスが最も優れている曲のひとつであろう。

10.Buckets Of Rain

これもニューヨークでのセッション。風変わりな曲だがギターがいい。

執筆:1999.4.23

Before The Flood The Basement Tapes