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市民オンブズマンの心理と論理 2007/12/23
川崎市の行政改革上の課題として、
市民からの「インターネット広聴」への投稿を外部機関の役員へ「提供」した問題を議論、
地方公務員法、個人情報保護条例に基づいて保護するという意識の不足、
役所内外の関係者に“内幕情報”としてリークする風土、
これらを行政改革の一還として変えていくことが必要。
再発防止の意図を含む「市長への手紙実施要綱」「市長への手紙処理要領」改訂
→07/4/1から施行、以上で本件を収束 する
本件、市民オンブズマンへも苦情申立、面白い結果が得られている
追補…市民オンブズマンの心理と論理
●「インターネット広聴」へ投稿した内容が 、投稿者の名前と共に、
川崎市役所の外部に“内幕情報”としてリークされる
●市職員が個人情報保護条例の運用規則を知らず、法解釈を間違えることに無頓着
7.市民オンブズマンへの「苦情申立」
●市民オンブズマンへの「苦情申立」内訳
苦情申立書提出 H17-9-16
・市職員の個人情報遺漏について
市民オンブズマンからの回答(64号) H17-12-28
・個人情報保護条例規定から不適切
・罰則規定には該当せず
「64号回答」へのコメント H18-1-2
・法的解釈については合意
・市職員の行動について検証なしの判断は軽率で誤り
7ー1.苦情申立書 H17−9−16
苦情申立の趣旨
筆者の個人情報について、川崎市職員が外部に漏らした疑いがある。市長への手紙で行政当局を追求しているが、自浄作用の有無が定かではない。また、このようなことは3年目にも経験しており、個人の問題ではなく、川崎市役所の風土に欠陥が存在する可能性がある。
従って、市民オンブズマンの重大な監察事項と考える。勧告或いは意見表明に向けて徹底的な調査をお願いする。
苦情申立の理由
1)問題の所在
9/5(日)に川崎市インターネット公聴で投稿し、9/12(日)に回答を頂いた。その間、川崎市職員が、「業務上知った個人情報(インターネット公聴による個人の意見)をその個人名と共に外部へ漏洩した」という事実があった。これは職務上の守秘義務違反の疑いがある。
2)川崎市への対応
筆者は個人情報の遺漏に関する規則が川崎市にあるのかどうか、詳しく知らない。従って、先ずは規則の存在の有無からはじめ、上記の情報リークにどのような問題が含まれるのか、問題があれば今後どのようにするべきなのかを「市長への手紙」を送付し、行政当局の対応を要求している。
しかし、ことは重大と考える。3年前にも同じようなことがあり、うやむやにされたからである。一個人に二度起こったことは単なる偶然ではなく、川崎市役所の風土に何らかの欠陥が存在すると考えざるを得ない。また、筆者にとっては再発であるから、川崎市役所が自ら公正な調査をすることを必ずしもが期待できない。
更に、この問題は証拠が残っているわけではなく、言わない、記憶にない、覚えていない等のはぐらかしによってうやむやにされてしまうことは容易に想像できる。
3)オンブズマンへの申立
以上に鑑み、オンブズマンの厳格な調査と対応をお願いする。
7ー2.回答書
あなたの申立て(平成17年度第64号)に対して、市民オンブズマンが調査した結果およびそれに基づく判断について、以下のとおりお知らせします。
1.あなたの申立て
2.市の回答
(1)本件の経緯について
(2)川崎市における個人情報保護制度について
(3)「川崎市個人情報保護条例」との関連
(4)地方公務員法における守秘義務との関連
(5)今後の改善策について
3.市民オンブズマンの判断
1.あなたの申立て
9/5(日)に川崎市インターネット公聴で投稿し、9/12(日)に回答を頂いた。その間、川崎市職員が、「業務上知った個人情報(インターネット公聴による個人の意見)をその個人名と共に外部へ漏洩した」という事実があった。これは職務上の守秘義務違反の疑いがある。
この申立てについて、市民オンブズマンが調査した結果およびそれに基づく判断は以下の通りです。
2.市の回答
(1)本件の経緯について
(2)川崎市における個人情報保護制度について
川崎市では個人情報の適正な取扱を定め、及び自己情報コントロール権を保障することを目的に、昭和61年に川崎市個人情報保護条例を制定し、個人情報の保護に努めています。
本条例では、本市職員に個人情報の適正な維持管理を求め、その中の一つに、個人情報の漏洩防止を図ることがあります。更に、本年6月に、「川崎市職員の保有個人情報の取り扱い等に関する規則」を施行し、本市職員による個人情報の適正な取扱及び維持管理について、詳細な定めを設けたところです。
(3)「川崎市個人情報保護条例」との関連
申立人の主張は公務員が知り得た情報を第三者に漏らしたことであると考えます。
当事者はインターネット広聴の投稿に、誠実に答えるために行動した主張しています。
総務局に拠れば、要望者の氏名及び要望内容は個人情報に属するもので、投稿の要望に対応するためには要望内容だけで充足できるものであり、氏名まで伝える理由はありません。
しかし、要望者の要望内容は実現されており、かっ「自己若しくは第三者の不正な利益を図る」ものではないことから、個人情報保護条例上の罰則の規定(同条例第46条)には該当しないとのことです。
(4)地方公務員法における守秘義務との関連
