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7.視座 〜羅列的視座から『構成的視座』への変換〜
続いて、政策への視点を考える。「新・行財政改革プラン素案」では、改革の基本目標として「元気都市かわさきを実現する都市経営基盤の確立」が謳われている。具体的な取組として「1 施策・制度の再構築 2 行政体制の確立」である。一方、「新総合計画素案」において、基本政策のもとになる基本目標と基本方向が示されている。目標は「持続可能な市民都市かわさき」であり、方向は「1 協働と協調をもとにする 2 市の特徴と長所を活かす 3 自治と分権を進める」の3点掲げられている。
ところで、二つの素案における相互関係、また、それぞれの目標と取組との関連、その順序と方向相互の関連は良く判らないし、説明もされていない。ただ、言葉だけが“浮き草”になっている。
「新・行財政改革プラン素案」は川崎市財政問題研究会の最終報告、「今後10年間の収支見通し」に準拠している。大切なことは施策を述べる前に財政フレームとして、その見通しから指摘されている財政上の課題を一般会計、企業会計、特別会計をそれぞれブレークダウンして、如何に対策していくのか数値を示すことが素直なアプローチである。そこが全くでいていない。ただ、施策だけが羅列されている。数値を示し、その意味と重さ、相互関連を説明するのが財政プランだと考える。
「新総合計画素案」は基本構想と実行計画の2層で構成されている。基本構想の部分は、まちつくりの基本方針としての7つ基本政策が掲げられ、階層構造として30の基本方向、更に90の基本施策へとブレークダウンされていく。その基本施策から実行計画が施策課題、更に事業計画と振り分けられていく。
事業計画は5層目に相当する。何とも奥行きの深い計画である。再度整理すると以下である。
第1層 第2層 第3層 第4層 第5層
7基本政策―30基本方向―90基本施策―255施策課題―1,008事務事業
他に、政策執行を支える631事務事業が更にある。
これが市民にとって理解しやすいものかどうか?深遠な哲学を議論するのであれば、これもよかろうかと思うが、市民生活に身近な地方自治体の政策である。
7基本政策―90基本施策―β事業計画、この程度までは階層を減らすことが出来るであろう。
ここで7基本政策を示すと以下である。すべての政策が「まちづくり」に通じているのである。ということは、「まちづくり」があってもなくても同じことである。即ち、アラビアンナイトの「アリババと盗賊」の話にでてくるように、すべての家に同じ目印をつけてアリババの家を判らなくした賢い聡明な女奴隷モルジアナの話にどこか似ているのである。
基本政策T 「安全で快適に暮らす」まちづくり
基本政策II 「幸せな暮らしを共に支える」まちづくり
基本政策III 「人を育て心を育む」まちづくり
基本政策IV 「環境を守り自然と調和する」まちづくり
基本政策V 「活力にあふれ躍動する」まちづくり
基本政策VI 「個性と魅力が輝く」まちづくり
基本政策VII 「参加と協働による市民自治による」まちづくり
もっともなタイトルが並んでいることだけは良く判るが、その相互関連、優先順位等は何も説明されていない。全体像がまとまっていかず、総花的な印象を受けるだけである。
7基本政策が30基本方向になって、更に詳細な政策が理解され、それが基本政策にフィードバックして、それぞれの理解が進み、基本政策の相互関連とそれぞれの役割が明確になってくるであろうか?そうはならず、単に細かくなるだけで、イメージが分断され、全体像から離れていくだけになる。
ここに羅列的視座の問題点がある。アイテムを関連させず、おのおのバラバラなものとして施策を行い、課題を克服していく発想である。アイテムに分けること自体が関連するものを独立化することになるのであるが、それなしでは課題が明確にならないし、克服に向かっての施策もまとまっていかない。
しかし、それを更に進めておのおのバラバラなものとして出来るだけ限定し、他のアイテムとの関連性に目隠しをすることは、すべて是々非々で臨み問題になっても狭い範囲内での解決を志すことになる。これは官僚機構の権限分割であり、役所特有の縄張り、縦割りにフィットさせようとするものである。このような視点のもとでは、90基本施策の統一性、相互関連性を議論できないのは当然であろう。
上記の羅列的視座構造の問題点を克服していくためには、構成的視座構造により基本施策をみていく必要がある。何故なら、課題はそのアイテムに止まるわけではなく、他の施策とも絡みあうし、政策全体にとって問題になることもあり得る。それには常に体系全体をダイナミックにみることを可能にする視点を設定しなければならない。改革を進めていくためには、この視座構造が不可欠である。
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