カンパ11S VS シマノ7900DURA-ACE
ここ5年くらいで自転車のハードが大きく変化している。特に大きな変化はフレームのカーボン化が原因だろう。
オーバーサイズのヘッド周りとフォークコラム、最近では大口径(幅広も)のBB規格も出てきている。自在に太さやテーパーを変化させ丸いパイプに固執する必要がない為に各メーカーが独自の考えを反映させている。
パーツの規格はフレームに合わせて変化してきてはいるが、ヘッド小物・ハンドルとステム・シートピラー・エンド幅など淘汰されつつある。
この変化に対応していかないと時代に乗り遅れ「リアは5段で十分!」なんて人になっちゃうし、パソコンも触れない人(このHPを見ている人は大丈夫!!)になってしまう。それじゃ10年後が悲しすぎるでしょう。
そんな訳で‘09モデルで個人的に注目していた「Campagnolo 11速」と「シマノ7900デュラエース」が発売されたので購入し、数ヶ月間使用してみた。デュラエースは電動モデルも最近発売されたが、これは来年の楽しみに取って置こうと思う。まずは手動の感覚を確かめてからじゃないと面白みが半減してしまうからね。
お断りしておきますが、カンパもシマノも自分自身で購入したものでメーカーや問屋さんや雑誌社から提供されたものではありません。また、あくまでも私個人の自転車に私が組み付け、セッテイングして乗ってみた感想です。
間違いやセッティングのミスは無いとは思いますが、人様の自転車に“とやかく”言うのではなく「私の自転車は」というスタンスで書きますので、その点を御了解いただいてからお読み下さい。



テストをする2台は、正規代理店であるDE ROSAと同じくCOLNAGOに、それぞれカンパSuper Record、シマノ7900 Dura Aceを取り付けてみた。
DE ROSAとCOLNAGOの性格や乗り心地などは、今回に限り極力さけて部品の機能性を中心に話してみたい。現役選手でもなく年間4000km程度の普通のホビーサイクリストが感じる事や、今までのカンパ・シマノの思い出なども織り交ぜながら進めていこうと思う。
両車ともコンパクト・ドライブ・クランク50×34‐170mmリア・スプロケットは12/27、100mmアヘッド・ステム、C-C400mmハンドル、フィジーク“アリオネ”サドル。
もっと長期間テストをしてみれば良いのだが、今回は第一印象といった感じで、もし機会があれば第2弾を御報告したいと思う。
そもそもカンパとシマノは自転車部品を製造する出発点が違うのだと思う。たとえが悪くて恐縮なのだが、カンパはロードレースを前提にている「フェラーリ」だとすれば、シマノはカローラやヴィッツを量販して、さらに上級クラスも作る「トヨタ」とうい感じだ。フェラーリはF1を筆頭にレースで培ったノウハウを公道用の市販車にフィードバックしながらも高速走行を前提としたスポーツカーのみを製造・販売している。
一方のトヨタはコストダウンと高品質で大衆車の量産を図り、F1にも参戦して知名度を上げ、さらなる売り上げUPの戦略なのだろう。デュラエースはトヨタのラインナップで言うなら「レクサス(旧セルシオ)」という位置付けかもしれない。
いずれにせよ両者はコスト意識や考え方にも大きな違いがあって楽しい。この考え方の違いが製品に現れ、この後にお話しする各パーツの方向性にも多大な影響を及ぼしている。また30年前では考えられない様な良きライバル関係になり、毎年のようにユーザーを強烈に引き付ける部品メーカーになった。
まず今回、7900デュラエースを買おうと思ったきっかけはSTIレバーの大きな変更があったからだ。今まで何回となく買って使用してみたが、正直に言って不満があった。
それは「親指と人さし指の間のまたの部分が痛い!」のだ。ブラケットの形状だろうか?取り付け位置が悪いのか?さんざん悩み、位置を変えたり、ハンドルの角度を変えてみたが2時間を経過する頃になると「やっぱり痛い」。今回の7900デュラは多分その辺の事を考えているに違いないと思ったからなのだ。
さて使ってみてどうか?・・・ 「まったく痛くない!」
当たり前といえば簡単だが、STIユーザーは今まで痛くなかったのだろうか?それとも「こんなもの」と思っているのだろうか。
