|
1.問題の所在
『川崎市議会改革、何を、どう進めるか』について考えている。
今回は「現状認識」と「どのように」について論じてみたい。
議会に何を求めるのか。それは議会としての成果である。
議会は合議機関であり、議決機関である。従って、市としての直近から将来に向け
ての基本的ルールを構想・提案し、それを討論にかけて争点を形成し、意見を調整す
る。最終的に多数決で議決する。これが合意形成である。
しかし、現状は議会としての成果が見えない。『議員あって議会なし』『議場あっ
て議会なし』、まとめていえば、『議員がいる、議場がある、しかし、議会はない』
である。
従って、『議会改革』、即ち『議員がいる、議場がある、そして、議会もある』
状態にすることが改革になる。
『議会改革』は当り前のことを当り前のようにすること、こう考えれば一般人には
分かり易い。通常先ず、具体的な不具合を是正することを考えるからである。従って
、議会改革は必ずしも「議会基本条例」を必要としない。例えば、議会の基本中の
基本である“討論”の導入である。
実はこのために、議会会議録、委員会記録において討論に相当する部分を抽出し、
分析することが有効である。しかし、川崎市議会とは言わず、これまで「議会基本条
例」を制定した自治体議会或いは現在検討中の議会がどの程度行ってきたのか疑問で
ある。
それはともかく、ある程度の改革を進めていくと、具体的なことを更に上位概念に
抽象化することを発想する。また、上位概念からブレークダウンすることによって別
な具体的不具合を見出すことができる可能性がある。更に、改革が時間と共になしく
ずしに形骸化、廃止等することなく発展すべきとの考え方が出てくる。
ここまでくるとルール制定の機が熟したことになる。議会改革においては「議会基
本条例」制定のタイミングになる。一方、条例は将来を拘束することであるから、市
民を含めた合意形成が不可欠である。従って、その制定には十分な論議が必要となる。
現状の非公開のもと、3月定例会に「議会基本条例」を上程することへの疑問が生
じる所以である。
2.議会の本質
法で定める議事とは何か?議案の「提案―議決」であって、行政への「質問・要望」
ではない。これに対して「川崎市議会」はフィットした活動をしているのか。その落
差はどうような形で表われるのか。落差を埋めるのは内部改革への意思である。直ぐ
に取り組むべき課題は山ほどある。
1)規定 〜議事機関とは何か〜
1.憲法第93条 “議事機関としての議会”
*議事とは何か 「議案:提案-争点提示-意見調整-議決」
2.地方自治法第96条 主要議決事件 条例・予算(提案権無)・決算…
3.質疑と質問の違い:質疑(議案に対して)
質問(市政の状況・方針・計画に対して)
議事とは、議案を提案し、討論によって争点提示から意見調整をおこない、最後に
議決することである。また、主要議案(議決事件)とは、条例・予算(提案権無)・
決算である。従って、質問(代表質問、一般質問)は第一優先課題ではないことに注
意しなければならない。別の表現をとれば、質問はなくても議案があれば議会が成立
するが、その逆、質問があって議案がない状態は議会ではないと言える。
ここから『委員会審議を中心にした議事運営』のあり方を考える必要がでてくる。
特に政令市のような大都市の基礎自治体にとって大きな課題である。
2)現実の「川崎市議会」 〜議事とはほど遠い〜
1.議員による条例提案…無
*例外 議員・議会に関すること
2.条例修正=争点提示-意見調整…無
*例外 住民投票条例修正;本来の姿に近い!
3.片山発言は該当?八百長・学芸会?
