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Compilations&Others  Column


                    

The Basement Tapes

The Basement Tapes

【Released:1975.6.26】

ディラン19枚目のアルバムは、1967年の6月から10月にかけて行われたザ・バンドのメンバーとのプライベートなセッションをとりまとめたものだ。録音された場所はニューヨーク州ウエスト・ソウガーティーズの通称ビッグ・ピンクの地下室で、のちにザ・バンドのファースト・アルバムもこの場所で録音された。収録された曲は全部で24曲だが、いずれも文句なしの名曲揃いで、このうち16曲でディランがリード・ボーカルをとっている。ディランのキャリアにおいて一大転機となったモーターサイクル事故以来はじめてのセッションであるが、ボーカルも作風もこの前後に正式リリースされたアルバムとはまったく違っている。このオリジナルのテープは当初ディラン周辺の音楽仲間の間でプライベートに聴かれていたが、やがて闇の市場にも出回りはじめ、ロック・ミュージックにおいて初めての海賊版レコードしてベスト・セラーとなったいわくつきのもの。冒頭に述べたとおり、もともとは正式なレコーディングセッションではなく、1台の家庭用のテープレコーダーと3本のマイクだけを使用して録音されたという。ありがたいことに約8年の歳月を経てようやく正式アルバムとして日の目を見ることになった。

1.Odds And Ends

ファースト・ナンバーはディランのリード・ボーカルによる軽快なロックン・ロール・ナンバー。すべてにおいてシンプルな小作品。セッションのウォーミング・アップにもってこいといった感じの曲。リチャード・マニュエルがドラムを叩いている。

2.Orange Juice Blues(Blues For Breakfast)

リチャード・マニュエルの作品。タイトルが意味深のなんとも渋い曲。ガース・ハドスンがサックスを吹いている。

3.Million Dollar Bash

ディランのボーカル。ただひたすら陽気でナンセンスなナンバー。演奏はシンプルでディランのアコースティック・ギターのほかはピアノ、オルガン、ベースだけ。

4.Yazoo Street Scandal

ロビー・ロバートソンの作品。リヴォン・ヘルムがボーカルをとっている。

5.Goin' To Acapulco

むせぶようなディランのボーカルとガース・ハドスンのオルガンが絶妙なコンビネーションを持った曲。

6.Ketie's Been Gone

ロバートソンとマニュエルの共作。かなりポップなナンバーで長いこと日の目を見なかったのが惜しい曲。

7.Lo And Behold

ディランのボーカル。他愛もないナンバーだが、なんとなくディランらしいさびの効いた曲。

8.Bessie Smith

リック・ダンコとロバートソンの共作。ボーカルも二人でとっている。かなりの名曲。バンドらしい適度な重たさを持った曲だろう。

9.Clothes Line Saga

ディランのボーカル。名曲揃いのアルバムの中では唯一とるに足らない曲。

10.Apple Suckling Tree

ディランがピアノを弾き、ボーカルもとっている。この曲もナンセンス・ソングの部類に入るが、なんとなく陽気で許せる感じだ。

11.Please,Mrs.Henry

ディランのボーカル。これもナンセンス・ソング。曲の途中でディラン自身も思わず吹き出している。

12.Tears Of Rage

ディランとマニュエルの共作。ザ・バンドの記念すべきデビュー・アルバムの1曲目を飾った曲だが、ディランとの解釈とはまた違った味が出ていた。詩の内容も深刻だがディランのボーカルも同様に深刻。

13.Too Much Of Nothing

ディランのボーカル。かなり重々しいリズム。これまでのディランの曲にはあまり見られなかった独特の変調に曲作りの変化が垣間見れる。なんとも不思議な曲である。

14.Yea! Heavy And A Bottle Of Bread

かなりのナンセンス・ソング。おまけにかなり字余りの詩。ディランのボーカルがなかなか渋い。

15.Ain't No More Cane

トラディショナル曲でザ・バンドの演奏。

16.Crash On The Levee(Down In The Flood)

 ディランのボーカル。《Bob Dylan's Greatest Hits Vol.2》にスタジオ録音バージョンが収録されている。

17.Ruben Remus

ロバートソンとマニュエルの共作。なんとなく影の薄い曲。エンディングも尻切れとなっている。

18.Tiny Montgomery

ディランのボーカル。延々と2つのコードが繰り返される。

19.You Ain't Goin' Nowhere

ディランのボーカル。《Bob Dylan's Greatest Hits Vol.2》にスタジオ録音バージョンが収録されている。

20.Don't Ya Tell Henry

クレジットはディラン作となっているが、ボーカルはレヴォン・ヘルムがとっている。ディランらしからぬ結構激しいロック・ナンバー。

21.Nothing Was Delivered

ディランのボーカル。かなり重苦しいが味わい深いナンバー。

22.Open The Door,Homer

ディランのボーカル。タイトルは"Open The Door,Homer"だが実際には"Open The Door,Richars"と歌われる不可思議な曲。

23.Long Distance Operator

これもクレジットはディラン作となっているが、ボーカルはレヴォン・ヘルムがとっており、かなりハードなアレンジに仕上げられている。

24.This Wheel's On Fire

ディランとダンコの共作。ボーカルはディランがとっている。曲自体がマイナー調だが、ディランのボーカルもかなり重苦しい。ザ・バンドのファースト・アルバムにも収められている。

執筆:1999.4.11

Blood On The Tracks Desire