もう1点すばらしく良くなっている所がある。それは変速ユニットがブラケット内部に移動した事だ。これにより「ドッコン・ドッコン」とブレーキを掛けるたびに重いレバーを引かなくて済むようになった事だ。
私にとってレバーが「カーボン製」になっただとか「変速ワイヤーがハンドルに沿うようになった」事などどうでも良いことだ。何度かのモデルチェンジの中でも7800デュラは最悪だった。その前のモデルはまだ良かったのに。ただ、なんとなく「スラムに似てきたかなぁ〜」と思うのは私だけだろうか。新型アルテグラも7900デュラと同じ形で発表された。今後はこの路線でしばらく行くのだろうと思っている。
今回で3代目のエルゴパワーは「ULTRA-SHIFT」と呼ばれブラケットの形状が大きく変わった。‘08モデルに不満が無かったので使用するまでは不安だった。ところがカンパはさらに使い易くなった。
先程の7900デュラに乗ったあとにカンパを使うと良く分かる。デュラは‘08のカンパに近い感覚だ。何が良くなったかと言うと、ブラケット上部が前に行くに従って細くなり掴みやすくなった事。さらにラバーのパッドが柔らかく、長時間のライディングにもまったく痛くならない構造に改良されていた。
11速になった事については完成度が高いとは言いにくい。7900デュラが発表されるので、慌てて11速化し、シェアを奪われないようにした感じがしてならない。10速よりも11速の方がシマノより上をいっていると言わんばかりで「先走ったな!」という印象しかない。もう少し煮詰めても良かったのではないだろうか。
驚きました!「今まで使ったどの変速機よりも良い」と言っても過言ではない。シフトダウンも早いが、シフトアップの早さはカンパの比じゃない!レバーとの兼ね合いもあるが、7900デュラ以外はワンテンポ遅れて「よっこいしょ」という感じになる。
もう1つ素晴らしいのは「トリム操作が不要」なのだ。リア10段もあれば、今までなら高い方と低い方で1回トリム操作をしなければならなかった。前をアウターギヤに入れている限り後ギヤが全く気にならない。マニュアルに「変速ワイヤーをゆるくしないと駄目」だと書いてある。
電動(7970 DI2)になると、これよりさらに早くなるそうなのだから技術の進歩とは恐ろしい。
近頃のフロント変速機は直付が多い。シートチューブの形状が変わった形だったり、クランプ径が32Фと35Ф以外だと製品に無いからだろうか。ちょっと前のカンパなど「FB(フラットバー)」「CT(コンパクト)」「ノーマル」と有り、さらにグレードとクランプ径で散々だった。
たまに、自転車を始めたばかりの人や若い人に言われる「カンパのスケルトン・ブレーキは撓(たわ)みませんか?」「カンパのカーボン・クランクは折れませんか?」「カンパのカーボンホイールは長持ちしますか?」「カンパは故障ばかりすると聞きますがシマノと比べてどうですか?」・・・などの質問です。
私が10代の頃はカンパニョーロと言えば絶大で、素人が品質の事など言える立場に無かった。今は最初からSTIが装着されたロードに乗り、ショップ店員に「カンパは壊れるとシマノと違ってスペアパーツが入手できませんよ!」と言われるのだろう。
まちがい無く言えることは、身長190cm体重80kgの強靭な男達が1日250km以上でカテゴリー超級の峠を含めてレースをし、3週間休み無く(移動日あり)走り続けてフランスを1周する競技に使う機材だという事です。平地で45km/hはあたりまえ、下りでは70km/h以上でしょう。そのことを75年以上にわたり追求し製品を造り続けている会社なのです。
週末に100kmを1日かけて走り「筋肉痛だ!」とか「お尻が痛い!」などと言う人が使って「壊れる訳が無い!!」と言いたいところですが、工業製品ですので「絶対」とは言わないことにしています。
使い方のノウハウやメンテナンスは当然必要ですが、落車や事故さえ無ければ相当長持ちしますし(プロ機材ですから)、保障期間(部品により違う)もかなり長く設定されています。カンパニョーロのサービスセンターも横浜にあり、リペア・パーツを常時供給しています。もし日本に在庫が無ければ、どんな小さなものでも(現行品か発売中止10年以内)イタリアの本社VICENZAから航空便で取り寄せ1週間位で届きます。
カンパニョーロジャパン 〒231-0041 横浜市中区吉田町65番地 ERVIC横浜12F TEL 045-264-2780 |