総務局の判断に依れば、職員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとされており(地方公務員法第34条)、ここでいう「秘密」とは、一般に了知されていない事実であって、それを了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものであるとされています。
次に、ある事項が、当該条文における「秘密」であるかについては、個々の事実について、保護されるべき公的または個人的利益の社会的価値を判断して決める他はないと考えられています。
以上を踏まえ、今回の事例について検討すると、申立人の氏名を知らしめることによって、客観的に、一定の具体的利益が侵害されたと言うことは難しく、守秘義務の対象となる「秘密」に当たる可能性は低いと考えられます。よって、地方公務員法第34条にいう守秘義務違反に抵触する可能性も低いと考えられます。
(5)今後の改善策について
市としては、今回の一連の経過を確認の上、当事者の行為については、期日がない中で要望内容に誠実に応えようとした対応でしたが、総務局の見解の通り不適切であったと認めざるを得ません。
市としては、今後は要望者等の個人情報にっいては同条例を遵守し、慎重に対処することといたします。
3.市民オンブズマンの判断
あなたは、当事者の行為が、個人情報保護に反していると主張しています。
この点、市民オンブズマンが調査した結果、市があなたの名前を第三者に伝えたことは、川崎市個人情報保護条例の趣旨から鑑みれば、不適切な対応であったといわざるを得ません。とはいえ、同条例第46条の罰則の対象とはなりえず、また地方公務員法第34条の秘密漏洩にも該当しないと判断します。
しかしながら、本件を顧みるに、今回の件は、あなたのインターネット広聴での要望を、当事者が早急に実現させようとしたことに端を発します。あなたの要望に実質的に応えるべく、通常の手続では数ゲ月はかかるところを、すばやくこれを実現させたことについては、市民オンブズマンは評価したいと考えます。
ただし、要望実現の方法としてやはり適切ではなかったものと市民オンブズマンは考えます。
市民オンブズマンと.しては、今後も本件のように市民の要望をかなえるづく努力を続けてて欲しいこと、その一方で、個人情報には十分な注意を払い、その実現に当たっては、当該市民とよく相談することを市に要請しました。
なお、参考資料として、「川崎市個人情報保護条例」及び「川崎市職員の保有個人情報の取扱い等に関する規則」を同封します。
以上の結果をお知らせし、調査を終了いたします。
7ー3.回答書に対する筆者のコメント H18―1―2
先ず、妥当な法的見解を頂き感謝する。個人情報保護条例に違反することは、当方の考え方と一致する。また、条例違反当事者に悪意があったわけではないので、罰則規定に触れないことも理解できる。一方、地方公務員法違反については、結論だけでなく、本件を当てはめ、解釈を記載して頂きたかった。即ち、素朴な文理解釈からは違反に該当すると読めるからである。
以上にように、回答の主要部分である法的解釈、即ち「3.市民オンブズマンの判断;1〜5行目」まで異論はない。
しかし、6行目以降の条例違反を犯した市職員の行動に関して、市民オンブズマンは「2.市の回答」をただ鵜呑みにしているだけで調査も検証も行っておらず、軽率のそしりを免れない。
もし法的解釈以外の部分について市民オンブズマンとしての見解を述べるのであれば、厳格な検証を行ったうえで判断すべきである。本コメントは「2.市の回答」の問題点を“違反行為をされた立場”から検証し、市民オンブズマンの見解に違和感を持つ点について記すものである。今後も起こる可能性がある同様な事案について正確な判断をして頂きたいためである。
また、今回の苦情申立は条例違反者を追いつめるつもりではないことは勿論である。苦情申立時に例示したように3年前も同じようなことが起き、市役所の個人情報保護に対する“風土”に欠陥があると考えるが故に問題を提起した。この「苦情申立」と並行して、「市長への手紙」でその風土を焙り出し、その改善に向けて提案を試みようと現在も努力中である。以上のことを念頭において、一読願いたい。
1.事実関係はどうだったのか?
市の回答と実際に起きたことと、乖離している。これを市民オンブズマンは何も検証もせずに、鵜呑みにしているだけである。
市回答は嘘を言っているわけではない。しかし、結果が伴っておらず、更に、伴っていないことを認識していない。仕事のやり方が杜撰であり、従って、市回答も見掛けを取り繕っているだけである。後述するように、要望者が提起した問題の本質、「少年サッカー選手たちに、市として責任を果たす」ということが雲隠れしている。ここが出来ていなくて市民オンブズマンは何を評価するのであろうか。
2.要望内容は何か?
一方、当方は大会の主催者でもなく、大会のために整備を要望したわけではない。インターネット広聴には、「北見方少年サッカーグラウンドは川崎市5千人の少年サッカー選手に対して唯一の専用グラウンドである。このような状態で放置することは少年選手たちに、市として責任を果たしていないことを明示しているようなものである。」と書いている。
毎週休日に利用する少年サッカー選手たちに、市として責任を果たすことを要望しているのである。
3.何に対する誠実さか?