*質問=「議員―行政間の打合せ結果の報告」
現実は議事とほど遠い。
従って、先ず「何をやるべきか」、明らかであろう。自らの行ってきたことを
分析・検証することである。予算委員会の審議形態はいつから今のようになったの
か、十分な審議ができていることをどうやって検証しているのか、等々。
3)議会改革は行われている? 〜低いバーは飛び越える、高いバーは?〜
1.一問一答方式、議席の配置換え、IT利用の広報…
2.市民団体による政務調査会費等チェック…
請願提出:陳情の際に委員会傍聴…
但し、公平のために言っておけば、改革が行われていないわけではない。形式的な
改革は他の自治体より進んでいる処もあるようだ。例えば、一問一答は比較的早く取
り入れられた。しかし、これも形式であって実質的中味(議事の内容)の改革ではな
い。
何故、中味の改革ができないのか。私見によれば、議会が『お山の大将』であって
、批判に晒されていないからである。
辛うじて市民団体による政務調査会費等のチェックが行われている。監査請求によ
り、1億円以上の費用が市へ返還されたことは川崎市議会の体質を示して余りある。
但し、このチェックも議事の中味に触れることではないことは勿論である。
一方、川崎市には「市議会議員と語る会」が活動しており、議員と市民とのコミュ
ニケーションをとる役割を果たしている。今後は更に議会の審議等を監察する市民団
体が成長する必要がある。
3.地方分権改革のインパクト
地方分権が進むなかで、首長の権限が拡大し相対的に議会の地位が低下している。
改革首長の登場から夕張破綻まで議会の価値が問われている。「外部環境要因」
からみても議会改革は必須である。
しかし、議会は依然として単なる「議決」と「質問・要望」だけに止まっている。
1)発信基地としての政府機構、自治体団体機構
1.地方分権改革推進委員会…新地方分権一括法 〜2009/3予定
答申:第一次2008/5「生活者起点の地方政府」
第二次2008/12「条例の上書き権」
2.地方制度調査会…第29次審議「議会制度のあり方」検討中
答申:第28次審議「議会のあり方について」
2)地方分権の流れ〜権限は首長へ・議会の地位低下〜
1.機関委任事務体制からの脱却…地方分権推進法1995年
〜地方分権一括法2000年
*権限委譲…地方税の役割大 官庁から役所へ
2.改革首長の登場…「生活者起点」改革・北川三重県知事(1995-2003年)〜
*首長次々と…基本計画、生活関連条例、新特別税(水源税、緑税、環境税?)
*町の試み…ニセコ町「町づくり条例2000年」
〜栗山町「議会基本条例2006年」
3.議会は依然として「議決」と「質問・要望」だけ
4.「地方分権改革」と住民自治
議会が首長、行政職員、住民も含めた“合意形成の場”として機能することが自治
体の進歩と安定の契機である。住民にとって議会が“合意形成の学習の場”になるこ
とが住民自治を具体的に広げていく方法の一つである。
1)規定
1.憲法第92条 “地方自治の本旨”に基づいて 「団体自治」と「住民自治」
*片山氏…“地方自治の本旨”が曖昧 具体的に記載するように改正必要
第18回地方分権改革推進委員会「片山氏からのヒアリング」
http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/iinkai-index.html
2.団体自治 決定権のシフト 国 → 地方「首長・行政」
3.住民自治 基本的事項の決定権 首長 → 議会(←住民の意思)
住民自治 身近な問題の決定権 首長 → 住民(組織)
2)合意形成の場としての「議会」
1.住民、議会、首長、行政機構が互いに討議・最後に議決する場
2.リーダーシップは場を主宰する議会 → “すべての方向に開いている!”
3.“草の根自治” を涵養するモデル → 住民が合意形成を学習する場
4.実質的な区議会を設置する → 住民自治を地域へ展開する
5.議会改革の進め方
改革は少数者の問題提起から始まり、提起するものがリーダーとなる。
議会改革では、開かれた議会を目指すことによって住民との双方向のコミュニケー
ションをとることが大切である。具体的な改革を先ず始め、改革を習慣とする政治文
化を育成し、最後に議会基本条例に結びつけることが一つのモデルである。
「議会基本条例」を2006年5月に全国に先駆けて制定した北海道栗山町は、実施し
た改革を継続することが動機であったため、単なる「理念条例」ではなく、実際に使
える「現実の条例」になった。更にその後も改革を進め、条例の一部改定を行い、改
定条例を2008年4月から施行している(参考文献:『栗山町発・議会基本条例』橋場
利勝、榊原勝著、公人社(2006))。
しかし、『議会基本条例』が全国に展開される中で、その基底にある思想が忘れら
れがちになる。これは“真正の思想”が被る運命のように思われる。だがここではオ
バマ大統領のひそみに倣って
“At a moment when the outcome of our revolution was most in doubt,
the father of our nation ordered these words be read to the people:…”
と考えよう。
即ち、栗山町の思想に戻り、流れに漂っているのではなく、改革の意思を表明する
ことから始めるのである。
第71号 08/11/23 川崎市議会基本条例制定への意見(3)
http://archive.mag2.com/0000219072/20081123060000000.html
1)川崎市議会へのメッセージ
1.表明せよ!意思の存在を!! 現状は流れに漂っている
2.出でよ!改革のリーダー!! 現状は互いに顔を見合わせている
3.始めよ!できることから!! 現状は惰性が続いている
2)改革論議の進め方
1.議論の内容を公開する 本来は特別委員会(団長会議の諮問機関ではなく)
2.市民への説明会を実施し、市民からの意見を集める
3.基本的内容をまとめ、主要施策を試行し、最終的に議会基本条例を制定する
まとめとして、真の議事機関をめざし、住民自治を展開する場として、具体的
な改革のトライアルを先ず早急に実施する。議会基本条例は来年3月(H22/3)を
目標として市民との議論を活性化する必要がある。
ページトップに戻る
|