ブレーキの効きは断然カンパだ。前述のエルゴパワーの形状もあるがパッドが違うのだろう。ヌーボレコードの頃から使用しているが、制動力と言うよりも「スピードコントローラー」と言った方が当てはまる。雨が降っていても、高速でも制動力は変わらない。
逆にシマノは「カックンブレーキ」で、突然効きはじめて怖い。雨が降ると全然効かないのは昔からだ。
デュアルピボット(ダブルピポット)を最初に採用したシマノは前後共だが、カンパは前のみと言うのも「ヘリクツ」みたいで今ひとつ理由が分からない。
カンパの「HYPERON」「BORA」用に“BR-701X/2”というデュラエース・ブレーキ用のパッドが売られているのを御存知だろうか。たとえブレーキ本体はシマノを使ってもカンパのカーボンホイールを使用しているユーザーにパットもカンパを使ってもらい、確かな制動力を味わって欲しいという親切心なのだろうか。シマノには出来ない芸当だ。


どちらもDD方式(クランクとBBシャフトが一体)でコンパクトドライブのPCD110mm。デュラエースの方がデザイン的に新しくリングを止めているWピンが表から見えないようになっている。カンパはカーボン製のクランクだが、デュラエースはアルミのままだ。2008年の販売店用カタログには「カーボンクランクセット FC-7800-C 発売時期:2008年春」と出ていたが、いったいどうなったのだろう?(販売価格:15万円?)
クランクの長さは、シマノが165mmから180mmまで2.5mm間隔でラインナップされている。一方カンパは170mmから180mmまでの2.5mm間隔(コンパクトドライブは170mm、172.5mm、175mmの3種類だけ)となっている。日本人サイズの165と167.5が欲しいところで購入に二の足を踏んでいる人も多いと思う。ヌーボレコード時代は165mm・167.5mmクランクは存在していた。では何故カンパは造らなくなったのだろう?背の低い(足の短い)人はイタリア人にもいる。世界中にクランクを販売しているのだから有っても良さそうに思う。女性だってカンパのユーザーはたくさん居るのに・・・。
答えは分からないが最近こう考えている。クランクはテコの原理を応用しているので、そのテコが短いと不利なのだという事なのかもしれない。カンパはレースに勝つための機材だから、ある程度の長さのクランクを回せない人は「レースに勝てませんよ」と言いたいのか。75年の経験と選手からのフィードバックから淘汰されたのかもしれない。
さて、本題に戻りSuper Record 11速のことだが、アウターリングに入っている時「噛み込み音」がする。これは私のだけでなく他の11速用チェーンホイールでもあった。10速の時には無かった音なので、エルゴパワーの時に言った「先走り」による無理がココでも出てしまったのだろう。
シマノは今まで通り10速なので何も問題はなくスムーズそのもの。細かい事だが、デュラエースにコンパクトドライブが正式ラインナップされたのは今回が初めてで、7800Dura-Aceではモデル外の扱いだった。
カンパの「フリー音」が結構うるさいのを御存知だろうか?エルゴパワーをシフトする時に「ガチッ」と音もする。その逆でシマノのフリー音もシフト音もほとんどしない。これは国民性の違いで製品を造る時の技術者の性格とも言える。
例えば、ポルシェ911やベンツS600のエンジン音はやかましい。加速すると、さらに凄まじい音になっていく。かたや「レクサス」や「クラウン」はエンジンがかかっているのか分からない程に静かで、加速してもモーターのようだ。両者は最終目標が根本的に違うので、どちらが優れているとは言えないが、個人的にはエンジン音がある程度している方が好きだ。
それは、100km/hから更に加速したらそれなりに音がした方が体感できるし、安全にクルージングできるとも思う。静か過ぎると自分は一体何キロで走っているのか分からなくなってしまう。また音も商品の一部で「ハーレーダヴィットソン」や「ドカッテイ」などのバイクが「HONDA」のように静かだったら売れるだろうか。自動車のドアを閉める音だってメーカーの考える味付けがあると思う。
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