市側は今回の情報遺漏を、当方の要望内容に誠実に答えるために行った行為、と言っている。そうであるならば、少年選手たちに川崎市として責任を果たすことを考えれば良いだけである。即ち、自己の認識と責任で実施の手続きをすれば良いのである。何故なら、その前の整備が不完全であったからである。
その要望内容を読んで、要望者一個人(吉井)が要望しているのではなく、川崎市5,000名の少年サッカー選手たちが要望していると感じとれないであろうか。砂場で足を取られても一生懸命サッカーをしている少年たちの姿を想像すれば、その誠実さを何に対して、とのように発揮しなければならないのか、おのずと明らかになるであろう。
4.何を評価するのか?
市民オンブズマンは、「あなたの要望」を通すために、数ヶ月かかるところを素早く実現させたことを評価すると言っている。私自身は、先の「要望内容に誠実に答える」という言葉と「あなたの要望」という言葉に妙な響きを感じてしまう。「あなたの要望内容に誠実に答え、利益を与えたのだから、何の文句があるのか!」という響きである。
当方は、@今回の一個人の要望が、少年選手たちに対し責任を果たすという市としての問題であることを理解、Aその責任意識から前回の工事が不完全であったという反省、Bその挽回を図ることが市全体として優先順位が高いという判断、これらに基づき工事を実施したのであれば、その期間が多少長くても双手を挙げて高く評価する。
何故なら、このような考え方こそが、「インターネット広聴」或いは「市長への手紙」等による市民からの直接の要望・提案・不満等に対応する市当局の姿勢として必須と考えるからである。残念ながら、今回の行為にそのような姿勢を見出すことは出来ない。
5.どのように市民の要求をかなえるのか?
詳しい説明は省くが、添付資料に「市政の構図」を示しておく。従来の「窓口行政」、「縦割り行政」は、町会、協会等が介在し、関係局と互いに“内幕情報”をやりとりする。その結果として、市側はそれらの中間組織体を通して市民へ利益を提供する。これは一つの方法であってそれなりの意味をもつ。
しかし、よく知られているように、この方法は一部の市民への偏った利益提供、或いは既得権益の保護に繋がり、また、情報の偏在を招く等“便宜供与行政”になることが問題である。「インターネット広聴」、「市長への手紙」、「市民オンブズマン制度」は、そのような弊害を打破する機能も有すると考えられる。
添付資料の「少年スポーツ人口推移」は、以前に苦情申立を行った案件と同じ問題であって、資料が更新されている。平成年代の少年サッカー人口の急増に対し、少年野球は減少しており、その対人口施設数は、少年野球が少年サッカーの30倍にもなっている。従来の「窓口行政」、「縦割り行政」による既得権益の保護そのものである。
今回の対応は、旧来の弊害を打破する「インターネット広聴」の方法に対し、「窓口行政」の方法で短工期グラウンド整備という利益を提供しようとしたものである。そのような行動様式が、その過程において、守秘すべき個人情報を“内幕情報”として外部へ提供するようにせしめたのである。即ち、短工期と条例違反は「窓口行政」という行動様式を介して密接不可分に結びついている。
素直に考えれば、市が責任をもつグラウンド整備のために、外部へ情報を提供することによって解決しようとすることなどは、ねじ曲げられたやり方である。このようなやり方もまた、市職員が関係する一部の市民だけに対する“便宜供与行政”と言うべきである。即ち、中間組織体と関係なく、しかし、市にとって緊急で切実なことを一個人が要望した場合、どのようにして、その要望をかなえるのであろうか。
6.関係の推定は可能か?
「インターネット広聴」等によって市民から提供された情報は、その提供した市民固有或いは特有のものである。姓名、住所、職歴等の固有性については誰でも理解している。また、思想、信条等についての個人の特有性についても同様であろう。
では、二者の関係を固有性、特有性があるものとして、判断出来るだろうか。情報を提供した一市民が他の市民といかなる関係にあるかは、余程特殊な場合を除いて他人が判断できるはずがない。
市民オンブズマンは、条例違反者の言い訳を含む言い分を鵜呑みにし、共通の利害関係者を設定している。しかし、当方が一市民として行動していることは、個人で陳情書を提出したことだけをとっても明らかである。また、常識的に考えても、利害関係は時と場合によって異なるし、昨日の敵は今日の友でもある。一つのことに利害は共通しても、別のことでは相反することもある。また、ある部分では同じ立場に立つが、別な部分では立場が異なることもある。
従って、今回の条例違反者の利害関係判断は地方公務員として著しく軽率であったことを指摘すべきと考える。
7.まとめ
以上に述べたように、監察役の立場から、市の回答を批判的に読み、必要であれば、資料提出、現場検証等を行って判断すべきである。市民オンブズマンができなくても、調査員、事務局等により実施出来る部分もあるはずである。今後の参考にして頂ければ幸いである。